2σ Guide

行動規範に盛り込むべき
反ハラスメント条項

ハラスメント条項は、禁止文言だけでなく、相談・調査・保護・是正・教育・監査までを接続する企業法務文書です。2026年10月1日施行予定の新たな防止措置も踏まえて整理します。

20必須条項
4層設計構造
2026施行予定
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行動規範に盛り込むべき 反ハラスメント条項

反 ハラスメント 条項は、禁止文言だけでなく、相談・調査・保護・是正・教育・監査までを接続する企業法務文書です。

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行動規範に盛り込むべき 反ハラスメント条項
反 ハラスメント 条項は、禁止文言だけでなく、相談・調査・保護・是正・教育・監査までを接続する企業法務文書です。
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  • 行動規範に盛り込むべき 反ハラスメント条項
  • 反 ハラスメント 条項は、禁止文言だけでなく、相談・調査・保護・是正・教育・監査までを接続する企業法務文書です。

POINT 1

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の全体像
  • 禁止文言だけでなく、相談、調査、保護、是正、教育、監査まで一体で設計します。
  • 基本方針・定義・適用範囲
  • 禁止行為・責務
  • 相談・調査・保護・是正

POINT 2

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の法的枠組み
  • パワハラ、セクハラ、妊娠・育児・介護、カスハラ、求職者等セクハラ、人権の観点を整理します。
  • 法的枠組みは、条項の定義と対象範囲を支える土台です。
  • 列を横に読むと、単なる類型名ではなく、相談窓口、調査、保護、教育に接続する必要があることが分かります。
  • ハラスメント対策は、人事労務だけでなく 企業法務の問題です。

POINT 3

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の対象範囲
  • 人の範囲と場面の範囲を広く定義しつつ、業務関連性や具体的事情に応じた運用にします。
  • 適用範囲は、誰を守り、誰に行動基準を求めるかを決める重要な部分です。
  • 左右の項目を読むことで、社内だけでなく、採用、テレワーク、顧客対応、取引先、グループ会社にも広がることが分かります。
  • 役員、正社員、契約社員、パート、アルバイト、出向者、派遣労働者、業務委託者、常駐ベンダーを対象にします。

POINT 4

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の禁止行為
  • パワーハラスメント
  • セクシュアルハラスメント
  • 性的冗談、性的経験の詮索、画像・動画共有、身体接触、交際・性的関係の要求、容姿への執拗な言及、アウティングなどです。

POINT 5

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の責務
  • 役員・管理職、従業員、周囲の者が、予防、相談連携、証拠保全、二次加害防止にどう関わるかを定めます。
  • 役員・管理職
  • 従業員等
  • 周囲の者

POINT 6

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の相談・調査手続
  • 1. 相談を受け付けます:本人、目撃者、上司、同僚、取引先、求職者から、該当性が不明な段階でも受け付けます。
  • 2. 初期評価と暫定措置を行います:安全確保、接触制限、連絡経路変更、緊急連絡先を確認します。
  • 3. 証拠保全と公正な聴取を行います:メール、チャット、勤怠、録音、録画、防犯カメラ、業務記録を必要範囲で保全します。
  • 4. 是正・懲戒・再発防止へ進みます:就業規則、契約、法令、社内規程に基づき、相当な措置を検討します。
  • 5. 保護と環境改善を続けます:断定できない場合も、報復防止、職場環境調整、研修、モニタリングを続けます。

POINT 7

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の保護・是正・懲戒
  • 被害者保護を本人の意向とともに行い、行為者への措置は就業規則・契約・相当性に基づいて選びます。
  • ハラスメント対応は、事実認定と処分だけでは終わりません。
  • 緊急時の安全確保、接触制限、座席・シフト・連絡経路の調整、産業医・EAP・カウンセリング案内、休職・復職支援を検討します。
  • 口頭注意、書面注意、指導、研修、謝罪、業務上の接触制限、配置転換、管理職解任などを事案に応じて選びます。

POINT 8

  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の教育・監査・見直し
  • 研修、記録、モニタリング、内部監査、グループ・取引先展開、多様性尊重、定期見直しまで設計します。
  • 行動規範は、配布しただけでは機能しません。
  • 列を横に読むと、相談件数だけでなく、初動日数、報復、部署別偏り、研修受講率、重大事案後の見直しまで追う必要が分かります。
  • 海外拠点では現地法に従いつつ、会社基準を下回らない運用を目指します。

まとめ

  • 行動規範に盛り込むべき 反ハラスメント条項
  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の全体像:禁止文言だけでなく、相談、調査、保護、是正、教育、監査まで一体で設計します。
  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の法的枠組み:パワハラ、セクハラ、妊娠・育児・介護、カスハラ、求職者等セクハラ、人権の観点を整理します。
  • 行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の対象範囲:人の範囲と場面の範囲を広く定義しつつ、業務関連性や具体的事情に応じた運用にします。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の全体像

禁止文言だけでなく、相談、調査、保護、是正、教育、監査まで一体で設計します。

行動規範における反ハラスメント条項は、単なる道徳的宣言ではありません。職場のパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントについて、事業主には方針の明確化、周知・啓発、相談体制、迅速かつ適切な事後対応、プライバシー保護、不利益取扱い禁止などの雇用管理上の措置が求められます。

さらに、2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントと求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務となる予定です。行動規範では、従業員同士だけでなく、顧客、取引先、採用応募者、インターン、業務委託者、グループ会社、サプライヤーまで視野に入れる必要があります。

次の4層構造は、反ハラスメント条項をどの順番で設計するかを示しています。読者にとって重要なのは、禁止行為だけでなく、相談後の手続、被害者保護、教育・監査まで含めて初めて機能する点を読み取ることです。

Layer 1

基本方針・定義・適用範囲

何を守る文書か、誰に適用されるか、どの場面を対象にするかを明確にします。

Layer 2

禁止行為・責務

何をしてはいけないか、役員・管理職・従業員・周囲の者にどの責任があるかを示します。

Layer 3

相談・調査・保護・是正

相談後の初動、事実確認、プライバシー、報復禁止、被害者保護、懲戒・再発防止を定めます。

Layer 4

教育・監査・見直し

研修、記録、モニタリング、内部監査、取引先展開、定期見直しを制度化します。

一般情報個別の事案でハラスメント該当性、懲戒処分、異動、労災、訴訟、公益通報、越境調査などを判断するには、具体的事情によって結論が変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 01

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の法的枠組み

パワハラ、セクハラ、妊娠・育児・介護、カスハラ、求職者等セクハラ、人権の観点を整理します。

法的枠組みは、条項の定義と対象範囲を支える土台です。次の比較表は、主な類型ごとに、何を見て、行動規範へどのように落とし込むかを示しています。列を横に読むと、単なる類型名ではなく、相談窓口、調査、保護、教育に接続する必要があることが分かります。

類型主な考え方行動規範での反映
パワーハラスメント優越的な関係、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動、就業環境の害を確認します。身体的攻撃、精神的攻撃、人間関係からの切り離し、過大・過小要求、個の侵害を具体化します。
セクシュアルハラスメント性的言動により不利益を受ける、または就業環境が害される場面を扱います。性的冗談、身体接触、交際要求、性的画像、SOGIに関する侮辱やアウティングを明示します。
妊娠・出産・育児・介護関連制度利用や状態に関する嫌がらせ、評価・昇進への不利益示唆を扱います。制度利用者だけでなく、相談・検討段階の者も保護します。
カスタマーハラスメント顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超え、就業環境を害する場合を扱います。従業員保護と正当な苦情・合理的配慮の申出の尊重を両立させます。
求職者等セクハラ採用、インターン、OB・OG訪問、実習などの場面を扱います。面接官、リクルーター、受入担当者の禁止行為と相談窓口を明示します。
国際人権・多様性暴力・ハラスメントから自由である権利、人権方針、人権デューデリジェンスに接続します。SOGI、障害、病歴、不妊治療、国籍、人種、宗教、年齢などへの侮辱・排除を含めます。

ハラスメント対策は、人事労務だけでなく企業法務の問題です。安全配慮義務、不法行為責任、使用者責任、労働局対応、訴訟、懲戒、個人情報、公益通報、取引先管理、危機広報が同時に関係するため、行動規範は就業規則や内部通報規程と連動させる必要があります。

Section 02

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の対象範囲

人の範囲と場面の範囲を広く定義しつつ、業務関連性や具体的事情に応じた運用にします。

適用範囲は、誰を守り、誰に行動基準を求めるかを決める重要な部分です。次の一覧は、人と場面を分けて対象を整理しています。左右の項目を読むことで、社内だけでなく、採用、テレワーク、顧客対応、取引先、グループ会社にも広がることが分かります。

役員・従業員・派遣・委託先

役員、正社員、契約社員、パート、アルバイト、出向者、派遣労働者、業務委託者、常駐ベンダーを対象にします。

内部

顧客・取引先・サプライヤー

顧客、利用者、患者、取引先、代理店、フランチャイジー、共同事業先も事業活動に関係する範囲で対象にします。

外部接点

求職者・内定者・インターン

採用面接、会社説明会、OB・OG訪問、インターン、教育実習、内定者交流も対象に含めます。

採用場面

オンラインと業務関連SNS

事業所、現場、出張先だけでなく、テレワーク、オンライン会議、チャット、メール、社内SNS、業務関連の投稿も扱います。

デジタル

完全な私生活上の紛争まで会社が無限定に介入することは適切ではありません。一方で、休日の飲み会、私用SNS、個人スマートフォンの連絡でも、業務上の関係、職位、採用、評価、取引、職場環境に影響する場合は対象になり得ます。条項では、業務に関連し、または職場環境・取引関係・採用活動に影響を及ぼす場面を含めると実務的です。

Section 03

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の禁止行為

抽象的な禁止だけでなく、読者が自分の言動を見直せる具体例を示します。

禁止行為を具体化すると、読者は自分の行動を修正しやすくなります。次の比較一覧は、主なハラスメント類型ごとの具体例を整理したものです。各項目は限定列挙ではなく例示として読み、オンライン、採用、顧客対応など現代的な場面にも広がる点を確認してください。

パワーハラスメント

暴力、人格否定、脅迫、公開叱責、無視、仲間外し、過大・過小要求、私生活・病歴・SOGIへの過度な介入、位置情報の不当取得などです。

セクシュアルハラスメント

性的冗談、性的経験の詮索、画像・動画共有、身体接触、交際・性的関係の要求、容姿への執拗な言及、アウティングなどです。

妊娠・育児・介護関連

制度利用への嫌味、評価低下の示唆、男性育休への嘲笑、介護休業相談の妨害、制度利用者の会議排除などです。

カスタマーハラスメント

暴行、脅迫、土下座強要、長時間拘束、不当な金銭要求、SNSでの晒し、盗撮、従業員の属性への侮辱などです。

デジタルハラスメント

深夜休日の不要な連絡、チャットでの集団攻撃、オンライン会議での侮辱、差別的投稿、生成AIや画像加工によるなりすましなどです。

適正な業務指導との区別も条項に入れる必要があります。次の表は、指導として相当なものと、ハラスメント化しやすいものを対比しています。列ごとの違いを読むと、目的、態様、時間、場所、記録、改善策の有無が判断に関係することが分かります。

適正な指導ハラスメント化しやすい指導
事実と業務上の必要性に基づきます。感情的、人格攻撃的、差別的です。
目的が教育・改善です。目的が見せしめ、排除、退職強要です。
場所・時間・態様が相当です。大声、長時間、公開叱責、深夜連絡です。
具体的な改善策があります。罵倒のみで改善策がありません。
記録が客観的です。記録がなく恣意的です。
Section 04

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の責務

役員・管理職、従業員、周囲の者が、予防、相談連携、証拠保全、二次加害防止にどう関わるかを定めます。

反ハラスメント条項は、相談窓口だけに責任を集めると機能しません。次の一覧は、役員・管理職、従業員、周囲の者の責務を分けて示しています。読者にとって重要なのは、管理職の放置責任と、周囲の者による支援・記録・相談が制度の実効性を高める点です。

Officer

役員・管理職

自らハラスメントを行わず、部下・同僚・顧客・取引先によるハラスメントを放置せず、相談を受けたら所定窓口へ連携します。相談者・協力者を保護し、行為者とされる者にも不当な決めつけをしません。

Employee

従業員等

他者の尊厳、人格、属性、境界線を尊重し、自らの言動が相手に与える影響に注意します。調査に誠実に協力し、虚偽申告を故意に行わないことも明記します。

Bystander

周囲の者

安全に介入できる場合は制止し、難しい場合は記録し、相談窓口に共有します。相談者を責めず、噂や詮索を広げないことが重要です。

管理職が知らなかったと言える状態を放置しないため、研修、評価項目、マネジメントKPI、360度評価、従業員サーベイ、内部監査で、予防責任を可視化します。必要な業務指導を避けるのではなく、事実、比例性、記録、尊重あるコミュニケーションを意識できる制度にすることが重要です。

Section 05

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の相談・調査手続

窓口、秘密保持、報復禁止、初期評価、証拠保全、公正な聴取、被害者保護を順番で示します。

相談・調査手続は、反ハラスメント条項の実効性を左右します。次の判断の流れは、相談を受けてから是正・再発防止までの順番を示しています。上から下へ進む順序に意味があり、初動、保護、証拠保全、聴取、判断、是正を切り離さず扱う点を読み取ってください。

相談から是正までの順番

相談を受け付けます

本人、目撃者、上司、同僚、取引先、求職者から、該当性が不明な段階でも受け付けます。

初期評価と暫定措置を行います

安全確保、接触制限、連絡経路変更、緊急連絡先を確認します。

証拠保全と公正な聴取を行います

メール、チャット、勤怠、録音、録画、防犯カメラ、業務記録を必要範囲で保全します。

確認あり
是正・懲戒・再発防止へ進みます

就業規則、契約、法令、社内規程に基づき、相当な措置を検討します。

確認困難
保護と環境改善を続けます

断定できない場合も、報復防止、職場環境調整、研修、モニタリングを続けます。

報復禁止は、相談制度の基礎です。次の一覧は、禁止すべき不利益取扱いを示しています。読者にとって重要なのは、相談者だけでなく、目撃者、協力者、調査担当者、支援者、行為者とされた者に対する私的制裁まで防ぐ点です。

雇用不利益
重大
評価低下
重大
孤立化
通報者探索
重大
横棒の長さは、制度への信頼を損なう度合いの目安です。実際の評価は、事案の具体的事情で変わります。
Section 06

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の保護・是正・懲戒

被害者保護を本人の意向とともに行い、行為者への措置は就業規則・契約・相当性に基づいて選びます。

ハラスメント対応は、事実認定と処分だけでは終わりません。次の一覧は、被害者保護、行為者への措置、第三者対応を分けて整理したものです。読者にとって重要なのは、被害者を一方的に異動させるのではなく、本人の意向、安全、業務上の必要性、二次被害の有無を確認する点です。

被害者保護・支援

緊急時の安全確保、接触制限、座席・シフト・連絡経路の調整、産業医・EAP・カウンセリング案内、休職・復職支援を検討します。

安全

是正措置

口頭注意、書面注意、指導、研修、謝罪、業務上の接触制限、配置転換、管理職解任などを事案に応じて選びます。

改善

懲戒処分

戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などは、就業規則上の根拠、手続、相当性を確認します。

慎重

顧客・取引先への対応

担当者変更、複数名対応、警告、契約上の是正要求、取引条件見直し、契約解除、出入り禁止を検討します。

外部

懲戒は、過去事例との均衡、行為態様、被害結果、故意性、反省、再発可能性、職位、会社への影響を踏まえて比例的に判断します。行動規範に懲戒対象と書くだけでは足りず、就業規則の服務規律・懲戒事由と連動させることが不可欠です。

注意顧客対応では、従業員保護と消費者・利用者保護の均衡が重要です。正当な苦情、契約上の申入れ、合理的配慮の申出、法令上の権利行使を安易にカスタマーハラスメントとして扱わないことが必要です。
Section 07

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の教育・監査・見直し

研修、記録、モニタリング、内部監査、グループ・取引先展開、多様性尊重、定期見直しまで設計します。

行動規範は、配布しただけでは機能しません。次の表は、教育・記録・監査・見直しで確認する項目を整理しています。列を横に読むと、相談件数だけでなく、初動日数、報復、部署別偏り、研修受講率、重大事案後の見直しまで追う必要が分かります。

領域確認する事項目的
教育・研修新入社員、管理職、役員、面接官、相談窓口、顧客対応部門、海外拠点を対象にします。定義、具体例、相談初動、証拠保全、報復禁止、カスハラ対応、採用場面を理解します。
記録受付日、相談方法、初期評価、暫定措置、聴取記録、証拠資料、判断理由、フォローアップを残します。後日の説明、再発防止、監査、訴訟対応に備えます。
モニタリング窓口周知率、相談件数、初動日数、調査完了日数、報復有無、部署別偏り、離職率、休職率を見ます。相談しやすさと組織課題を把握します。
見直し法改正、重大事案、相談傾向、IT・AIツール導入、M&A、海外進出、内部監査結果を契機にします。古い条項のまま放置せず、実態に合う制度に更新します。

グループ会社や取引先へ展開する場合は、同等の反ハラスメント基準、サプライヤー行動規範、是正要求、契約書の調査協力・再発防止・解除条項、共同プロジェクトでの相談窓口・責任分界を整えます。海外拠点では現地法に従いつつ、会社基準を下回らない運用を目指します。

Section 08

行動規範に掲載できる反ハラスメント条項例

基本方針、適用対象、定義、禁止行為、相談、秘密保持、報復禁止、調査、保護、是正、教育を条文化します。

モデル条項は、そのままコピーするためではなく、自社の業種、規模、就業規則、懲戒規程、内部通報規程、個人情報保護規程、海外拠点、労働組合との協議状況に合わせて調整するための土台です。次の表は、条項の骨子と、各条項で読み取るべきポイントを示しています。

条項モデル文言の要点調整ポイント
基本方針すべての人の尊厳、人格、心身の安全、公正な就業・求職・取引環境を尊重し、いかなるハラスメントも許容しません。トップメッセージ、企業理念、人権方針と整合させます。
適用対象・場面役員、従業員、派遣、委託先、求職者、取引先、顧客など事業活動に関係する者と、オンライン・採用・会食等を含めます。法的義務の範囲と、行動規範上の期待水準を区別します。
定義・禁止行為パワハラ、セクハラ、妊娠・育児・介護、カスハラ、求職者等セクハラ、SOGI、障害、報復、二次加害を禁止します。適正な業務指導、正当な苦情、合理的配慮の申出を除外する説明を入れます。
相談・秘密保持・報復禁止複数窓口、目撃者相談、必要最小限の情報共有、不利益取扱い禁止を明記します。匿名相談の限界、外部窓口、公益通報制度との関係を調整します。
調査・保護・是正初期評価、暫定措置、公正な聴取、証拠保全、被害者支援、相当な懲戒・契約措置を定めます。就業規則、懲戒委員会規程、個人情報保護規程と連動させます。

次の重要ポイントは、行動規範と周辺規程の関係を示しています。読者にとって重要なのは、行動規範だけで懲戒や調査を完結させず、就業規則、ハラスメント防止規程、内部通報規程、個人情報保護規程、懲戒委員会規程、サプライヤー行動規範をつなげる点です。

行動規範は入口、運用規程が実装です

行動規範は価値観と行動基準を示し、就業規則は服務規律と懲戒、ハラスメント防止規程は相談・調査・保護、内部通報規程は通報受付と報復禁止、個人情報保護規程は調査資料と機微情報、サプライヤー行動規範は取引先基準を担います。

Section 09

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項を企業規模別に整える

中小企業の最低限10項目と、大企業・上場企業で追加すべき高度な統制を分けて整理します。

企業規模によって、最初に整えるべき水準は変わります。次の比較表は、中小企業で最低限必要な項目と、大企業・上場企業で追加したい項目を並べたものです。左右を比べると、規模が大きいほど、グループ展開、匿名通報、人的資本、人権DD、取締役会報告、危機広報まで広がることが分かります。

中小企業で最低限整える事項大企業・上場企業で追加する事項
会社はハラスメントを許さないというトップメッセージです。取締役会・監査役会・監査等委員会への重大事案報告基準です。
パワハラ、セクハラ、妊娠・育児・介護関連の定義です。グループ会社共通基準、海外拠点の現地法対応、グローバル最低基準です。
相談窓口、外部相談先、不利益取扱い禁止、プライバシー保護です。第三者窓口、外部専門家窓口、匿名通報システム、内部通報制度との統合です。
初動手順、被害者保護、懲戒根拠、管理職研修です。人的資本・ESG・人権DD、サプライヤー監査、契約条項、内部監査です。
年1回の見直しと周知です。役員・管理職特別研修、危機広報、開示、当局対応です。

次のチェック項目は、条項作成時に見るべき範囲を示しています。上から下へ確認すると、基本設計、定義・適用範囲、相談・調査、保護・報復禁止、是正・再発防止の順に抜け漏れを確認できます。

基本設計

周辺規程との整合を確認します

行動規範、就業規則、ハラスメント防止規程、内部通報規程、法定類型と企業独自基準を整理します。

相談・調査

複数窓口と初動を確認します

匿名相談、目撃者相談、暫定措置、証拠保全、利害関係者排除、判断までの流れを整えます。

是正・改善

再発防止まで確認します

懲戒事由、指導・研修・配置、顧客・取引先への是正要求、年1回以上の見直しを組み込みます。

Section 10

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項のFAQ

制度設計でよく出る疑問を、一般情報型で整理します。

行動規範に反ハラスメント条項を書けば、法令対応は完了ですか。

一般的には、行動規範は出発点であり、方針の明確化と周知の一部とされています。実際には、相談窓口、調査手続、プライバシー保護、不利益取扱い禁止、被害者保護、懲戒規程、研修、再発防止、記録、監査まで整備する必要があります。

相談件数が増えると、会社の評価は下がりますか。

一般的には、相談件数の増加は必ずしも悪いことではありません。窓口が信頼され、早期発見が進んでいる可能性もあります。重要なのは、初動の速さ、対応の適切さ、報復防止、再発防止、組織改善です。

管理職が厳しく指導すると、すべてパワハラになりますか。

一般的には、業務上必要かつ相当な範囲で、事実に基づき、目的・態様・時間・場所・頻度が相当な指導は、パワーハラスメントには該当しないとされています。ただし、人格攻撃、長時間叱責、公開罵倒、差別的発言、退職強要、過剰な監視などは問題になり得ます。

顧客からの厳しい苦情はカスタマーハラスメントですか。

一般的には、すべての苦情がカスタマーハラスメントになるわけではありません。正当な苦情、契約上の申入れ、合理的配慮の申出、消費者としての権利行使は尊重されるべきです。暴力、脅迫、長時間拘束、不当要求、SNS晒し、人格攻撃など、社会通念上許容される範囲を超えたものが問題になります。

匿名通報だけで懲戒できますか。

一般的には、匿名通報は重要な端緒になり得ますが、懲戒には客観的な事実確認が必要です。匿名情報だけで直ちに処分するのではなく、証拠保全、関係者聴取、弁明機会、過去事例との均衡を踏まえる必要があります。

取引先の社員が自社従業員にハラスメントをした場合はどう考えますか。

一般的には、まず従業員の安全確保と事実確認を行い、そのうえで取引先への是正要求、担当者変更、複数名対応、契約条項に基づく改善要求・契約解除などを検討します。具体的な対応は契約関係、事実関係、証拠の有無で変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Reference

行動規範に盛り込むべき反ハラスメント条項の参考資料

公的機関・法令・国際資料

  • 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
  • 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
  • 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
  • 厚生労働省「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
  • 厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」
  • e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
  • e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
  • e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
  • e-Gov法令検索「労働契約法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」
  • 国際労働機関「2019年の暴力及びハラスメント条約 第190号」
  • 経済産業省「ビジネスと人権 ― 責任あるバリューチェーンに向けて」
  • 内閣府「合理的配慮の提供に関するリーフレット」
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団 ― 裁判例を見てみよう」