相続問題で法テラスの民事法律扶助を使えるかは、月収だけでは決まりません。収入、資産、事件の見通し、制度趣旨、必要書類、契約後の返済までを一体で確認する必要があります。
相続問題で 法テラスの民事法律扶助を使えるかは、月収だけでは決まりません。
法テラスの収入要件を満たしていても、それだけで弁護士費用を当然に立て替えてもらえるわけではありません。弁護士費用等の立替制度は、民事法律扶助のうち「代理援助」または「書類作成援助」と呼ばれる制度で、審査を経て利用の可否や立替金額が決まります。
制度の判断枠組みは、収入と資産が一定基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適することの3つを中心に整理できます。相続では、現在の収入が少なくても未分割の遺産、自宅、相続不動産、配偶者や同居親族との関係、使い込み疑いの証拠などが関係するため、月収だけで結論を出さないことが重要です。
次の重点一覧は、法テラスの弁護士費用立替えで確認される3つの柱を表しています。どの項目も利用可否に影響するため、読者は「収入基準を満たした後に何を追加で説明する必要があるか」を読み取ってください。
手取り月収だけでなく、預貯金、有価証券、不動産などの資産も確認されます。配偶者が紛争の相手方かどうかで合算の扱いが変わる場合があります。
相続人であること、遺産分割・遺留分・使い込みなど法的に整理できる争点があること、資料に基づく解決可能性があることが見られます。
報復目的や権利濫用的な申立てではなく、法的な権利実現や紛争解決のための利用かどうかが問題になります。
法律相談援助、代理援助、書類作成援助の違いを押さえると、どの費用が問題になるか整理しやすくなります。
法テラスは、日本司法支援センターの通称です。民事法律扶助業務では、経済的に余裕がない人が法的トラブルに直面したときに、無料法律相談を行い、必要な場合に弁護士または司法書士の費用を立て替えます。
ここでいう立替えは、贈与や給付ではありません。法テラスが先に支払い、利用者が無利息で分割返済する仕組みです。無料法律相談を受けたことと、弁護士費用等の立替えが認められることは別に考える必要があります。
次の比較表は、法テラスの3つの援助類型と相続での典型場面を表しています。制度ごとに対象が違うため、読者は「相談だけなのか、代理や書類作成の費用立替えまで必要なのか」を区別して読み取ってください。
賞与を含む手取り年収の12分の1を基本に、家族人数、配偶者の扱い、住居費などを確認します。
法テラスでいう収入要件は、資力基準の一部です。収入は手取りの平均月収で判断され、賞与も含めた手取り年収を12で割った額が基本になります。申込者と配偶者の手取り月収額を合算するのが原則ですが、配偶者が紛争の相手方である場合は申込者本人の収入のみで判断されることがあります。
次の比較表は、2026年3月現在の家族人数別の収入基準を表しています。一般地域と生活保護一級地などでは基準額が違うため、読者は自分の居住地と家族人数に近い行を確認し、月収が入口基準に収まるかを読み取ってください。
| 家族人数 | 一般地域の収入基準 | 生活保護一級地などの収入基準 |
|---|---|---|
| 単身者 | 182,000円以下 | 200,200円以下 |
| 2人家族 | 251,000円以下 | 276,100円以下 |
| 3人家族 | 272,000円以下 | 299,200円以下 |
| 4人家族 | 299,000円以下 | 328,900円以下 |
5人家族以上では、同居する家族が1人増えるごとに、一般地域では30,000円、生活保護一級地などでは33,000円が加算されます。家族人数は申込者、配偶者、申込者または配偶者の扶養家族をもとに見ますが、配偶者と扶養家族は申込者と同居している場合に対象となるのが基本です。配偶者には内縁関係も含まれます。
次の比較表は、家賃または住宅ローンを負担している場合に基準へ加算できる上限額を表しています。基準額を少し超える人でも住居費の説明で判断が変わる可能性があるため、読者は収入表だけであきらめず、実際の負担額を資料で示せるかを確認してください。
| 家族人数 | 家賃・住宅ローン加算額 |
|---|---|
| 単身者 | 41,000円以下、東京都特別区は53,000円以下 |
| 2人家族 | 53,000円以下、東京都特別区は68,000円以下 |
| 3人家族 | 66,000円以下、東京都特別区は85,000円以下 |
| 4人家族以上 | 71,000円以下、東京都特別区は92,000円以下 |
相続の場面では、被相続人の介護に伴う医療費、相続人自身の療養費、子の教育費などが家計を圧迫していることがあります。家賃、住宅ローン、医療費、教育費、職業上やむを得ない出費などは、月収表だけでは伝わらない事情として資料をそろえて説明することが大切です。
現金や預貯金だけでなく、有価証券、不動産、係争物件、生活に必要な住宅の扱いが問題になります。
「収入要件を満たしているのに断られた」という相談の多くは、資産要件の理解不足から生じます。法律相談援助では申込者と配偶者の現金、預貯金を合算した額が基準を超えないことが求められます。代理援助または書類作成援助では、さらに現金、預貯金、有価証券、不動産等の時価を合算して資力を判断します。
次の比較表は、2026年3月現在の資産基準を表しています。家族人数が増えると基準額も変わるため、読者は預貯金だけでなく、本人固有の不動産や投資商品があるかも合わせて確認してください。
| 家族人数 | 資産基準 |
|---|---|
| 単身者 | 180万円以下 |
| 2人家族 | 250万円以下 |
| 3人家族 | 270万円以下 |
| 4人家族以上 | 300万円以下 |
未分割の遺産や争いの対象となっている不動産、預金、株式などは、自由に使える本人資産とは性質が異なります。代理援助または書類作成援助の資力判断では、係争物件である資産を除外できる場合があるとされています。そのため、相続財産の評価額が大きいというだけで、必ず法テラスを使えないとは限りません。
次の注意点一覧は、資産要件で説明が必要になりやすい相続特有の事情を表しています。資産の名義や使える状態によって判断が変わるため、読者はどの財産が自由に処分できる本人資産で、どの財産が争いの対象なのかを分けて読み取ってください。
遺産分割が成立し、本人名義の預金として受け取っている場合は、資産基準で問題になりやすくなります。
相続不動産を売却し、本人が売却代金を受け取っている場合は、自由に使える資金として説明が必要です。
本人所有の別荘、賃貸物件、投資商品などは、生活に必要な住宅とは異なり資産として扱われる可能性があります。
相続税納税資金として確保している預金や、同居家族からの生活費援助は、資料に基づく説明が必要になることがあります。
相続では、法的争点、証拠、解決可能性、費用対効果、利用目的の整理が重要です。
収入と資産が基準内でも、事件として解決の見込みがなければ立替えは認められません。「勝訴の見込みがないとはいえない」とは、相続事件で絶対に勝てるという意味ではなく、法的手続を進める合理性があるかを資料に基づいて判断する考え方です。
次の重点一覧は、相続事件で解決の見込みを説明するための確認項目を表しています。法テラスの審査では抽象的な不満よりも法的に整理できる争点と資料が重要になるため、読者は相談前にどの材料を集めるべきかを読み取ってください。
申込者が相続人、包括受遺者、相続分譲受人など、手続に関与できる立場にあるかを確認します。
立場遺産分割、遺留分、遺言無効、使い込み、名義預金、不動産評価など、法的な争点を整理します。
争点交渉、調停、審判、訴訟のいずれかで現実的な解決可能性があるかを考えます。
手段請求額や得られる利益に比べて、立替費用が著しく不相当でないかも問題になります。
均衡兄が被相続人の預金を使い込んだ疑いがある場合でも、「なんとなく怪しい」だけでは見通しが弱くなります。通帳の取引履歴、出金時期、被相続人の判断能力、出金後の使途、介護費や生活費としての正当な支出かどうかなどを整理する必要があります。
次の注意点一覧は、民事法律扶助の趣旨に適しないと判断されやすい目的を表しています。制度は親族間の感情的対立を強めるためのものではないため、読者は法的請求や手続上の目的を整理できているかを確認してください。
報復目的が中心で、法的請求が整理されていない場合は、制度趣旨と合いにくくなります。
親族に謝罪させたいだけで、金銭請求や遺産分割などの法的整理がない場合は注意が必要です。
回収可能性や費用対効果が乏しいのに長期訴訟を望む場合は、援助の必要性が問題になります。
相続手続を使って別の私的目的を達成しようとする場合、制度趣旨に適しないと見られる可能性があります。
一方で、遺産分割を進めて相続人としての権利を実現したい、遺留分侵害額請求を検討したい、預金引出しについて法的な返還請求の可否を調べたい、遺言の有効性を資料に基づき争いたい、認知症や介護、同居、寄与、特別受益などを調停で整理したいという目的は、一般に制度趣旨と整合しやすいと考えられます。
裁判所手続や裁判前の継続的代理が中心で、登記・税務・売却実務は別に確認します。
代理援助の対象には、民事訴訟、民事保全、民事執行、破産、非訟、調停、家事審判その他裁判所における民事事件、家事事件、行政事件に関する手続があります。裁判前代理援助として、民事裁判等手続に先立つ和解交渉で、弁護士または司法書士等による継続的代理が特に必要と認められるものも対象とされています。
次の一覧は、相続で法テラスの立替え対象として検討されやすい手続を表しています。裁判所手続や法的交渉に近いものほど制度との関係を確認しやすいため、読者は自分の問題がどの手続に近いかを読み取ってください。
相続人間で話合いがつかない場合、家庭裁判所の調停や審判で解決を目指す場面です。
遺留分を侵害する遺言や生前贈与が問題になる場合、交渉、調停、訴訟が検討されます。
遺言無効確認訴訟、使い込みに関する不当利得返還請求や損害賠償請求などが問題になります。
遺産分割調停の申立書、事情説明書、主張書面などの作成支援が検討されます。
家庭裁判所の遺産分割調停では、当事者双方から事情を聴き、資料提出や鑑定などで事情を把握し、合意を目指して話合いが進められます。話合いがまとまらず調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が開始されます。
次の比較表は、相続に関係していても法テラスの立替制度と切り分けて考えるべき費用を表しています。相続全体の資金計画を誤らないために、読者は弁護士・司法書士費用の立替えと、登記・税務・売却などの実務費用を分けて読み取ってください。
| 手続・費用 | 法テラス立替制度との関係 |
|---|---|
| 相続登記だけの司法書士費用 | 法務局に対する登記申請であり、裁判所手続の代理援助や裁判所提出書類作成とは異なるため、当然に対象になるとは考えない方がよいです。 |
| 相続税申告の税理士費用 | 税務申告は税理士の専門領域であり、弁護士費用等の立替制度とは別に考える必要があります。 |
| 不動産鑑定士の鑑定費用 | 裁判所手続で必要な実費として一定範囲で問題になることはありますが、限度額超過分や私的鑑定は自己負担となる可能性があります。 |
| 不動産売却仲介手数料 | 遺産換価の実務費用であり、弁護士費用立替制度とは別問題です。 |
| 戸籍取得、残高証明取得、登録免許税、相続税納税資金 | 事件処理上の実費として扱われる場合と本人負担になる場合があるため、事前確認が必要です。 |
相続登記は、相続により不動産の所有権を取得した相続人が、自己のために相続開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります。不動産がある相続では、弁護士による紛争解決と司法書士による登記実務を切り分けて考える必要があります。
相続税が発生しそうな案件では、法テラスとは別に税理士への相談と納税資金の確認が必要です。
法テラスの立替制度は、相続税申告費用や相続税そのものを立て替える制度ではありません。相続税の申告と納税は、相続や遺贈によって取得した財産等の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に必要であり、基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ないとされています。
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。弁護士が遺産分割調停を担当していても、相続税申告の代理は税理士の専門領域です。もっとも、遺産分割がまとまらないと税務上の判断に影響することがあるため、弁護士と税理士の連携は重要です。
本人確認、収入、資産、事件内容、返済口座を説明する資料が必要になります。
法テラスの立替制度を利用するには、条件を満たすか判断するための審査が必要です。本人および同居家族人数を確認する資料、収入を確認する資料、資産を確認する資料、勝訴の見込みや事件内容を確認する資料、返済口座を確認する資料を準備します。
次の比較表は、審査で求められやすい資料を目的別に整理したものです。資料の不足は審査の遅れにつながるため、読者は家計を示す資料と相続事件を示す資料を別々にそろえる必要があることを読み取ってください。
| 確認する内容 | 典型的な資料 | 相続での補足 |
|---|---|---|
| 本人と家族人数 | 申込みから3か月以内に発行された住民票。本籍、筆頭者、続柄、世帯全員の記載があるもの。 | 配偶者や同居親族が相続の相手方かどうかも説明します。 |
| 収入 | 給与明細、賞与明細、源泉徴収票、課税証明書、非課税証明書、確定申告書、年金振込通知書、生活保護受給証明書など。 | 高齢の相続人では年金通知書が中心になることが多く、自営業者は実際の家計状況や事業経費の説明も重要です。 |
| 資産 | 資力申告書、固定資産評価証明書、固定資産納税通知書、不動産全部事項証明書など。 | 本人固有の資産と、争いの対象である相続財産を区別して説明します。 |
| 事件内容 | 戸籍謄本、遺言書、遺産目録、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、通帳、残高証明、取引履歴など。 | 遺産分割事件では、相続関係と遺産内容を資料で示すことが重要です。 |
次の重点一覧は、相続事件で追加的に準備したい資料を表しています。争点を裏付ける資料があるほど事件の見通しを説明しやすくなるため、読者は自分の争いに関係する資料を優先して集めることを読み取ってください。
被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の住民票または戸籍附票を確認します。
戸籍遺産目録、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、有価証券や投資信託の明細、生命保険関係資料を整理します。
財産預貯金通帳、残高証明書、取引履歴、介護、医療、葬儀、生活費支出の領収書を集めます。
支出使い込み疑いに関する出金一覧、相手方とのメール、手紙、メッセージを時系列で整理します。
争点相談、書類提出、審査、援助開始決定、契約、事件処理、返済の順に進みます。
法テラスの立替制度では、弁護士または司法書士に相談し、必要書類を準備したうえで、援助申込書、法律相談票、事件調書、収入資料、資産資料、事件資料等を提出します。その後、法テラス地方事務所で審査され、援助開始決定が出ると、利用者、受任者または受託者、法テラスの三者間で契約を締結します。
次の判断の流れは、立替制度の申込みから事件処理開始までの順番を表しています。審査には通常2週間程度かかるとされ、相続では戸籍や遺産資料の収集で準備が長くなりやすいため、読者はどの段階で時間がかかるかを読み取ってください。
相続の争点と法テラス利用希望を伝えます。
収入資料、資産資料、戸籍、遺産資料、事件資料をそろえます。
資力、事件の見通し、制度趣旨、立替金額などが確認されます。
決定書、契約書、返済案内を確認し、事件処理が始まります。
不足資料、見通し、費用対効果を整理し直す必要があります。
審査は申込みをした法テラス地方事務所で行われ、審査員は各地の弁護士や司法書士が担当すると説明されています。審査では、援助開始決定の有無、着手金や実費の金額、立替金の支払方法や月額が決定されます。
次の時系列は、相続案件で準備が長くなりやすい場面を表しています。兄弟姉妹相続、代襲相続、再婚家庭、養子縁組、海外居住者がいる相続では、相続関係を示す資料だけでも時間を要するため、読者は早めに資料収集へ着手する重要性を読み取ってください。
住民票、収入資料、資産資料、戸籍、遺産資料、相手方とのやり取りを分類します。
法律相談票、事件調書、収入資料、資産資料、事件資料をまとめて提出します。
決定が出た場合、利用者、受任者または受託者、法テラスの三者間で契約します。
毎月の返済が始まり、事件終了後は結果に応じて報酬金や返済方法が決まります。
無利息の分割返済が基本で、事件終了後の取得財産や生活保護受給の有無も関係します。
法テラスの立替制度は、原則として返済が必要です。援助開始決定後、5,000円から10,000円程度の分割で毎月返済し、事件終了後は原則3年以内に完済となる金額で返済すると説明されています。
敗訴した場合や望んだ結果にならない場合でも、立替金は全額返済する必要があるとされています。事件の相手方などから金銭等を得た場合は、原則としてその金銭等から一括して立替金を返済することになります。
次の重点表示は、立替制度を「無料」と誤解しないための返済ルールを表しています。相続では事件終了後に遺産や金銭を取得することがあるため、読者は手元資金が少ない時点の利用と、事件終了後の精算が別問題であることを読み取ってください。
立替金は無利息で分割返済する仕組みです。事件終了後に相続財産や金銭を得た場合は、その利益から返済や報酬金の支払いが求められることがあります。
生活保護を受けている方も、法テラスの立替制度を利用できる場合があります。生活保護を受給中の間は返済が猶予され、事件がすべて終了した後も生活保護を受給している場合は返済免除の申請ができると説明されています。ただし、「生活保護なら必ず無料で何もしなくてよい」という意味ではありません。申請、猶予、免除には手続があり、事件の結果として相続財産や金銭を得た場合は、その利益から償還が求められる可能性があります。
立替制度の中心は弁護士と司法書士ですが、相続全体では登記、税務、不動産評価との連携が必要です。
相続は、法律、登記、税務、不動産評価、金融実務、家庭裁判所実務が交差する分野です。法テラスの立替制度で中心になるのは弁護士と司法書士ですが、相続全体の解決には複数の専門職が関与します。
次の比較表は、相続に関わる専門職の主な役割と法テラス立替制度との関係を表しています。どの費用が制度の中心で、どの費用が別枠になりやすいかを整理することが資金計画に重要なため、読者は専門職ごとの役割の違いを読み取ってください。
| 専門職 | 相続での主な役割 | 法テラス立替制度との関係 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 遺産分割、遺留分、使い込み、遺言無効、交渉、調停、審判、訴訟 | 代理援助の中心です。 |
| 司法書士 | 相続登記、戸籍収集、裁判所提出書類作成、登記書類 | 裁判所提出書類作成は書類作成援助の対象になり得ます。登記申請そのものは別途確認が必要です。 |
| 税理士 | 相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応 | 法テラスの弁護士費用等立替制度とは別です。 |
| 行政書士 | 紛争、税務、登記申請を除く書類作成支援 | 法テラス立替制度の中心ではありません。 |
| 不動産鑑定士 | 不動産評価、評価争いの専門意見 | 裁判所手続上の鑑定や私的鑑定として必要性と費用負担を検討します。 |
| 土地家屋調査士 | 境界、分筆、表示登記 | 裁判所手続や登記実務との関連で別途検討します。 |
| 宅地建物取引士・不動産仲介業者 | 相続不動産の売却、換価分割 | 法テラスの立替対象とは通常別です。 |
| 家庭裁判所の裁判官・調停委員・書記官 | 調停、審判、記録管理、手続進行 | 事件の公的手続を担います。 |
この整理から分かるとおり、相続で「弁護士費用を立て替えてもらえるか」という問いは、相続全体の費用問題の一部です。税理士費用、登記費用、不動産評価費用、仲介手数料、登録免許税、相続税納税資金は、別に資金計画を立てる必要があります。
年金生活、医療費、自宅所有、相続登記、遺産取得後の返済など、判断を左右する事情を確認します。
相続事件では、同じように収入が少ない人でも、資産、争点、手続内容、取得予定の遺産によって判断が変わります。以下は一般的な整理であり、個別の見通しや対応方針は資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
次の比較一覧は、法テラス利用で判断が分かれやすい5つの相続場面を表しています。具体例ごとの見るべきポイントを知ることが事前準備に重要なため、読者は自分の状況に近い行から、説明すべき資料と注意点を読み取ってください。
単身で年金月額14万円、預貯金80万円の場合、収入基準と資産基準は満たす可能性があります。未分割の相続不動産や預金が係争物件であれば、直ちに自由資産として扱われない可能性があります。
単身で手取り月収19万円の一般地域居住者は18万2,000円を超えますが、重い医療費や家賃負担がある場合、基準を満たす可能性があります。
生活のために必要な住宅を除外できる場合があります。ただし、別荘、賃貸物件、売却可能な遊休不動産などは資産として問題になりやすいと考えられます。
相続登記だけを目的とする司法書士費用は、当然に対象になるとは考えない方が安全です。調停申立てに関する書類作成援助とは切り分けます。
調停や訴訟の結果、相続財産から金銭を受け取った場合、その金銭から法テラスへの返済や報酬金の支払いが求められることがあります。
資力、相続事件、証拠資料の3方向から、相談前に整理する項目を確認します。
相続事件で法テラスの利用を検討する人は、相談前に資力、相続事件の内容、証拠資料を整理しておくと、審査や相談が進みやすくなります。以下の項目は一般的な準備事項であり、個別事情に応じて追加資料が必要になることがあります。
次の重点一覧は、申込み前に確認したい3つの準備分野を表しています。準備不足は審査の遅れや見通しの弱さにつながるため、読者は未整理の項目を洗い出す目的で読み取ってください。
手取り月収、賞与を含めた年収の12分の1、配偶者が紛争の相手方か、同居家族から生活費援助を受けているか、家賃または住宅ローン、医療費、教育費、介護費、現金、預貯金、有価証券、本人所有不動産、生活に必要な住宅か、相続財産と本人固有財産を区別できているかを確認します。
家計被相続人、相続開始日、相続人、遺言書、遺産内容、争点が遺産分割・遺留分・使い込み・遺言無効・不動産評価のどれか、相手方、交渉履歴、家庭裁判所手続の必要性、得られる可能性のある利益と費用のバランスを確認します。
事件戸籍、通帳、取引履歴、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、相手方の通知書、介護・医療・葬儀費資料、生前贈与や特別受益資料、出金一覧、遺言作成状況、相続税申告に関係する資料を確認します。
証拠相続でよくある疑問を、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、利用できる可能性はありますが、収入要件だけでは足りないとされています。資産要件、勝訴の見込み、民事法律扶助の趣旨への適合性、審査、援助開始決定、三者契約が必要です。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、無料法律相談と代理援助、書類作成援助は別の制度とされています。無料相談後、依頼が必要な場合に、改めて立替制度の審査を受ける流れになります。無料法律相談は1回30分で、同一問題につき3回まで相談できると説明されています。
一般的には、一律にはいえません。争いの対象である相続財産は、係争物件として除外できる場合があります。ただし、すでに受け取った預金や自由に処分できる本人資産は資産基準で問題になる可能性があります。具体的な扱いは財産の状態や資料によって変わります。
一般的には、対象として検討される可能性があります。重要なのは、疑いを裏付ける資料と法的構成です。通帳、取引履歴、出金時期、被相続人の判断能力、使途、介護費や生活費との関係などによって結論が変わるため、具体的には弁護士等へ相談する必要があります。
一般的には、相続登記だけを目的とする司法書士費用は、当然に対象になるとは考えない方が安全です。相続登記は法務局への登記申請であり、代理援助や書類作成援助が中心とする裁判所手続とは異なります。ただし、遺産分割調停など裁判所手続に関する書類作成は対象になり得ます。
一般的には、法テラスの制度は弁護士または司法書士費用等の立替えが中心であり、相続税申告の税理士費用や相続税そのものを立て替える制度ではありません。相続税が関係する場合は、税理士への相談と納税資金の確認を別に進める必要があります。
一般的には、生活保護受給中は返済が猶予されることがあり、事件終了後も生活保護を受給している場合は返済免除の申請ができると説明されています。ただし、免除は手続を経て判断されます。事件の結果として相続財産や金銭を得た場合は、扱いが変わる可能性があります。
一般的には、申込みをした法テラス地方事務所で審査され、審査員は各地の弁護士や司法書士が担当すると説明されています。審査では、援助開始決定の有無、着手金や実費、支払方法、月額返済などが検討されます。
一般的には、通常、申込みから決定まで2週間程度とされています。ただし、提出書類に不備がある場合、相続関係が複雑な場合、時期や地方事務所の運用によってはさらに時間がかかる可能性があります。
一般的には、法テラスと民事法律扶助契約をしている弁護士または司法書士であれば、利用できる可能性があります。相談時には、法テラス利用を希望していることを伝え、対象となる手続や必要資料を確認する必要があります。
収入要件は入口であり、事件性、資産、係争物件、返済計画まで順に見ます。
相続事件で「法テラスの収入要件を満たせば弁護士費用を立て替えてもらえるか」を判断するには、収入だけでなく、事件が制度の対象になるか、弁護士または司法書士に依頼する必要性があるか、資産基準を満たすか、相続財産が本人固有資産か係争物件か、事件の見通しがあるかを順に確認します。
次の判断の流れは、申込み前の最終確認順序を表しています。どこかで資料不足や説明不足があると審査に影響するため、読者は上から順に自分の状況を点検し、どの段階で専門家に確認すべきかを読み取ってください。
民事、家事、行政に関する法的手続かを確認します。
弁護士または司法書士の代理や書類作成が必要かを整理します。
家族人数、配偶者の扱い、住居費、医療費、本人資産を確認します。
本人固有資産か、争いの対象である係争物件かを区別します。
勝訴の見込みがないとはいえないか、報復目的や権利濫用ではないかを確認します。
必要書類を提出し、援助開始決定と月々の返済を理解します。
収入要件は入口にすぎません。相続では、未分割財産、生活に必要な住宅、配偶者や同居家族の扱い、遺産を取得した後の返済、税務や登記との切り分けが重要です。
可能性はあるが、それだけでは決まらないという前提で、資料と費用計画を同時に準備します。
法テラスの収入要件を満たせば弁護士費用を立て替えてもらえるかという問いに対する答えは、「収入要件を満たせば可能性はあるが、それだけでは決まらない」です。収入基準だけでなく資産基準も必要であり、相続財産は係争物件として除外できる場合がある一方で、個別説明が必要です。
次の重点一覧は、相続問題で法テラスを検討するときに最後に押さえるべき項目を表しています。相談前に抜け漏れをなくすことが審査と事件処理の見通しに重要なため、読者は自分の準備状況を照らし合わせて読み取ってください。
月収だけでなく、預貯金、有価証券、不動産、配偶者や同居家族の扱いを確認します。
未分割財産や争いの対象である財産と、自由に使える本人資産を分けて整理します。
戸籍、通帳、取引履歴、不動産資料、相手方とのやり取りなどを集め、争点を整理します。
相続登記、相続税申告、不動産売却費用は、法テラスの弁護士費用立替制度とは別に考えます。
立替えは無利息の分割返済であり、原則として返済義務があります。遺産分割調停、遺留分、使い込み疑い、遺言無効などの紛争では、時間が経つほど戸籍、通帳、取引履歴、不動産資料、相手方とのやり取りの整理が難しくなります。手元資金が少ない場合ほど、法テラスを使えるかどうかを早めに確認し、証拠と家計資料を同時に準備することが実務上の成否を分けます。
制度の根拠や公的説明を確認するために参照した資料名を整理しています。