三角形、台形、L字状、旗竿地などの土地を相続税評価でどう扱うかを、評価単位、路線価方式、地区区分、地積区分、計算例、評価明細書、遺産分割上の注意点まで順番に整理します。
土地の形が悪いという感覚を、相続税評価で使える数値と資料に落とし込むための入口です。
土地の形が悪いという感覚を、相続税評価で使える数値と資料に落とし込むための入口です。
相続財産に土地が含まれる場合、三角形、台形、旗竿状、L字状、屈曲した形状の宅地では、不整形地として評価減を検討することがあります。その中心になる係数が不整形地補正率です。
不整形地補正率は、土地の形が使いにくいから何割引きにするという感覚的な係数ではありません。財産評価基本通達と調整率表に基づき、評価単位、路線価方式か倍率方式か、地区区分、地積区分、想定整形地、かげ地割合、間口狭小補正率や奥行長大補正率との関係を順番に確認して求めます。
まず、どのような場面で不整形地補正率が問題になりやすいかを整理します。この一覧は、相続税評価だけでなく、遺産分割で土地の価額を話し合うときにも重要です。左から土地の特徴、評価で気を付ける点、相続人間で争点になりやすい点を読み取ってください。
| 問題になりやすい土地 | 評価上の確認点 | 話合いで出やすい争点 |
|---|---|---|
| 台形や三角形に近い宅地 | 想定整形地とかげ地割合をどう設定するか | 建物配置や売却価格への影響 |
| L字型、逆L字型、屈曲した宅地 | 1画地として見る範囲と正面路線の向き | 使いやすい部分と使いにくい部分の評価差 |
| 旗竿地や路地状敷地 | 不整形地補正と間口狭小、奥行長大の選択関係 | 売りにくさや建築計画の制約 |
| 複数筆が一体利用される宅地 | 登記簿上の筆ではなく評価単位を確定すること | 誰がどの範囲を取得するか |
| 形状を理由に代償金で揉める土地 | 相続税評価額と遺産分割上の時価を分けること | 税務上の価額と市場価値の違い |
不整形地補正率を考えるときは、専門職ごとに見るポイントが違います。次の一覧は、どの専門家が何を確認するかを示しています。土地評価が税務だけで完結しない理由と、相談先を分ける必要がある場面を読み取ってください。
路線価図、評価明細書、財産評価基本通達、調整率表を用いて、相続税申告に耐える評価根拠を整えます。
遺産分割、遺留分、代償金、調停や審判で、相続税評価額と遺産分割上の価額を区別して主張を整理します。
登記、境界、測量、市場価値を確認し、地番、地積、現況、売却可能性のずれを補います。
結論として、不整形地補正率は、評価単位を確定し、正面路線と想定整形地を決め、かげ地割合と地積区分を補正率表に当てはめることで求めます。ただし、その前提や図面の取り方を誤ると、表の読み方が正しくても評価全体が崩れます。
補正率表を見る前に、どの土地を、どの方式で評価するのかを確定します。
不整形地補正率を求める前に、最初に確認すべきものは評価単位です。宅地の価額は登記簿上の1筆ごとではなく、原則として利用の単位となっている1画地の宅地ごとに評価します。
次の判断の流れは、評価単位を誤らないための確認順序を表しています。上から順に確認することで、登記簿の筆数だけで作図してしまう誤りを避け、最後に不整形地かどうかを検討する位置づけを読み取ってください。
自宅敷地、貸家敷地、駐車場、空き地など、現況の利用単位を見ます。
遺産分割で誰がどの範囲を取得するかを評価単位と混同しないよう整理します。
宅地、農地、山林、雑種地など、登記と実際の利用を照合します。
複数筆が一体利用される場合や、1筆内で利用が分かれる場合を検討します。
この段階で初めて、想定整形地とかげ地割合の検討に進みます。
評価方式も重要です。不整形地補正率の議論は主に路線価地域の宅地評価で問題になります。次の比較表は、路線価方式と倍率方式の入口の違いを示しています。どちらの方式でも同じ補正率表を機械的に使うわけではない点を読み取ってください。
| 評価方式 | 基本構造 | 不整形地補正率との関係 |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 路線価に奥行価格補正率などを反映し、地積を乗じて評価します。 | 不整形地補正率表、かげ地割合、地区区分、地積区分を検討する中心場面です。 |
| 倍率方式 | 固定資産税評価額に評価倍率を乗じて評価します。 | 路線価地域の不整形地補正率表をそのまま当てはめるのが通常の入口ではありません。 |
倍率地域でも、土地の個別事情が問題になる特殊な場面はあり得ます。ただし、固定資産税評価額が地目、地積、形状、利用状況などを一定程度反映していることを前提にした制度なので、評価倍率表、評価明細書、税理士の確認が必要です。
想定整形地を作り、欠けの割合を数値化して補正率表に当てはめます。
不整形地補正率とは、不整形地を整形地として評価した場合の価額に反映する減額補正率です。補正率が1.00に近いほど減額は小さく、0.60に近いほど減額は大きくなります。
補正率表を読むには、まず地区区分を確認します。次の一覧は、路線価図で確認する代表的な地区区分と、不整形地補正率を読むときの扱いを整理したものです。地区区分が変わると同じかげ地割合でも係数が変わる点を読み取ってください。
| 地区区分 | 補正率表での扱い | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 高度商業地区 | 商業系などのグループ | 地積区分の境目が1,000㎡、1,500㎡で大きい土地を想定します。 |
| 繁華街地区 | 商業系などのグループ | 450㎡、700㎡を境にA、B、Cを判定します。 |
| 普通商業・併用住宅地区 | 商業系などのグループ | 住宅と店舗などが混在する地域で、普通住宅地区とは表が異なります。 |
| 普通住宅地区 | 独立した表のグループ | 同じ40%のかげ地割合でも、商業系などより補正率が低いことがあります。 |
| 中小工場地区 | 商業系などのグループ | 地積区分の境目が3,500㎡、5,000㎡と大きくなります。 |
次に地積区分A、B、Cを判定します。次の表は、令和7年分調整率表に掲載されている地積区分の概要です。行で地区区分を選び、土地の地積がどの範囲に入るかを見ることで、後の補正率表でA、B、Cのどの列を使うかを読み取ります。
| 地区区分 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 高度商業地区 | 1,000㎡未満 | 1,000㎡以上1,500㎡未満 | 1,500㎡以上 |
| 繁華街地区 | 450㎡未満 | 450㎡以上700㎡未満 | 700㎡以上 |
| 普通商業・併用住宅地区 | 650㎡未満 | 650㎡以上1,000㎡未満 | 1,000㎡以上 |
| 普通住宅地区 | 500㎡未満 | 500㎡以上750㎡未満 | 750㎡以上 |
| 中小工場地区 | 3,500㎡未満 | 3,500㎡以上5,000㎡未満 | 5,000㎡以上 |
かげ地割合は、想定整形地の中で評価対象地ではない部分の割合です。次の重要ポイントは、算式と読み方をまとめたものです。想定整形地を広く取りすぎると割合が大きくなり、補正率が小さくなるため、図面上の合理性が重要であることを読み取ってください。
評価対象地300㎡を囲む想定整形地が500㎡であれば、(500㎡ - 300㎡) ÷ 500㎡ = 0.40となり、かげ地割合は40%です。
かげ地割合を計算したら、地区区分と地積区分に応じて表を読みます。次の横の比較は、普通住宅地区Aでかげ地割合が増えるほど補正率が下がる関係を示します。棒の長さは補正率の大きさを表し、短いほど評価減が大きくなりやすいことを読み取ってください。
商業系などの地区と普通住宅地区では、同じかげ地割合でも補正率が異なります。次の表は、40%以上の行を抜き出した比較です。列がA、B、Cの地積区分を示し、地積が大きい区分ほど補正率が高くなり、減額幅が小さくなる傾向を読み取ってください。
| 地区グループ | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 高度商業、繁華街、普通商業・併用住宅、中小工場 | 0.90 | 0.93 | 0.97 |
| 普通住宅地区 | 0.85 | 0.88 | 0.92 |
かげ地割合だけでなく、奥行距離、間口距離、正面路線の判定も一体で確認します。
不整形地補正率の求め方は、評価単位から評価明細書の保存まで一連の作業です。次の判断の流れは、実務で確認する順序をまとめたものです。上から順に進めることで、かげ地割合だけを先に計算して表の列を誤るリスクを避けられることを読み取ってください。
1画地の宅地、路線価地域か倍率地域かを確認します。
普通住宅地区か、普通商業・併用住宅地区かなどを確認します。
複数道路に接する土地では、奥行価格補正後の価額で正面路線を判定します。
正面路線に面する長方形または正方形で評価対象地を囲みます。
A、B、Cの列と、かげ地割合の行を合わせて補正率を選択します。
間口狭小、奥行長大、側方路線、二方路線、資料保存を確認します。
奥行価格補正率は、道路からの奥行が標準的な土地と比べて短すぎる、または長すぎる場合の利用効率を反映する係数です。不整形地では奥行が一様ではないことが多いため、次の表で計算上の奥行距離と限度の考え方を確認してください。
| 項目 | 基本的な考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 計算上の奥行距離 | 不整形地の地積 ÷ 間口距離 | 想定整形地の奥行距離を限度にします。 |
| 例 | 300㎡ ÷ 15m = 20m | この20mに対応する奥行価格補正率を確認します。 |
| 正面路線 | 路線価に奥行価格補正率を乗じた金額が高い路線を出発点にします。 | 感覚的に玄関側や広い道路を選ぶだけでは足りません。 |
複数の道路に接する土地では、正面路線の判定が想定整形地の向きを左右します。次の重要ポイントは、遺産分割で感覚的な主張が出たときにも、税務上の判定根拠を分けて確認する必要があることを示しています。
土地の形により、整形地への分け方、近似の仕方、差引き計算を選び分けます。
不整形地の基礎価額を求める方法は一つではありません。次の一覧は、代表的な4つの方法を、どのような形状で検討しやすいかと一緒に整理したものです。評価額の低さだけで選ぶのではなく、図面で説明できる方法かを読み取ってください。
不整形地を複数の整形地に分け、それぞれの価額の合計に不整形地補正率を反映します。自然に分けられる形状で検討します。
区分恣意性に注意地積を間口距離で除した奥行距離に応じて奥行価格補正率を確認します。多くの不整形地で出発点になります。
奥行限度確認不整形地に近い整形地を設定し、はみ出す部分と欠ける部分がおおむね同程度になるように考えます。
近似作図根拠全体の整形地の価額から、隣接する整形地の価額を差し引いて基礎価額を求めます。
差引き奥行補正不整形地であり、かつ間口が狭い、または奥行が長い土地では、間口狭小補正率や奥行長大補正率との関係が問題になります。次の比較表は、補正の組み合わせを誤ると二重控除や様式上の不整合につながる点を整理しています。
| 論点 | 基本的な扱い | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 間口狭小補正率 | 不整形地補正率表の注記では、不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて得た数値を扱う場面があります。 | 評価明細書上、間口が狭小な宅地等と不整形地の重複適用に関する注記を確認します。 |
| 奥行長大補正率 | 選択により、不整形地補正率を使わず、間口狭小補正率と奥行長大補正率を使う場面があります。 | 旗竿地や細長い敷地では、土地の実態に即した方法かを確認します。 |
| 補正しない場合 | 不整形の程度が軽微な場合や、別の補正で不利が反映される場合があります。 | 補正すればよいという発想ではなく、周辺整形地との均衡と通達上の扱いを見ます。 |
不整形地として評価しない場面もあります。次の注意点の一覧は、補正の可否が税務調査で問題になりやすい理由を示しています。形が少し悪いという印象だけでなく、利用上の支障と評価方法の整合性を読み取ってください。
通常の整形地評価と比べて不合理な差が生じない場合は、補正を行わない判断もあり得ます。
補正によって周辺の整形地との均衡を欠く場合、税務上の説明が弱くなります。
間口狭小、奥行長大、がけ地、セットバックなどとの重複を確認します。
古い公図だけで現況、境界、道路、測量を確認していない場合、根拠資料が不足します。
同じ40%のかげ地割合でも、地積区分と地区区分で補正率が変わります。
ここでは単純化した前提で、普通住宅地区A、普通住宅地区B、普通商業・併用住宅地区Aを比較します。次の表は、各例の前提と結果を並べたものです。路線価、地積、補正率、評価額の列を順に見ると、どの条件が評価額に効いているかを読み取れます。
| 計算例 | 地区区分 | 地積 | かげ地割合 | 補正率 | 評価額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例1 | 普通住宅地区A | 300㎡ | 40% | 0.85 | 63,750,000円 |
| 例2 | 普通住宅地区B | 600㎡ | 40% | 0.88 | 132,000,000円 |
| 例3 | 普通商業・併用住宅地区A | 500㎡ | 約40% | 0.90 | 180,000,000円 |
最初の例は、普通住宅地区で地積300㎡、路線価250千円/㎡、奥行価格補正率1.00と仮定する単純な計算です。次の表は前提条件を整理したもので、地積区分A、かげ地割合40%、不整形地補正率0.85という流れを読み取ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地区区分 | 普通住宅地区 |
| 路線価 | 250千円/㎡ |
| 評価対象地の地積 | 300㎡ |
| 想定整形地の地積 | 500㎡ |
| 計算上の奥行距離 | 300㎡ ÷ 15m = 20m |
| かげ地割合 | (500㎡ - 300㎡) ÷ 500㎡ = 40% |
| 評価額 | 250,000円/㎡ × 1.00 × 300㎡ × 0.85 = 63,750,000円 |
補正前の価額は7,500万円であり、補正後は6,375万円です。この例では、不整形地補正により1,125万円の評価減になります。ただし、実際には借地権割合、貸家建付地、小規模宅地等の特例、セットバック、都市計画道路予定地、がけ地、土砂災害特別警戒区域、地積規模の大きな宅地なども別途確認します。
2つ目の例は、同じかげ地割合40%でも地積600㎡で地積区分Bになる場合です。次の表では、補正率が0.85ではなく0.88になるため、地積区分が評価額に与える影響を読み取ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地区区分 | 普通住宅地区 |
| 路線価 | 250千円/㎡ |
| 評価対象地の地積 | 600㎡ |
| 想定整形地の地積 | 1,000㎡ |
| 不整形地補正率 | 普通住宅地区B、40%以上で0.88 |
| 評価額 | 250,000円/㎡ × 1.00 × 600㎡ × 0.88 = 132,000,000円 |
3つ目の例は、普通住宅地区ではなく普通商業・併用住宅地区の土地です。次の表では、地積500㎡でA区分となり、40%以上の補正率が0.90になる点を確認します。地区区分が変わると同じ40%でも係数が変わることを読み取ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地区区分 | 普通商業・併用住宅地区 |
| 路線価 | 400千円/㎡ |
| 評価対象地の地積 | 500㎡ |
| 想定整形地の地積 | 833.33㎡相当 |
| 不整形地補正率 | 商業系などの地区A、40%以上で0.90 |
| 評価額 | 400,000円/㎡ × 1.00 × 500㎡ × 0.90 = 180,000,000円 |
評価額だけでなく、図面、調整率表、登記、測量、現況資料をそろえて説明可能性を高めます。
相続税申告で土地の価額を計算するときは、国税庁の土地及び土地の上に存する権利の評価明細書を用います。不整形地では、評価明細書に数値を入れるだけでなく、なぜその想定整形地にしたのかを資料で説明できることが重要です。
次の表は、不整形地補正率の根拠として整えておきたい資料を、用途ごとに分けた一覧です。左の分類で不足している資料を探し、右の確認内容から税務調査や相続人間の説明に何が必要かを読み取ってください。
| 分類 | 主な資料 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 税務資料 | 路線価図、評価倍率表、評価明細書、調整率表、相続税申告書、固定資産税課税明細書、名寄帳 | 評価方式、地区区分、補正率表、申告書との整合性 |
| 登記・測量資料 | 登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面、境界確認書、現況測量図 | 地番、地積、境界、間口、奥行、分筆や合筆の要否 |
| 現地資料 | 現地写真、道路幅員資料、セットバック資料、都市計画図、用途地域、建築確認関係資料 | 接道、道路境界、建築制限、現況利用 |
| 紛争対応資料 | 遺産分割協議書案、不動産査定書、不動産鑑定評価書、交渉記録、調停申立書、代償金算定資料 | 遺産分割上の時価と税務評価の違い |
不整形地の評価は、通常の整形地より時間がかかります。次の時系列は、相続税申告期限の10か月を前提に、資料収集から申告書完成までの目安を示しています。上から順に見ることで、測量や境界確認が必要な土地ほど早めに動く必要があることを読み取ってください。
不動産資料、戸籍、固定資産税資料、名寄帳などを集めます。
利用状況、路線価地域か倍率地域か、測量の要否を見ます。
想定整形地、間口、奥行、地積区分、補正率を整理します。
税務上の評価額と遺産分割上の価額を分けて協議します。
根拠資料を添付し、説明できる形に整えます。
相続登記も別途管理が必要です。相続登記の申請義務化は令和6年4月1日に施行され、施行日前に開始した相続によって取得した不動産も対象になります。相続税申告は税務署への手続、相続登記は法務局への名義変更手続であり、同じ土地資料を扱っても目的は異なります。
相続税評価額、市場価値、登記、測量、相続人間の公平は別の問題として整理します。
不整形地補正率を使って算定した相続税評価額は、相続税申告のための評価額です。遺産分割協議で必ずその金額を使うという意味ではありません。相続人全員の合意で相続税評価額を使うこともあれば、不動産査定、公示価格、固定資産税評価額、不動産鑑定評価額を参照することもあります。
次の比較表は、相続税評価額と遺産分割上の価額の違いを整理しています。目的、根拠資料、争点の列を分けて読むことで、税務上の評価減がそのまま相続人間の公平を決めるわけではない点を確認してください。
| 価額の種類 | 目的 | 主な根拠 | 争点になりやすい点 |
|---|---|---|---|
| 相続税評価額 | 相続税申告のための評価 | 財産評価基本通達、路線価図、調整率表、評価明細書 | 想定整形地、かげ地割合、補正率、重複補正 |
| 遺産分割上の時価 | 相続人間で遺産を分けるための価額 | 査定書、鑑定評価書、売却可能性、建築制限、合意内容 | 代償金、共有回避、市場価格、感情的対立 |
税務調査では、不整形地補正率が評価減につながるため、根拠が確認されやすくなります。次の一覧は、調査で問題になりやすい点をまとめたものです。各項目から、どの資料を事前にそろえるべきかを読み取ってください。
広く取りすぎるとかげ地割合が大きくなり、補正率が小さくなります。作図根拠の合理性が問われます。
普通住宅地区では500㎡未満、500㎡以上750㎡未満、750㎡以上でA、B、Cが変わります。
路線価図の地区区分を誤ると、奥行価格補正率や補正率表の選択も変わります。
間口狭小、奥行長大、がけ地、セットバック、都市計画道路予定地などとの重複を確認します。
古い公図や登記地積だけで評価し、道路境界や現況利用を確認していない場合は根拠が弱くなります。
相続人間で揉めるときは、感情的な主張を評価目的ごとに分解することが有効です。次の順序は、相続税申告と遺産分割の話を混同しないための整理方法です。上から順に進めることで、代償金、売却、調停、登記の論点を分けて確認できます。
まず目的が違うことを共有します。
税務上の数値と根拠資料を整理します。
市場価値や売却可能性を別途確認します。
相続税評価額を使うのか、査定額を使うのかを明確にします。
境界や地積が争点なら土地家屋調査士の調査も検討します。
司法書士と連携し、相続登記義務化の期限も確認します。
専門家の役割は重なり合いますが、資格ごとの担当範囲は異なります。次の一覧は、誰に何を確認すべきかをまとめたものです。税務、法的紛争、登記、測量、市場価値を分けて読むことで、相談先の優先順位を判断しやすくなります。
相続税評価、評価明細書、財産評価基本通達、調整率表、税務調査対応を担います。
相続税遺産分割、遺留分、代償金、調停、審判、訴訟上の主張整理を担います。
紛争整理相続登記、名義変更、戸籍収集、遺産分割協議書の登記適格性の確認を担います。
名義変更遺産分割上の市場価値が争点となる場合に、鑑定評価を行います。
時価評価境界確認、現況測量、地積更正、分筆登記などを担い、間口や奥行の根拠を補います。
測量売却可能性、買主目線、建築プラン、隣地交渉の可能性を検討します。
流通性補正率表だけに目を奪われず、評価単位、資料、他の補正、相続手続全体を確認します。
不整形地補正率では、土地の形が悪ければ必ず大きく評価が下がる、かげ地割合だけで係数が決まる、といった誤解が起きやすいです。次の一覧は、特に多い誤解と正しい見方を並べています。各項目から、何を追加確認すべきかを読み取ってください。
かげ地割合が小さい場合や地積区分が大きい場合、補正率は1.00に近くなります。
地区区分と地積区分がそろって初めて補正率表を読めます。
宅地は原則として1画地の宅地ごとに評価し、登記簿の筆と一致しないことがあります。
税務上の評価額と遺産分割上の時価は目的が異なり、相続人の合意や鑑定が問題になる場合があります。
評価方法は通達、評価明細書、土地の現況に整合している必要があります。
最後に、不整形地補正率を求める際の実務チェックリストを確認します。左列の項目を上から順に確認し、右列の内容を満たしていない箇所があれば、補正率の前提や資料が不足している可能性があります。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 評価単位 | 1画地の宅地を正しく把握したか |
| 現況 | 相続開始日時点の利用状況を確認したか |
| 地積 | 登記地積、実測地積、評価単位の地積を確認したか |
| 路線価 | 相続開始年分の路線価図を確認したか |
| 地区区分 | 路線価図の地区区分を確認したか |
| 正面路線 | 複数路線の場合、奥行価格補正後価額で判定したか |
| 間口距離 | 測定根拠を図面で示せるか |
| 奥行距離 | 計算上の奥行距離を使う場合、想定整形地の奥行を限度にしたか |
| 想定整形地 | 作図が合理的で説明可能か |
| かげ地割合 | 算式と数値を明示したか |
| 地積区分 | A、B、Cを正しく判定したか |
| 補正率表 | 該当する地区区分の表を読んだか |
| 間口狭小 | 重複適用や記載方法を確認したか |
| 奥行長大 | 不整形地補正との選択関係を確認したか |
| 他の減価 | がけ地、セットバック、都市計画道路予定地などを確認したか |
| 評価明細書 | 国税庁様式と整合しているか |
| 証拠保存 | 路線価図、調整率表、図面、写真を保存したか |
| 専門家確認 | 税理士、弁護士、司法書士などの役割分担を整理したか |
不整形地補正率は、相続税評価を標準化するために、土地の不規則な形状をかげ地割合という数値に置き換える仕組みです。ただし、同じかげ地割合でも建築計画上の不利や市場価値は土地ごとに異なるため、相続税評価と市場価値は一致しないことがあります。
個別の土地では図面、現況、登記、申告年分の資料によって結論が変わります。
一般的には、かげ地割合、地区区分、地積区分に応じて補正率が決まるため、土地の形が不規則でも補正率が1.00に近い場合があります。ただし、土地の形状、接道、地積、他の補正、申告年分の調整率表によって結論が変わる可能性があります。具体的な評価は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、不整形地補正率の議論は主に路線価方式による宅地評価で問題になります。倍率方式では固定資産税評価額に評価倍率を乗じる構造であるため、路線価地域の表をそのまま使うことが通常の入口ではありません。ただし、個別の減価事情や評価倍率表の扱いで検討が必要な場合があるため、具体的には税理士等の専門家へ確認する必要があります。
一般的には、相続税評価額は相続税申告のための評価額であり、遺産分割上の時価とは目的が異なるとされています。ただし、相続人全員が合意して相続税評価額を用いることもあり、反対に査定額や鑑定評価額を参照することもあります。具体的な分け方や代償金の根拠は、相続人間の合意状況や資料によって変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、登記簿、公図、地積測量図、現況資料などを確認し、必要に応じて測量や境界確認を検討します。不整形地では、間口、奥行、想定整形地、かげ地割合の根拠が評価額に影響するため、図面の精度が重要になる可能性があります。具体的な資料の要否は土地の形状、境界状況、相続人間の争いの有無で変わるため、土地家屋調査士や税理士等へ確認する必要があります。
一般的には、想定整形地の取り方、かげ地割合、地積区分、地区区分、正面路線、他の補正との重複、現況と図面の一致が確認されやすいと考えられます。ただし、調査での確認事項は申告内容、添付資料、土地の個別事情によって変わります。具体的な説明資料は、評価明細書、路線価図、調整率表、図面、写真などを整理し、税理士等の専門家へ相談する必要があります。
制度の確認に用いた公的資料と一次情報です。