2σ Guide

不動産を相続した場合にかかる税金一覧と
合計額の目安

相続税、登録免許税、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、準確定申告、売却時の譲渡所得税まで、発生場面と金額の目安を分けて整理します。

4,800万円配偶者+子2人の基礎控除
0.4%相続登記の登録免許税
20.315%長期譲渡所得の目安
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不動産を相続した場合にかかる税金一覧と 合計額の目安

相続 税、登録免許税、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、準確定申告、売却時の譲渡所得税まで、発生場面と金額の目安を分けて整理します。

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不動産を相続した場合にかかる税金一覧と 合計額の目安
相続 税、登録免許税、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、準確定申告、売却時の譲渡所得税まで、発生場面と金額の目安を分けて整理します。
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  • 不動産を相続した場合にかかる税金一覧と 合計額の目安
  • 相続 税、登録免許税、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、準確定申告、売却時の譲渡所得税まで、発生場面と金額の目安を分けて整理します。

POINT 1

  • 不動産を相続した場合にかかる税金一覧と合計額の目安
  • まず、相続時に必ず確認したい税目と発生場面を整理します。
  • 相続財産全体で判断する税金
  • 登記と保有で発生する税金
  • 売却で利益が出たときの税金

POINT 2

  • 不動産相続で税金が発生する場面と費用の分け方
  • 資料取得の実費
  • 戸籍、住民票、固定資産評価証明書、登記事項証明書などの取得費です。
  • 専門家報酬
  • 司法書士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などの報酬です。

POINT 3

  • 不動産を相続した場合の相続税 ― 基礎控除・評価額・特例
  • 自宅敷地の影響が大きい
  • 特定居住用宅地等に該当すれば、330㎡まで80%減額の対象になり得ます。
  • 申告が必要になることがある
  • 特例を使えば相続税額がゼロになる場合でも、特例適用のために相続税申告が必要になることがあります。

POINT 4

  • 不動産相続の登録免許税 ― 相続登記で必要になる税金
  • 1. 相続登記の申請義務化:相続により不動産の所有権取得を知った日から3年以内に申請する義務があります。
  • 2. 登記申請の期限管理:正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
  • 3. 固定資産税・売却・二次相続が複雑化:納税通知、共有者間の負担、将来売却、担保設定、公共事業補償などで問題が広がりやすくなります。

POINT 5

  • 不動産相続後の固定資産税・都市計画税 ― 毎年かかる税金
  • 自治体との関係
  • 共有者全員が連帯して納付義務を負うとされます。
  • 内部負担の出発点
  • 共有者間では、原則として持分割合に応じて精算する考え方が出発点になります。

POINT 6

  • 不動産取得税と準確定申告 ― 相続で見落としやすい税金
  • 死因贈与契約
  • 相続とは別の取得原因として扱われ、不動産取得税が問題になることがあります。
  • 持分を超える共有物分割
  • 共有物分割で持分を超える部分を取得した場合、相続だけで完結しない可能性があります。

POINT 7

  • 相続した不動産を売却した場合の譲渡所得税・住民税
  • 取得費資料
  • 購入時契約書、建築請負契約書、増改築費、登記費用、測量費、仲介手数料などを探します。
  • 取得費加算の特例
  • 相続税を支払った人が一定期間内に相続不動産を売却する場合、相続税額の一部を取得費に加算できることがあります。

POINT 8

  • 不動産を相続した場合にかかる税金の合計額目安
  • モデルケースで、初期税額と毎年の税額を分けて確認します。
  • モデルケースの前提
  • 相続税がかからない自宅相続
  • 都市部自宅と預金がある相続

まとめ

  • 不動産を相続した場合にかかる税金一覧と 合計額の目安
  • 不動産を相続した場合にかかる税金一覧と合計額の目安:まず、相続時に必ず確認したい税目と発生場面を整理します。
  • 不動産相続で税金が発生する場面と費用の分け方:相続税だけを見ていると、登記費用や毎年の負担を見落としやすくなります。
  • 不動産を相続した場合の相続税 ― 基礎控除・評価額・特例:相続税は不動産単体ではなく、遺産全体と相続人構成で判断します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

不動産を相続した場合にかかる税金一覧と合計額の目安

まず、相続時に必ず確認したい税目と発生場面を整理します。

不動産を相続した場合の税金は、相続した瞬間に必ず一斉に発生するものではありません。正味の遺産額、登記の有無、保有継続、売却の有無によって、問題になる税目が分かれます。

次の比較表は、不動産相続で確認すべき主な税金の全体像を表します。最初にこの表を見ることで、相続税だけでなく、登記、保有、売却に関する税金を分けて読み取れるため、資金計画の漏れを防ぎやすくなります。

区分税目かかる場面目安
相続財産全体に対する税相続税正味の遺産額が基礎控除を超える場合遺産額、相続人構成、特例で大きく変動
登記時の税登録免許税相続登記をする場合固定資産税評価額 × 0.4%が原則
保有中の税固定資産税毎年1月1日現在の所有者に課税課税標準額 × 1.4%が標準的
保有中の税都市計画税市街化区域等で課税される場合課税標準額 × 最大0.3%程度
取得時の地方税不動産取得税売買、贈与などで不動産を取得した場合相続による取得は原則非課税
被相続人の所得に関する税準確定申告の所得税等被相続人に申告すべき所得がある場合死亡を知った日の翌日から4か月以内
売却時の税譲渡所得税・住民税等相続後に不動産を売却して利益が出た場合長期20.315%、短期39.63%が基本的な目安

次の一覧は、不動産相続の税金を3つの発生タイミングに分けたものです。どの時点で費用が出るのかを分けておくことが重要で、初期費用と毎年の維持費、売却時の税負担を混同しないことを読み取れます。

Timing 01

相続財産全体で判断する税金

相続税は、不動産だけでなく預貯金、株式、保険金、債務、葬式費用などを含めた正味の遺産額で判断します。基礎控除を超えるかが最初の分岐です。

Timing 02

登記と保有で発生する税金

相続登記では登録免許税が、保有中は固定資産税・都市計画税が問題になります。相続税がゼロでも発生し得る点が重要です。

Timing 03

売却で利益が出たときの税金

相続後に売却して利益が出ると、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税が問題になります。取得費資料や特例の確認が税額を左右します。

要点相続税がかからない場合でも、登録免許税、固定資産税・都市計画税、売却時の譲渡所得税等は別に確認します。税金以外の司法書士報酬、税理士報酬、測量費、仲介手数料なども資金計画では分けて見込む必要があります。
Section 01

不動産相続で税金が発生する場面と費用の分け方

相続税だけを見ていると、登記費用や毎年の負担を見落としやすくなります。

相続したことだけで全ての税金が発生するわけではありません

不動産を相続すると、多くの人が最初に「税金がいくらかかるのか」を心配します。しかし、相続によって不動産を取得したことだけを理由に、全ての税金が同時に発生するわけではありません。

相続税は、遺産全体の正味額が基礎控除を超えなければ課税されません。不動産取得税は売買や贈与で問題になる地方税ですが、相続による不動産取得は原則として非課税です。一方、相続登記をする場合の登録免許税、保有中の固定資産税・都市計画税、売却益が出た場合の譲渡所得税等は別に確認します。

税金と専門家費用は分けて考えます

相続不動産では、税金以外にも戸籍取得費、住民票・固定資産評価証明書の取得費、司法書士報酬、税理士報酬、不動産鑑定料、測量費、仲介手数料、解体費、残置物処分費などが発生することがあります。

次の一覧は、税金とは別に資金計画で見落としやすい費用を整理したものです。なぜ重要かというと、不動産の割合が高く現金が少ない相続では、相続税がゼロでも支払いに困ることがあるためです。税金に含める費用と、別途準備すべき費用を読み分けてください。

資料取得の実費

戸籍、住民票、固定資産評価証明書、登記事項証明書などの取得費です。少額でも相続人や不動産が多いと積み上がります。

専門家報酬

司法書士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などの報酬です。税金ではありませんが、手続の難度に応じて大きく変わります。

売却・管理の費用

測量費、解体費、残置物処分費、仲介手数料、修繕費などです。売却や共有継続の判断に直接影響します。

Section 02

不動産を相続した場合の相続税 ― 基礎控除・評価額・特例

相続税は不動産単体ではなく、遺産全体と相続人構成で判断します。

相続税の基本式

相続税は、相続または遺贈で取得した財産の総額から、債務、葬式費用、非課税財産等を調整して求めた正味の遺産額が、基礎控除を超える場合に問題になります。

計算式基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数。配偶者と子2人の合計3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。

不動産の相続税評価額

相続税の計算では、不動産の市場での売却見込額をそのまま使うとは限りません。土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額を基礎に評価するのが通常です。

次の比較表は、不動産でよく出てくる3つの価額の違いを表します。どの価額を使うかで相続税、登記費用、遺産分割の議論が変わるため重要です。相続税評価額、固定資産税評価額、実勢価格の用途の違いを読み取ってください。

価額主な用途説明
相続税評価額相続税計算路線価方式、倍率方式、家屋評価等で算定します。
固定資産税評価額固定資産税・登録免許税市区町村の固定資産課税台帳上の価格です。
実勢価格売買・遺産分割交渉実際の市場売買価格に近い概念です。

相続税評価額が3,000万円の土地でも、市場で5,000万円で売れることがあります。反対に、市場性が低く売却困難な土地では、評価額と実現可能価格が離れることもあります。

小規模宅地等の特例

被相続人の自宅敷地や事業用宅地などは、小規模宅地等の特例により一定面積まで評価額が大幅に減ることがあります。特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額、特定事業用宅地等は400㎡まで80%減額、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額などの区分があります。

次の一覧は、小規模宅地等の特例が税額に影響しやすい理由を整理したものです。自宅や事業用地を相続する人にとって重要で、面積、用途、継続要件によって減額の大きさが変わることを読み取れます。

自宅敷地の影響が大きい

特定居住用宅地等に該当すれば、330㎡まで80%減額の対象になり得ます。評価額5,000万円の敷地なら、税務上の価額が1,000万円になる可能性があります。

申告が必要になることがある

特例を使えば相続税額がゼロになる場合でも、特例適用のために相続税申告が必要になることがあります。

要件確認が細かい

居住状況、同居親族の有無、配偶者取得、保有・居住継続、貸付事業の継続などを個別に確認します。

相続税率と配偶者の税額軽減

相続税率は、法定相続分に応ずる取得金額に応じて10%から55%まで上がる超過累進税率です。単純に各相続人の実際の取得額へ税率を掛ける制度ではなく、課税遺産総額を法定相続分で分けて相続税総額を出し、その後に各人の取得割合で按分します。

次の速算表は、法定相続分に応ずる取得金額ごとの税率と控除額を表します。高額になるほど税率が段階的に上がるため、概算時には該当する階層と控除額を読み取ることが重要です。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

配偶者には税額軽減があります。配偶者が実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税はかからないとされています。ただし、一次相続で配偶者が多く取得すると、二次相続で税負担が増える可能性があります。

期限相続税の申告・納付は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。不動産評価、遺産分割、納税資金の準備には時間がかかるため、早めに資料収集を始める必要があります。
Section 03

不動産相続の登録免許税 ― 相続登記で必要になる税金

相続税がゼロでも、登記をする場合は固定資産税評価額を基準に税額を確認します。

相続登記と登録免許税

不動産を相続した場合、被相続人名義から相続人名義へ所有権移転登記を行います。これを相続登記といい、原則として登録免許税がかかります。

計算式登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%。土地・建物の相続による所有権移転登記では、不動産の価額の1,000分の4が基本です。

次の比較表は、固定資産税評価額ごとの登録免許税の概算を表します。相続税がかからない家庭でも発生し得る初期費用であるため、固定資産税評価額からどの程度の現金が必要かを読み取ってください。

固定資産税評価額登録免許税の目安
500万円2万円
1,000万円4万円
3,000万円12万円
5,000万円20万円
1億円40万円
2億円80万円

免税措置と相続登記義務化

一定の土地については、令和9年3月31日までに相続による所有権移転登記等を受ける場合で、課税標準となる不動産の価額が100万円以下であるときなどに、登録免許税が課されない措置があります。対象は土地に関する措置で、適用期限、対象登記、課税標準額、申請書への記載などを確認します。

次の時系列は、相続登記を放置した場合に起こりやすい問題と期限を表します。登記を先延ばしにすると税金だけでなく共有、売却、二次相続にも影響するため、いつまでに何を確認するかを読み取ることが重要です。

2024年4月1日から

相続登記の申請義務化

相続により不動産の所有権取得を知った日から3年以内に申請する義務があります。

3年以内

登記申請の期限管理

正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

放置した場合

固定資産税・売却・二次相続が複雑化

納税通知、共有者間の負担、将来売却、担保設定、公共事業補償などで問題が広がりやすくなります。

Section 04

不動産相続後の固定資産税・都市計画税 ― 毎年かかる税金

相続後に保有を続ける場合は、毎年の維持費として税額を見込みます。

固定資産税の基本

固定資産税は、土地・家屋などの固定資産を保有している人に毎年課される地方税です。標準税率は1.4%で、基本式は固定資産税課税標準額 × 税率です。ただし、住宅用地特例や負担調整措置により、固定資産税評価額と課税標準額は一致しないことが多くあります。

都市計画税

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるため、市街化区域内などの土地・家屋に課されることがある市町村税です。税率は自治体により異なりますが、0.3%が上限として用いられることが多くあります。

次の比較表は、課税標準額1,000万円のケースで固定資産税と都市計画税の年額を単純計算したものです。保有を続ける場合の毎年の現金負担を把握するために重要で、税率ごとの金額と合計額を読み取ってください。

税目計算年額
固定資産税1,000万円 × 1.4%14万円
都市計画税1,000万円 × 0.3%3万円
合計固定資産税と都市計画税17万円

実際の税額は、納税通知書や課税明細書で確認するのが最も確実です。土地部分に住宅用地特例がある場合、課税標準額は評価額より低くなることが多くあります。

相続人が複数いる場合

相続不動産が共有になっている場合、固定資産税・都市計画税は共有者全員が連帯して納付義務を負うとされています。自治体からは代表者一人に納税通知書が届くことが多いものの、代表者だけが最終負担者になるわけではありません。

次の一覧は、共有不動産の固定資産税で確認するポイントを表します。共有者間の精算で揉めやすい論点なので、自治体への納付義務と相続人同士の内部負担が別問題であることを読み取ってください。

自治体との関係

共有者全員が連帯して納付義務を負うとされます。代表者に通知が届いても、他の共有者の負担が当然に消えるわけではありません。

内部負担の出発点

共有者間では、原則として持分割合に応じて精算する考え方が出発点になります。

事情による調整

一人が居住している、賃貸収入を受け取っている、遺産分割協議で別の合意をしたなどの事情があれば、内部負担は変わり得ます。

Section 05

不動産取得税と準確定申告 ― 相続で見落としやすい税金

相続による取得は原則非課税でも、取得原因や被相続人の所得を確認します。

不動産取得税は相続では原則かかりません

不動産取得税は、不動産を取得した人に都道府県が課す地方税です。売買、贈与、新築、増改築などで問題になりますが、相続による不動産取得は原則として課税されません。

次の一覧は、不動産取得税について相続と混同しやすい場面を表します。取得原因によって課税関係が変わるため重要で、相続、遺贈、死因贈与、贈与、売買、共有物分割のどれに当たるかを読み取る必要があります。

死因贈与契約

相続とは別の取得原因として扱われ、不動産取得税が問題になることがあります。

持分を超える共有物分割

共有物分割で持分を超える部分を取得した場合、相続だけで完結しない可能性があります。

相続後の売買・贈与

遺産分割後に別途売買や贈与で持分移転を行う場合は、相続による取得とは区別して確認します。

準確定申告は被相続人の所得に関する手続です

準確定申告とは、亡くなった人のその年の所得について、相続人が代わりに行う所得税等の申告です。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

次の比較表は、準確定申告と相続税申告の対象と期限を表します。手続の期限が異なるため、相続税の10か月だけを見ていると4か月期限を見落とすおそれがあります。どの所得や財産を扱う手続なのかを読み取ってください。

手続対象期限
準確定申告被相続人の死亡年の所得税等相続開始を知った日の翌日から4か月以内
相続税申告相続人が取得した相続財産死亡を知った日の翌日から10か月以内

賃貸アパート、貸家、駐車場などの不動産所得があった場合、死亡年に不動産を売却して譲渡所得があった場合、年金や事業所得などがあった場合には、準確定申告の要否を確認します。死亡後の賃料収入は相続人側の所得として処理するため、相続人が複数いると帰属や必要経費の負担が争点になりやすくなります。

Section 06

相続した不動産を売却した場合の譲渡所得税・住民税

売却益が出る場合は、取得費、所有期間、特例を順番に確認します。

相続しただけでは譲渡所得税は発生しません

不動産を相続しただけでは譲渡所得税は発生しません。しかし、相続後に不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税が課税されます。

計算式譲渡所得 = 譲渡価額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除額。相続した不動産では、被相続人の取得費と取得時期を引き継ぐのが基本です。

長期譲渡所得と短期譲渡所得

土地・建物を売った年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得です。親が30年前に買った土地を子が相続してすぐ売却した場合でも、所有期間の判定では親の取得時期を引き継ぐため、長期譲渡所得になることが多くあります。

次の比較表は、長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率目安を表します。売却時の税負担は所有期間で大きく変わるため重要で、所得税、復興特別所得税、住民税を合算した負担の違いを読み取ってください。

区分所得税復興特別所得税住民税合計目安
長期譲渡所得15%0.315%5%20.315%
短期譲渡所得30%0.63%9%39.63%

取得費不明、取得費加算、空き家特例

古い実家では、購入時の契約書や領収書が見つからないことがあります。取得費が分からない場合などには、売った金額の5%相当額を取得費とする方法がありますが、譲渡所得が大きくなり税額が高くなることがあります。

次の一覧は、相続後売却で税額に影響しやすい3つの確認事項を表します。売却前に確認するかどうかで手取り額が変わることがあるため、取得費資料、相続税の取得費加算、空き家特例の要件を読み取ってください。

取得費資料

購入時契約書、建築請負契約書、増改築費、登記費用、測量費、仲介手数料などを探します。資料がないと概算取得費5%になりやすくなります。

取得費加算の特例

相続税を支払った人が一定期間内に相続不動産を売却する場合、相続税額の一部を取得費に加算できることがあります。実務上は相続開始から3年10か月以内と説明されることが多くあります。

空き家特例

一定要件を満たす被相続人居住用財産の売却では、最高3,000万円まで控除できることがあります。2024年以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円までとされています。

Section 07

不動産を相続した場合にかかる税金の合計額目安

モデルケースで、初期税額と毎年の税額を分けて確認します。

モデルケースの前提

ここでは、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人、基礎控除4,800万円、遺産は法定相続分どおりに取得、配偶者の税額軽減を適用、小規模宅地等の特例や債務控除等は考慮しない前提で概算します。登録免許税は固定資産税評価額 × 0.4%、固定資産税・都市計画税は年額であり初期費用とは区別します。

次の比較表は、正味の遺産額ごとの相続税の概算を表します。遺産額が基礎控除を少し超える場合と、1億円、2億円、3億円の場合で税額が大きく変わるため、遺産総額の階層と配偶者軽減後の目安を読み取ってください。

正味の遺産額課税遺産総額相続税総額配偶者が法定相続分を取得した場合の納税額目安
4,800万円0円0円0円
5,000万円200万円20万円約10万円
7,000万円2,200万円225万円約112.5万円
1億円5,200万円630万円約315万円
2億円1億5,200万円2,700万円約1,350万円
3億円2億5,200万円5,720万円約2,860万円

次の比較表は、固定資産税評価額ごとの登録免許税の概算を表します。相続税とは異なり、登記対象不動産の固定資産税評価額を基準に計算するため、相続税がゼロでも必要になり得る初期費用を読み取ってください。

固定資産税評価額登録免許税
1,000万円4万円
3,000万円12万円
5,000万円20万円
8,000万円32万円
1億円40万円

次の比較表は、固定資産税・都市計画税の年額を課税標準額ごとに単純計算したものです。初期税額ではなく毎年の維持費である点が重要で、保有を続ける場合の年間負担を読み取ってください。

課税標準額固定資産税1.4%都市計画税0.3%年額合計
500万円7万円1.5万円8.5万円
1,000万円14万円3万円17万円
2,000万円28万円6万円34万円
5,000万円70万円15万円85万円

次の一覧は、初期税額の代表的な3ケースを表します。遺産額と固定資産税評価額が変わると相続税と登録免許税の合計がどう変わるかを把握できるため、相続税の有無と登記費用の関係を読み取ってください。

Case A

相続税がかからない自宅相続

正味の遺産額4,500万円、固定資産税評価額2,000万円なら、相続税0円、登録免許税約8万円、不動産取得税0円、初期税額合計は約8万円です。固定資産税・都市計画税は毎年別途確認します。

Case B

都市部自宅と預金がある相続

正味の遺産額1億円、固定資産税評価額6,000万円、配偶者が法定相続分を取得する前提では、相続税約315万円、登録免許税約24万円、初期税額合計は約339万円です。

Case C

賃貸不動産を含む高額相続

正味の遺産額2億円、固定資産税評価額1億円、配偶者が法定相続分を取得する前提では、相続税約1,350万円、登録免許税約40万円、初期税額合計は約1,390万円です。準確定申告も確認します。

Section 08

共有名義の不動産の固定資産税は誰が負担するか

自治体への納付義務と共有者間の内部負担を分けて整理します。

相続では、不動産を兄弟姉妹や親子で共有することがあります。この場合、自治体に対する関係では共有者全員が連帯して納付義務を負うとされます。納税通知書は代表者一人に届くことが多いものの、代表者だけが最終負担者になるわけではありません。

たとえば、兄弟3人が各3分の1ずつ実家を相続し、固定資産税・都市計画税が年12万円であれば、内部負担は各4万円が出発点です。長男が12万円を支払った場合、弟妹に各4万円の精算を求めることが考えられます。

次の判断の流れは、共有不動産の固定資産税を誰が実質負担するかを整理する順番を表します。税金の納付先と相続人同士の精算は別問題であるため重要で、持分割合、使用状況、合意の有無を順番に確認することを読み取ってください。

共有不動産の固定資産税を整理する順番

納税通知書と共有者を確認

代表者だけでなく、共有者全員の持分と納付状況を確認します。

持分割合を出発点にする

内部負担は原則として持分割合で精算する考え方から検討します。

特別事情あり
使用利益や収入を調整

一人だけが居住、賃貸収入を受領、管理費や修繕費を負担している場合は調整余地があります。

特別事情なし
持分割合で精算を検討

遺産分割協議や共有者間の合意に沿って、精算方法を明確にします。

長男だけが実家に住んでいる、賃貸収入を長男だけが受け取っている、遺産分割協議で長男が税金を負担する合意をしたといった事情があれば、結論は変わり得ます。共有名義の固定資産税問題は、使用利益、管理費、修繕費、火災保険料、将来売却時の費用と一体で整理します。

Section 09

不動産相続の税金手続と専門家の役割

4か月、10か月、3年、毎年、売却時の期限をまとめて確認します。

相続不動産の税金には、相続税の10か月だけでなく、準確定申告の4か月、相続登記の3年、固定資産税の毎年課税、売却時の翌年確定申告など複数の期限があります。

次の時系列は、不動産相続で確認する手続と期限を表します。期限を並べて見ることが重要で、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記、固定資産税、売却時申告の順番を読み取ってください。

死亡直後

死亡届、戸籍収集、相続人調査

税額試算の前提を整えます。

3か月以内

相続放棄・限定承認の検討

債務や固定資産税負担にも影響します。

4か月以内

準確定申告

被相続人に不動産所得などがあれば確認します。

10か月以内

相続税申告・納付

基礎控除超過や特例利用時は早めの準備が必要です。

取得を知った日から3年以内

相続登記

登録免許税と登記義務化を確認します。

毎年1月1日

固定資産税の賦課期日

所有者、共有者、相続人代表者を確認します。

売却時

譲渡所得申告

取得費、所有期間、特例適用を確認します。

次の一覧は、不動産相続で関わる専門家の役割を表します。税額、登記、紛争、不動産評価、測量、売却では担当領域が違うため、誰に何を相談するかを読み取ることが重要です。

税理士

相続税申告、不動産評価、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、準確定申告、売却時の譲渡所得税、税務調査対応を扱います。

税額試算申告

司法書士

相続登記、戸籍収集、登記原因証明情報、遺産分割協議書の登記適合性確認、法務局提出書類作成を担います。

登記

弁護士

相続人間で争いがある場合、遺産分割協議、遺留分、共有不動産の使用利益、固定資産税立替金、調停、審判、訴訟を扱います。

紛争

不動産鑑定士

遺産分割で不動産の時価が争点になる場合に鑑定評価を行います。収益物件、底地・借地権、特殊物件などで有用です。

評価

土地家屋調査士

境界確定、測量、分筆、表題登記、未登記建物の整理などを扱います。

測量

宅地建物取引士・不動産仲介業者

査定、販売活動、重要事項説明、売買契約、引渡し実務を担います。譲渡所得税の見込みは税理士と連携して確認します。

売却
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不動産相続の税金を試算するための実務チェックリスト

評価額、取得費、賃貸資料、債務資料を早めに集めます。

不動産税務では、資料の有無が税額に直結します。特に売却時の取得費資料がないと、概算取得費5%になり、譲渡所得税が高くなることがあります。

相続不動産の税金を把握するには、次の資料を集めます。

  • 固定資産税納税通知書
  • 固定資産税課税明細書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記事項証明書
  • 公図・地積測量図
  • 建物図面・各階平面図
  • 被相続人の購入時契約書
  • 建築請負契約書
  • リフォーム・増改築資料
  • 賃貸借契約書
  • 借入金残高証明書
  • 葬式費用の領収書
  • 生命保険金の支払通知
  • 預貯金・有価証券の残高証明
  • 過去の贈与資料
  • 遺言書
  • 遺産分割協議書案
注意固定資産税評価額、相続税評価額、実勢価格は別の価額です。相続税申告、相続登記、遺産分割、売却で使う価額が違うため、同じ不動産でも複数の資料を確認します。
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不動産を相続した場合にかかる税金のよくある質問

FAQは一般的な制度説明として整理しています。個別事情で結論は変わります。

Q1. 不動産を相続したら必ず相続税がかかりますか。

一般的には、正味の遺産額が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合に相続税が問題になるとされています。ただし、相続人の数、債務、葬式費用、特例の有無、過去の贈与などによって結論が変わる可能性があります。具体的な申告要否は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相続税がゼロなら税金は一切かかりませんか。

一般的には、相続税がかからない場合でも、相続登記をすれば登録免許税が、保有し続ければ固定資産税・都市計画税が、売却して利益が出れば譲渡所得税等が問題になる可能性があります。ただし、不動産の評価額、所在地、売却益、取得費資料などによって負担は変わります。具体的な税額は、資料を整理したうえで専門家へ確認する必要があります。

Q3. 不動産取得税はかかりますか。

一般的には、相続による不動産取得は不動産取得税が非課税とされています。ただし、死因贈与、相続後の贈与・売買、共有物分割で持分を超える取得がある場合などは、取得原因によって結論が変わる可能性があります。具体的には、登記原因や契約内容を確認したうえで自治体や専門家へ相談する必要があります。

Q4. 登録免許税はどのくらいですか。

一般的には、相続による所有権移転登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%とされています。固定資産税評価額3,000万円なら約12万円、1億円なら約40万円が目安です。ただし、免税措置や対象不動産の内容により結論が変わる可能性があります。具体的な登記費用は、固定資産評価証明書等を確認したうえで司法書士等へ相談する必要があります。

Q5. 固定資産税は誰が払いますか。

一般的には、毎年1月1日現在の所有者に課税され、共有名義の場合は共有者全員が連帯して納付義務を負うとされています。ただし、共有者間の内部負担は持分割合、使用状況、賃貸収入、遺産分割協議の内容などによって変わる可能性があります。具体的な精算方法は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q6. 共有者の一人だけが住んでいる場合、その人が全額払うものですか。

一般的には、自治体に対しては共有者全員が連帯納税義務を負い、内部負担は持分割合が出発点とされています。ただし、単独使用による利益、賃料相当額、管理費、修繕費、共有者間の合意などによって調整される可能性があります。具体的な負担関係は、事実関係を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q7. 相続後に売る場合、相続税と譲渡所得税の両方がかかりますか。

一般的には、相続税は相続財産の取得に対する税、譲渡所得税は売却益に対する税であり、両方が問題になる可能性があります。相続税を支払った人が一定期間内に売却する場合は、取得費加算の特例を検討することがあります。ただし、相続税の有無、売却益、取得費、所有期間、特例要件によって結論は変わります。具体的な税額は税理士等へ相談する必要があります。

Q8. 空き家を売ると3,000万円控除が使えますか。

一般的には、被相続人居住用財産の特例に該当すれば、最高3,000万円まで控除できることがあるとされています。ただし、建築時期、居住状況、耐震改修または取壊し、譲渡期間、譲渡価額、相続人の数など細かな要件で結論が変わります。2024年以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円までとされる点にも注意が必要です。具体的な適用可否は、売却前に税理士等へ相談する必要があります。

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不動産相続の税金は一覧化してから合計額を試算する

相続税、登記、保有、売却を分けることが安全な資金計画の出発点です。

不動産を相続した場合にかかる税金一覧と合計額の目安を正確に把握するには、まず遺産全体の正味額を把握し、相続税の基礎控除を超えるか確認します。次に、不動産の相続税評価額、固定資産税評価額、実勢価格を区別します。そのうえで、相続登記の登録免許税、相続後の固定資産税・都市計画税、売却時の譲渡所得税・住民税・特例を確認します。

次の重要ポイントは、税額を大きく左右する判断順序を表します。相続税がかからない家庭と高額相続では必要資金が大きく変わるため、初期税額、毎年の税額、売却時の税額を分けて読み取ってください。

相続税ゼロでも、初期税額がゼロとは限りません

相続税がかからない家庭では、初期税額が登録免許税のみ、つまり固定資産税評価額の0.4%程度で済むことがあります。一方、正味の遺産額が1億円、2億円と大きくなると、相続税だけで数百万円から数千万円に達する可能性があります。

売却益が大きい場合には、長期譲渡所得で約20.315%、短期譲渡所得で約39.63%の税負担も問題になります。相続不動産は、感情面でも経済面でも争いになりやすいため、早期に資料を集め、相続税・登記・固定資産税・売却時税務を一体として検討することが重要です。

Reference

この記事の参考情報源

相続税・評価・特例

  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「No.4155 相続税の税率」
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
  • 国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」

登記・固定資産税・不動産取得税

  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 内閣府税制調査会資料「固定資産税の概要」
  • 横浜市「固定資産税(土地)の税額計算の仕組み」
  • 地方税法第10条の2
  • 神奈川県「不動産取得税」
  • 山形県「不動産を相続したときには、不動産取得税は課税されますか?」

準確定申告・売却時課税

  • 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
  • 国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
  • 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
  • 国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」
  • 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」