元交際相手の待ち伏せ、連続連絡、位置情報追跡がある場面で、警察の警告・禁止命令等、DV防止法の保護命令、証拠整理、弁護士相談の役割を整理します。
読者が使う「接近禁止」という言葉を、法律上の制度に分けて整理します。
読者が使う「接近禁止」という言葉を、法律上の制度に分けて整理します。
ストーカー被害で接近禁止命令を調べている人の多くは、法律名を知りたいだけではなく、元交際相手が自宅や職場の周辺に現れる、拒否後も電話・SNS・メールが続く、行動を把握しているような連絡が来る、GPS機器や紛失防止タグを悪用されている疑いがある、といった切迫した不安を抱えています。
日本法で一般に接近禁止命令と呼ばれる手段は一種類ではありません。次の比較表は、ストーカー規制法上の警告・禁止命令等と、DV防止法上の保護命令を分けて見るためのものです。読者にとって重要なのは、相手との関係性と危険の内容によって、警察・公安委員会の手続が中心になる場合と、裁判所の手続が中心になる場合がある点を読み取ることです。
| 読者がイメージする接近禁止 | 法制度上の主な名称 | 主体 | 主な対象関係 | 典型場面 |
|---|---|---|---|---|
| ストーカー加害者に近づかないよう求めたい | ストーカー規制法上の警告・禁止命令等 | 警察本部長等・都道府県公安委員会等 | 元交際相手、知人、職場関係者、SNS上の相手など | つきまとい、待ち伏せ、連続連絡、GPS機器・紛失防止タグ等 |
| 配偶者・元配偶者・同居交際相手から近づかれないようにしたい | DV防止法上の保護命令のうち接近禁止命令等 | 裁判所 | 配偶者、元配偶者、生活の本拠を共にする交際相手等 | 身体への暴力等や脅迫があり、生命・心身への重大な危害のおそれがある場面 |
危険が差し迫っている場合は、読み進めるより先に110番通報が一般に優先される対応とされています。緊急ではない警察相談では、最寄りの警察署や警察相談専用電話#9110の利用が案内されています。証拠の保存も大切ですが、安全を損ねる証拠収集を続ける必要はありません。
ストーカー行為、警告・禁止命令等、DV保護命令の違いを確認します。
ストーカー規制法、正式にはストーカー行為等の規制等に関する法律は、ストーカー行為の処罰と被害者への援助措置により、身体、自由、名誉への危害を防ぎ、生活の安全と平穏を守ることを目的とする法律です。問題になる行為は、大きくつきまとい等と位置情報無承諾取得等に分けられます。
規制対象になり得る行為には、つきまとい、待ち伏せ、見張り、押し掛け、監視していると告げる行為、面会・交際の要求、乱暴な言動、無言電話・連続連絡、名誉を傷つける行為、性的羞恥心の侵害、GPS機器や紛失防止タグの取付け・位置情報取得などがあります。実務上は、単発の嫌がらせか、反復性・危険性のあるストーカー事案か、好意感情やその不満による怨恨感情に基づくものかが検討されます。
次の一覧は、接近禁止命令という言葉の周辺で混同しやすい制度を並べたものです。どの主体が命令を出すのか、どの関係が対象になりやすいのかを比較すると、警察相談と裁判所申立てを取り違えにくくなります。
つきまとい等や位置情報無承諾取得等が問題になります。拒否後の連続連絡、待ち伏せ、監視を告げる連絡などは、反復性や危険性と合わせて整理されます。
ストーカー規制法の文脈では、警察本部長等による警告や、都道府県公安委員会等による禁止命令等が中心になります。命令違反には刑事罰が予定されています。
配偶者、元配偶者、生活の本拠を共にする交際相手等からの暴力等がある場合、裁判所の保護命令が問題になります。接近禁止命令、電話等禁止命令、退去等命令などがあります。
DV防止法上の申立人への接近禁止命令は、裁判所の案内では1年間、申立人の身辺につきまとい、通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとされています。保護命令違反については、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金という刑事罰が案内されています。
一方で、元交際相手がストーカー行為をしていても、生活の本拠を共にしていない場合、DV防止法上の保護命令の対象に直ちに入るとは限りません。反対に、配偶者、元配偶者、事実婚、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力・脅迫を伴う場合は、保護命令の検討が重要になります。
同居歴のない元交際相手による待ち伏せ、連続連絡、位置情報追跡を例にします。
被害者Aさんは30代の会社員、加害者Bは元交際相手です。二人は半年ほど交際しましたが同居はしておらず、AさんはBの束縛が強くなったため別れを告げ、以後の連絡を拒否しました。この前提では、まずストーカー規制法上の警告・禁止命令等が中心になり、脅迫、住居侵入、器物損壊、名誉毀損、私事性的画像の拡散などが絡む場合は刑事手続や民事対応も並行して検討されます。
次の時系列は、Aさんの被害がどのようにエスカレートしたかを表します。上から下へ時間が進むため、拒否後に連絡・待ち伏せ・監視告知・位置情報追跡疑い・脅迫的文言が重なっていく点を読み取ることが重要です。
「もう一度話したい」「会わないなら会社に行く」と連絡があり、SNSメッセージと着信履歴が残っています。
偶然ではないと感じる出没があり、同僚の目撃や会社入口の防犯カメラ相談メモが残ります。
拒否後も電話や無言電話が続き、業務に支障が出ます。着信履歴、録音、スクリーンショットが重要です。
「今日は白い服だったね」「駅から遠回りしただろう」など、行動を把握しているような連絡が届きます。
自宅近くでBの車を複数回確認し、写真、ナンバー、時刻メモが証拠整理の対象になります。
車両下部から不審なタグを発見します。現物、写真、スマートフォン通知を保存し、警察へ相談する場面です。
「警察に言ったらただでは済まない」といった文言が届き、身体への危険を感じる状況になります。
Aさんの事例では、複数の行為がストーカー規制法上の類型に該当し得ます。次の比較表では、行為の種類ごとに、どの類型が問題になりやすいかと、警察・弁護士へ説明する際に何を重視すべきかを整理しています。
| Bの行為 | 該当し得る類型 | 重要な確認点 |
|---|---|---|
| 勤務先や自宅付近での待ち伏せ | つきまとい、待ち伏せ、見張り、押し掛け、うろつき | 通常所在する場所の付近か、反復性があるか |
| 今日の服装などを告げる連絡 | 監視していると告げる行為 | 監視されていると思わせる内容か |
| 拒否後の連続電話・SNS | 拒否後の連続した電話、電子メール、SNS等 | 拒否の意思表示後も続いているか |
| 復縁要求、面会要求 | 面会・交際等の要求 | 義務のない面会等を求めているか |
| 紛失防止タグの取付け・位置情報取得 | 位置情報無承諾取得等 | 承諾なく取り付け、位置情報を取得しているか |
| 警察へ言った場合の害悪を示す文言 | 脅迫等の刑事事件の可能性 | 生命、身体、自由、名誉、財産への害悪告知といえるか |
2025年のストーカー規制法改正では、紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等が規制対象行為に追加され、職権での警告も創設されたと公的資料で説明されています。令和7年12月30日から、紛失防止タグによる位置情報無承諾取得等の追加、職権警告、勤務先・学校の援助努力義務の追加、禁止命令等の主体の追加が施行された点も重要です。
安全確保、証拠保存、警察相談、禁止命令後の対応までを段階で見ます。
手続の入り口で最優先されるのは、法的な勝敗ではなく安全です。次の判断の流れは、危険が差し迫る場面と、証拠を整理して警察相談・弁護士相談へ進む場面を分けるためのものです。上から下へ順に確認し、緊急時には証拠整理より即時連絡が優先される点を読み取ってください。
自宅前・職場前に相手がいる、具体的な脅しがある、凶器や車両で接近しているなど。
人命・安全に関わる場面では、一般に警察への連絡が優先される対応とされています。
メッセージ、着信履歴、写真、録音、タグ、相談記録などを削除せず整理します。
関係性、拒否の事実、行為内容、反復性、危険性、証拠、求める対応を短く伝えます。
警察・公安委員会が行為類型、証拠、反復のおそれ、危険性などを総合的に見ます。
命令後も接触や連絡があれば、日時・場所・媒体・証拠を保存し警察へ伝える場面です。
加害者が今いる、具体的な脅しがある、危険物や車両を使って接近している、自宅や車両に異常がある、子どもや親族に危害が及ぶおそれがある、GPS機器や位置情報共有アプリによる追跡が疑われる場合は、一般に即時対応が重視されます。
証拠整理は、裁判のためだけではなく、警察が危険性を判断し、警告、禁止命令等、検挙、パトロール強化、110番緊急通報登録、住民票閲覧制限支援などを検討する際にも役立ちます。次の表は、手元にあるものをどのように保存し、何に注意するかを示します。証拠の種類ごとに、危険を増やさず残す方法を読み取ってください。
| 証拠 | 保存方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| SNSメッセージ | スクリーンショット、PDF保存、URL・ID・日時の記録 | ブロック前に必要部分を保存し、削除・編集しない |
| 着信履歴 | スクリーンショット、通信会社への履歴取得相談 | 非通知でも日時・回数を記録する |
| 留守番電話・通話 | 音声ファイル保存、文字起こし | 危険な会話を続けず、安全確保を優先する |
| 待ち伏せ写真 | 日時・場所が分かる形で保存 | 自分で追跡せず、撮影で危険を増やさない |
| 会社・学校の記録 | 上司・総務・学生課への相談メモ、入退館記録 | 勤務先・学校には情報管理も依頼する |
| 紛失防止タグ・GPS機器 | 発見場所の写真、現物、スマートフォン通知 | 自宅に持ち帰らず警察へ相談し、端末を不用意に破壊しない |
| 医療記録 | 診断書、受診記録、心理的症状の記録 | DV保護命令や損害賠償で重要になることがあります |
| 警察相談履歴 | 相談日時、担当部署、相談番号等 | その後の申立てや説明で経過を示しやすい |
警察に相談する際は、怖いという感情だけでなく、関係性、別れ・拒否の事実、行為の内容、反復性、危険性、証拠、求める対応を短く整理して伝えると状況が伝わりやすくなります。Aさんの事例では、元交際相手からの連続連絡、拒否の意思表示、勤務先前での待ち伏せ、自宅付近での車両確認、紛失防止タグ、脅迫的メッセージを一つの時系列にまとめることが基礎資料になります。
禁止命令等は出て終わりではありません。自宅、職場、学校、駅、よく行く店の付近に現れる、SNSの別アカウントや家族・職場経由で連絡してくる、荷物や手紙を送りつける、位置情報を取得しようとする、命令を無視する内容のメッセージを送るといった場合は、日時・場所・媒体・証拠を残し、警察へ伝えることが重要です。
同居していた元交際相手や配偶者からの暴力・追跡では裁判所手続を検討します。
Cさんは元交際相手Dと2年間同居していました。Dは交際中から暴力的で、Cさんは顔を殴られて病院を受診しています。別居後、Dは転居先付近に現れ、「戻らないなら家族にも話す」「逃げても無駄だ」と連絡し、職場にも電話をして勤務時間を尋ねています。この場合は、ストーカー規制法に加えて、DV防止法上の保護命令が重要になります。
次の比較表は、裁判所の保護命令で検討される主な種類を整理したものです。どの命令が本人、子、親族、住居、連絡手段のどこを守るのかを読み取ることで、単に近づかない命令だけでは足りないケースを把握しやすくなります。
| 保護命令の種類 | 概要 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 申立人への接近禁止命令 | 1年間、申立人の身辺へのつきまといや通常所在する場所付近のはいかいを禁止 | 被害者本人への直接接近を止める中核的命令 |
| 申立人への電話等禁止命令 | 接近禁止命令期間中、面会要求、監視告知、粗野乱暴な言動、連続電話・SNS送信、GPS取得等を禁止 | 接近禁止だけでは足りない連絡・監視型DVに有効 |
| 子への接近禁止命令 | 同居している子へのつきまとい等を禁止 | 子を通じた接触や連れ戻しリスクへの対応 |
| 子への電話等禁止命令 | 子に対する一定の連絡・監視等を禁止 | 子への心理的圧迫や連絡経由での接触を防ぐ |
| 親族等への接近禁止命令 | 親族等へのつきまとい等を禁止 | 実家・友人宅・支援者への押しかけ対策 |
| 退去等命令 | 一定期間、生活の本拠である住居から退去し付近をはいかいしないよう命令 | 同居住居からの避難や生活再建の猶予確保 |
退去等命令については、原則2か月間、建物の所有者または賃借人が申立人のみである場合に申立てがあったときは6か月間とされています。申立人の要件では、配偶者から身体に対する暴力等を受けた者が、さらなる身体に対する暴力等により、生命または心身に重大な危害を受けるおそれが大きいかが重要になります。
Cさんのような事例では、同居していた事実、暴力・脅迫、現在の危険、申立ての必要性を資料化します。住民票、賃貸借契約、公共料金、診断書、負傷写真、警察相談記録、メッセージ、録音、目撃者、転居先付近での出没、職場への電話、親族への接触などが検討材料になります。
通知書だけでなく、警察・裁判所・勤務先・支援機関を組み合わせる安全設計が重要です。
ストーカー被害で弁護士に相談する意味は、加害者へ通知書を送ることだけではありません。危険な事案では、弁護士からの通知が加害者を刺激することもあり得るため、警察、裁判所、勤務先・学校、配偶者暴力相談支援センター、法テラス、医療機関、自治体をどう組み合わせるかという安全設計が重要になります。
次の一覧は、弁護士に相談した場合に整理し得る支援領域を示します。各項目は単独で完結するものではなく、警察相談や保護命令申立て、会社・学校対応と組み合わせて考える点を読み取ってください。
ストーカー規制法、DV防止法、刑法、民事上の不法行為、個人情報保護、労務対応を切り分けます。
制度整理被害事実、証拠、危険性、求める措置を整理し、被害届・告訴・相談同行の可否を検討します。
初動DV防止法上の要件、申立書・陳述書・証拠整理、裁判所対応を確認します。
裁判所警察・公安委員会への説明資料や、違反時の証拠化を整理します。
警告損害賠償、差止め、慰謝料請求、示談交渉の可否を検討します。
注意SNSでの晒し返し、直接交渉、家族経由交渉など、危険を増やす対応を避けるための助言を受けます。
安全初回相談では、長時間の口頭説明より、日付・場所・行為・証拠・相談履歴をまとめた時系列表、スクリーンショット・PDF・写真・録音・診断書などの証拠フォルダ、接近禁止・連絡禁止・職場への接触禁止・退去・損害賠償・刑事処罰・避難・子の安全確保など希望する結果の整理が役立ちます。
経済的事情や緊急性がある場合、法テラスの利用も選択肢です。公的資料では、DV、ストーカー、児童虐待の被害を受けている方または受けるおそれのある方に対し、弁護士による法律相談が案内されています。一定の資産要件のもとで相談費用がかからない場合や、電話・オンライン相談が可能な場合もあります。
弁護士を探す際は、ストーカー規制法・DV防止法・保護命令の対応経験、警察相談や刑事告訴の支援経験、緊急案件への対応体制、安全な連絡方法、会社・学校・自治体との連携について助言できるか、被害者の意思決定を尊重するかを確認することが望まれます。
勤務先・学校・地域が接触機会を減らし、情報を守ることも重要です。
ストーカー被害は私生活だけの問題ではありません。加害者は、勤務先、学校、実家、友人、SNS、店舗、イベント会場など、被害者が通常所在する場所を狙うことがあります。2025年改正では、被害者を雇用する者や、被害者が就学する学校の長が援助努力義務の主体に追加されたと公的資料で説明されています。
次の表は、会社・学校で検討される実務対応を、場面ごとにまとめたものです。どの部署や担当者が何を共有し、どこで個人情報管理とのバランスを取るかを読み取ると、被害者に不利益を与えず接触機会を減らす方向性が見えます。
| 場面 | 対応例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 受付・守衛 | 加害者の氏名・写真・車両情報を必要範囲で共有 | 個人情報管理と安全確保のバランスが必要 |
| 勤務シフト | 出退勤時間・入口・勤務場所を変更 | 被害者に不利益な扱いにならないよう配慮 |
| ウェブ掲載 | 氏名、顔写真、担当業務、出勤予定の削除・非公開 | 公開情報から居場所を特定されるリスクを減らす |
| 電話対応 | 在籍・勤務時間・連絡先を回答しない方針 | 受付担当者への周知が不可欠 |
| 学校 | 授業教室、研究室、サークル情報、掲示物への配慮 | 学生相談室・警察・保護者との連携 |
| 社内相談 | 人事、総務、法務、産業医、EAP等の連携 | 被害者の同意なく情報を広げない |
職場や学校への共有は、安全のために必要な範囲へ絞ることが重要です。被害者の同意なく情報を広げると、二次被害や居場所の漏えいにつながる可能性があります。警察・弁護士・支援機関と連携しながら、受付対応、勤務・授業場所の調整、公開情報の非公開化を検討します。
同居歴、暴力の有無、職場・学校への出没、ネット上の行為で制度選択が変わります。
典型パターンを分けると、どの制度を中心に検討し、どの証拠を優先して残すかが見えやすくなります。次の一覧は、関係性と行為の種類ごとに結論の方向性を整理したものです。各項目は一般的な整理であり、個別事情によって結論が変わる可能性があります。
中心はストーカー規制法上の警告・禁止命令等です。警察相談、証拠保存、刑事事件化の検討、弁護士相談による資料整理が中心になります。
DV防止法上の保護命令が重要です。ストーカー規制法上の対応も並行し得ます。
生活の本拠を共にしていたか、関係解消前からの暴力等が継続しているかにより、保護命令が検討対象になります。
通常所在する場所付近の待ち伏せ・見張り等が問題になり得ます。受付・守衛・人事・学生課への最小限の共有が重要です。
位置情報無承諾取得等として問題になり得ます。発見場所・日時・状態を撮影し、警察へ相談する場面です。
拒否後の連続SNS送信、名誉を傷つける行為、性的羞恥心の侵害、私事性的画像の拡散等が問題になり得ます。
SNS・ネット上の行為では、URL、アカウントID、投稿日時、スクリーンショット、画面録画、通知メール等を保存します。プラットフォームへの削除申請、警察相談、発信者情報開示、損害賠償なども検討対象になりますが、具体的な見通しは証拠関係や投稿内容によって変わります。
怖い出来事を、反復性・拒否後の継続・危険性が伝わる形に整えます。
ストーカー被害で接近禁止命令を検討する場面では、「怖い出来事がたくさんあった」という説明だけでは判断材料として不足しがちです。次の表は、Aさんの想定事例に基づき、日時、場所・媒体、行為、拒否後か、証拠、危険評価メモを一列ずつ整理したものです。拒否後に行為が続いているか、危険が強まっているかを読み取ることが重要です。
| No. | 日時 | 場所・媒体 | 行為 | 拒否後か | 証拠 | 危険評価メモ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2026/4/1 20:30 | LINE | 「やり直したい。会って」 | 拒否前 | SS001 | 別れ話直後 |
| 2 | 2026/4/2 09:10 | LINE | 「今後連絡しないで」と送信 | 拒否意思表示 | SS002 | 拒否の基準点 |
| 3 | 2026/4/5 18:40 | 勤務先前 | Bが入口付近で待つ | 拒否後 | 写真P001、同僚M証言 | 勤務先把握 |
| 4 | 2026/4/8 23:10-23:50 | 電話 | 18回着信、2件無言留守電 | 拒否後 | Call001、音声V001 | 深夜反復 |
| 5 | 2026/4/12 19:02 | SNS | 「今日の白い服、似合ってた」 | 拒否後 | SS010 | 監視告知 |
| 6 | 2026/4/14 07:30 | 自宅付近 | B車両らしき車を確認 | 拒否後 | 写真P005 | 住居付近出没 |
| 7 | 2026/4/20 21:00 | 車両 | 紛失防止タグを発見 | 拒否後 | 写真P009、現物 | 位置情報追跡疑い |
| 8 | 2026/4/21 00:15 | SNS | 「警察に言ったらただでは済まない」 | 拒否後 | SS015 | 脅迫的文言 |
スクリーンショットには、可能な範囲で、相手のアカウント名、ID、日時、メッセージ内容が分かる形で保存します。印刷する場合も、元データを削除しないことが重要です。ただし、証拠保存のために危険なやり取りを続ける必要はありません。
相談先ごとの強みと限界を分けて、手続を組み合わせます。
ストーカー被害では、警察、公安委員会、裁判所、弁護士、配偶者暴力相談支援センター等、会社・学校がそれぞれ異なる役割を持ちます。次の表は、相談先ごとに何ができ、どこに限界があるかを比較するためのものです。単一の窓口だけで解決しようとせず、役割を組み合わせる点を読み取ってください。
| 機関・専門家 | 主な役割 | できること | 限界・注意点 |
|---|---|---|---|
| 警察 | 危険防止、行政措置、刑事事件対応 | 相談、警告、禁止命令等、検挙、パトロール、緊急通報登録等 | 民事上の慰謝料請求や離婚条件交渉の代理はしない |
| 都道府県公安委員会等 | ストーカー規制法上の禁止命令等 | 反復のおそれがある場合の禁止命令等 | 事案・証拠・危険性に基づく判断が必要 |
| 裁判所 | DV防止法上の保護命令、民事手続 | 接近禁止命令、電話等禁止命令、退去等命令等 | 申立要件・証拠・管轄を満たす必要がある |
| 弁護士 | 法的整理、代理、申立て・交渉支援 | 警察相談同行、保護命令申立て、告訴、損害賠償、会社対応助言 | 弁護士通知だけで安全が確保されるわけではない |
| 配偶者暴力相談支援センター等 | 相談・避難・自立支援 | 相談、保護命令制度の情報提供、一時保護等 | 地域・施設により対応内容や時間が異なる |
| 会社・学校 | 接触機会の低減、情報管理 | 受付対応、勤務・授業場所の調整、情報非公開 | 被害者の同意なき情報拡散を避ける必要 |
配偶者暴力相談支援センターは、相談、相談機関紹介、カウンセリング、緊急時の安全確保・一時保護、自立支援、保護命令制度利用についての情報提供等を行う窓口として案内されています。DVが関係する場合は、警察や弁護士だけでなく、支援センターとの連携も検討されます。
制度への期待と実際の手続の違いを、一般情報として整理します。
一般的には、相談と命令は別の手続とされています。警察は相談内容に応じて、警告、禁止命令等、検挙、保護措置等を検討しますが、命令には事案の確認と判断が必要です。ただし、行為類型、証拠、反復性、危険性などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、危険がある場合は証拠集めより安全確保が優先される対応とされています。ストーカー行為はエスカレートし重大な被害につながるおそれがあるため、不安を感じた段階で警察相談が案内されています。ただし、緊急性や被害状況により対応は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、直接交渉は加害者を刺激したり、接触機会を増やしたりする可能性があるとされています。弁護士通知も万能ではなく、安全性を前提に判断する必要があります。ただし、関係性、証拠、危険性、警察相談の状況によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相手をSNSで晒す行為は、名誉毀損、プライバシー侵害、逆上リスク、証拠価値の低下を招く可能性があります。被害記録は、警察、弁護士、裁判所、支援機関に見せる形で保存するのが基本とされています。ただし、投稿内容や被害状況によって法的評価は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、ブロックは安全対策として有効な場合がありますが、ブロック前に必要な証拠を保存しておかないと、反復性や拒否後の連絡を示しにくくなる可能性があります。ただし、証拠保存のために危険なやり取りを続ける必要はありません。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、DV防止法は女性だけを対象にした法律ではなく、男性被害者も対象とされています。また、日本にいる外国人にも適用されると公的資料で説明されています。ただし、対象関係、暴力・脅迫の内容、現在の危険性によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
安全確保、証拠、弁護士相談で確認したい事項をまとめます。
制度選択、安全確保、時系列と証拠の3点が実務上の中心です。
ストーカー被害で接近禁止命令を検討する場面で最も重要なのは、読者が使う接近禁止命令という言葉を、法律上の正確な制度に翻訳することです。元交際相手や知人による待ち伏せ、連続連絡、監視告知、GPS・紛失防止タグによる追跡などでは、ストーカー規制法上の警告・禁止命令等が中心になります。
配偶者、元配偶者、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力・脅迫を伴う場合には、DV防止法上の保護命令として、裁判所に接近禁止命令、電話等禁止命令、子・親族への接近禁止命令、退去等命令を申し立てることが検討されます。脅迫、暴行、住居侵入、器物損壊、性的画像の拡散、名誉毀損などがある場合、刑事手続や民事請求も並行して検討されます。
次の重要ポイントは、このページ全体の結論を短く整理したものです。安全確保、制度の切り分け、証拠整理、相談先の組み合わせを同時に見ることで、接近禁止だけに意識が偏らないようにする点を読み取ってください。
危険が差し迫る場合は110番、緊急ではない相談は警察署や#9110、DVが関係する場合は配偶者暴力相談支援センターやDV相談窓口、法的手続の整理には弁護士相談が重要です。
メッセージ、着信履歴、写真、録音、位置情報追跡の痕跡、診断書、警察相談記録、会社・学校の目撃情報を保存し、反復性、拒否後の継続、危険性を示せる形に整理することが、警察・裁判所・弁護士のいずれにおいても重要になります。被害者が一人で抱え込むほど、加害行為がエスカレートするリスクがあります。法的手続は、危険な相手と直接対決するためのものではなく、第三者機関を介して安全を確保するためのものとして考えることが大切です。