外貌醜状の等級認定、医学的評価、写真と測定、後遺障害診断書、慰謝料、逸失利益、異議申立ての考え方を整理します。
外貌醜状の等級認定、医学的評価、写真と測定、後遺障害診断書、慰謝料、逸失利益、異議申立ての考え方を整理します。
第7級、第9級、第12級の基準と損害賠償へのつながりを確認します。
交通事故で顔に傷跡が残った場合、法律実務上は主に外貌醜状として後遺障害等級の認定が問題になります。顔の傷跡は、対人関係、就労、学校生活、婚姻、社会参加、自己評価、精神的安定に関わるため、単なる見た目の問題として軽く扱うべきではありません。
次の表は、顔の傷跡で中心となる三つの後遺障害等級を整理したものです。等級、号数、表現、典型基準を横に比較することで、長さ、面積、陥没のどれが判断の出発点になるかを読み取れます。
| 等級 | 自賠責の号数 | 表現 | 顔面部で典型的に問題となる基準 |
|---|---|---|---|
| 第7級 | 12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | 顔面部の鶏卵大面以上の瘢痕、または10円銅貨大以上の組織陥没など |
| 第9級 | 16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕 |
| 第12級 | 14号 | 外貌に醜状を残すもの | 顔面部の10円銅貨大以上の瘢痕、または長さ3センチメートル以上の線状痕 |
次の重要ポイントは、等級認定と損害賠償を分けて考える理由を表しています。等級は出発点ですが、慰謝料、逸失利益、将来治療費、心理的影響、職業上の不利益は別途検討されるため、読者は「等級が取れたら終わり」ではないと読み取ってください。
後遺障害慰謝料は等級で大きく変わりますが、逸失利益は職業、年齢、対人業務の程度、心理的影響、将来の就労選択によって争われやすい分野です。
このページでは、医学的評価、後遺障害診断書、写真資料、被害者請求、異議申立て、慰謝料と逸失利益、弁護士相談のタイミングまでを一体で整理します。
後遺症、後遺障害、症状固定、外貌、醜状を区別します。
一般に後遺症とは、治療後も身体や精神に残る症状を広く指します。一方、交通事故の損害賠償実務でいう後遺障害は、事故と相当因果関係のある症状が医学的に認められ、自賠法施行令の後遺障害等級表に該当すると評価されるものです。
次の表は、顔の傷跡で使われる基本用語を整理したものです。用語ごとに医学的意味と等級認定上の意味が違うため、傷跡が残ることと等級が認定されることを分けて読むことが重要です。
| 用語 | 意味 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 後遺症 | 治療後も残る症状の総称 | 傷跡が残ること自体を広く指す |
| 後遺障害 | 事故との因果関係、医学的証明、症状固定、等級表該当性がある障害 | 自賠責の等級認定で評価される |
| 症状固定 | 治療を続けても大きな改善が期待しにくい医学的段階 | 診断書作成、等級申請、休業損害の終期に関係する |
| 外貌 | 頭部、顔面部、頸部など日常露出する部分 | 上肢、下肢の露出面とは別枠で扱われる |
| 醜状 | 外観上、人目につく傷跡、変形、陥没、変色など | 本人の主観だけでなく客観的な見え方が問題になる |
次の表は、顔の傷跡の類型と注意点を示します。傷跡の形、長さ、面積、色、凹凸、ひきつれによって必要資料が変わるため、どの類型に近いかを整理して医療記録に反映することが重要です。
| 類型 | 概要 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 瘢痕 | 面として残る傷跡 | 10円銅貨大、鶏卵大面、てのひら大などの面積が問題 |
| 線状痕 | 線として残る傷跡 | 顔面部では3センチメートル以上、5センチメートル以上が重要 |
| 組織陥没 | 皮膚や軟部組織がへこんで見える状態 | 10円銅貨大以上なら第7級相当の検討対象 |
| 色素沈着、色素脱失 | 黒褐色の変色や白斑 | 永久的で人目につき、面積基準を満たすかが重要 |
| 肥厚性瘢痕、ケロイド | 赤く盛り上がる傷跡 | 治療継続、成熟時期、症状固定時期を慎重に判断 |
| 瘢痕拘縮 | ひきつれによる可動制限や変形 | 外貌だけでなく機能障害が別に問題になることがある |
傷跡は時間経過により赤み、硬さ、盛り上がり、色素変化が変動します。症状固定を急ぎすぎると最終状態を正確に反映しないおそれがありますが、治療の必要性が乏しいのに漫然と通院を続けると、治療費や慰謝料の対象期間が争われることがあります。
外貌醜状の第7級、第9級、第12級と第14級の違いを確認します。
自賠責保険では、後遺障害は介護を要する後遺障害と、それ以外の後遺障害に分かれます。顔の傷跡として問題になる外貌醜状は、通常、別表第二の第7級、第9級、第12級に位置づけられます。
次の表は、外貌醜状と上肢、下肢の露出面の醜状を並べたものです。顔の傷跡は第7級、第9級、第12級が中心であり、第14級は原則として上肢や下肢の露出面の規定であることを読み取ってください。
| 分野 | 等級 | 号数 | 後遺障害の文言 | 自賠責保険金額の限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 外貌 | 第7級 | 12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | 1,051万円 |
| 外貌 | 第9級 | 16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 616万円 |
| 外貌 | 第12級 | 14号 | 外貌に醜状を残すもの | 224万円 |
| 上肢露出面 | 第14級 | 4号 | 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの | 75万円 |
| 下肢露出面 | 第14級 | 5号 | 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの | 75万円 |
次の縦の比較は、顔面部の典型基準を長さや面積の目安で示したものです。横棒の長さは相対的な重さを表し、長いほど重い等級の検討対象になりやすいことを読み取ってください。
ここでいう限度額は、後遺障害による損害全体の上限であり、後遺障害慰謝料だけを意味するものではありません。逸失利益と慰謝料等を含む自賠責の枠として理解する必要があります。
長さ、面積、陥没、隠れる部分を具体的に見ます。
厚生労働省の外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準は、労災の基準ですが、交通事故実務でも重要な参照資料です。顔の傷跡では、人目につく程度以上であること、部位、大きさ、長さ、隠れる部分、複数痕の扱いが争点になります。
次の表は、第7級相当の典型基準を部位別に整理したものです。顔面部では面としての瘢痕か組織陥没かで見方が変わるため、長さだけでなく面積と凹凸を確認することが重要です。
| 部位 | 第7級相当の典型基準 |
|---|---|
| 頭部 | てのひら大以上の瘢痕、または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損 |
| 顔面部 | 鶏卵大面以上の瘢痕、または10円銅貨大以上の組織陥没 |
| 頸部 | てのひら大以上の瘢痕 |
次の表は、第12級相当の典型基準を部位別に整理したものです。顔面部では10円銅貨大以上の瘢痕または3センチメートル以上の線状痕が中心で、5センチメートル以上なら第9級の検討に進みます。
| 部位 | 第12級相当の典型基準 |
|---|---|
| 頭部 | 鶏卵大面以上の瘢痕、または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損 |
| 顔面部 | 10円銅貨大以上の瘢痕、または長さ3センチメートル以上の線状痕 |
| 頸部 | 鶏卵大面以上の瘢痕 |
次の表は、非該当となりやすい例と理由を示します。左列の例に当たっても必ず非該当とは限りませんが、基準未満、隠れる部分、一時的変化などがあると評価が難しくなることを読み取ってください。
| 例 | 非該当となりやすい理由 |
|---|---|
| 2センチメートル程度の線状痕 | 顔面部の第12級基準である3センチメートルに届かない |
| 眉毛の中にほとんど隠れる線状痕 | 人目につく程度以上と評価されにくい |
| 髪で覆われる頭部の小さな瘢痕 | 外貌上の醜状として扱われにくい |
| 10円銅貨大未満の面状瘢痕 | 顔面部の第12級基準に届かない可能性 |
| 一時的な赤みや色素沈着 | 永久的に残ると認められにくい場合がある |
非該当とされやすい例でも、複数の傷跡が近接している、正面視で非常に目立つ、瘢痕拘縮により表情や口唇、眼瞼の動きに影響する、神経症状を伴うといった事情がある場合には別の評価が必要です。
人目につく程度、線状痕、面状瘢痕、陥没、色素変化を整理します。
外貌醜状では、人目につく程度以上であることが重視されます。これは本人が気にしているという主観だけではなく、通常の対人距離、明るさ、姿勢で第三者から外観上確認できるかという客観的評価です。
次の表は、傷跡の目立ち方を決める要素を整理したものです。色、形、凹凸、部位、表情時変化、数を分けて見ることで、写真や診断書に何を残すべきかを読み取れます。
| 要素 | 目立ちやすい状態 |
|---|---|
| 色調 | 赤み、黒褐色、白斑、周囲との色差が大きい |
| 形状 | 直線的でない、幅がある、ギザギザしている |
| 凹凸 | 陥没、盛り上がり、拘縮がある |
| 部位 | 額、鼻、頬、口唇周囲、顎など会話時に視線が集まる部位 |
| 表情時変化 | 笑う、話す、口を開く、目を閉じる動作で引きつれる |
| 数 | 複数の瘢痕が近接し、全体として目立つ |
次の表は、顔の線状痕の長さと一般的な検討対象を示します。数値は絶対的な保証ではありませんが、3センチメートルと5センチメートルが等級検討の大きな境目になることを読み取ってください。
| 見える線状痕の長さ | 一般的な検討対象 |
|---|---|
| 3センチメートル未満 | 原則として外貌醜状では非該当の可能性が高い |
| 3センチメートル以上5センチメートル未満 | 第12級14号の検討対象 |
| 5センチメートル以上 | 第9級16号の検討対象 |
次の表は、面状瘢痕の面積と一般的な検討対象を示します。長さではなく面積として見る類型なので、境界、色調、陥凹、盛り上がり、複数痕の集合性も写真と診断書で明確にする必要があります。
| 顔面部の面状瘢痕 | 一般的な検討対象 |
|---|---|
| 10円銅貨大未満 | 原則として非該当の可能性 |
| 10円銅貨大以上、鶏卵大面未満 | 第12級14号の検討対象 |
| 鶏卵大面以上 | 第7級12号の検討対象 |
組織陥没は写真だけでは伝わりにくいことがあります。斜めからの写真、側面写真、医師の触診所見、深さの説明、CTや手術記録が重要になる場合があります。熱傷後の色素沈着、色素脱失、肥厚性瘢痕、ケロイドでは、永久性、面積、人目につく程度、症状固定時期が争点になります。
機能障害の見落としを防ぎ、治療前の記録を残します。
顔の傷跡の事案では、単なる外貌醜状だけでなく、顔面神経麻痺、眼瞼、鼻、耳、歯、顎、咀嚼機能、発語などの機能障害が併存することがあります。見た目だけに注目すると、本来評価されるべき障害を見落とす危険があります。
次の一覧は、顔面外傷で確認すべき周辺障害を示します。各項目は診療科や後遺障害系列が異なる可能性があるため、傷跡写真だけではなく専門科の所見も確認することが重要です。
口角の下垂、笑顔の非対称、流涎、発語、眼の乾燥、閉瞼障害などを確認します。
神経まぶたの欠損、閉瞼障害、角膜障害、視力障害、流涙、まつげ欠損も確認します。
眼科外貌上の変形に加え、鼻閉、嗅覚障害、鼻中隔偏位、鼻翼欠損を確認します。
耳鼻耳介軟骨部の欠損、聴力障害、耳鳴り、めまい、外耳道狭窄を確認します。
聴力歯の破折、歯科補綴、顎骨骨折、咬合障害、開口障害、言語障害を確認します。
歯科形成外科は、顔面外傷、瘢痕、瘢痕拘縮、ケロイド、組織欠損、機能再建を専門的に扱う診療科です。初期治療から形成外科が関与しているかどうかで、医療記録の質や後遺障害診断書の具体性が変わることがあります。
次の表は、形成外科で検討される治療と目的、注意点を整理したものです。治療は傷跡の改善に役立つ一方、後遺障害申請前に状態が変化するため、治療前の記録を残す必要があることを読み取ってください。
| 治療 | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| テープ固定、圧迫、シリコーン製剤 | 張力軽減、瘢痕の安定化 | 医師の指示に従う |
| 外用薬、内服薬 | 炎症、かゆみ、赤みの軽減 | 効果には個人差がある |
| ステロイド注射、貼付剤 | 肥厚性瘢痕、ケロイドの沈静化 | 皮膚萎縮や陥凹に注意 |
| レーザー治療 | 赤み、色調、質感の改善 | 保険適用や費用負担は症例により異なる |
| 瘢痕形成術 | 傷跡の方向、幅、段差、ひきつれの改善 | 完全に消す治療ではない |
| 植皮、皮弁、組織再建 | 欠損や拘縮の再建 | 複数回手術が必要な場合がある |
レーザー治療や瘢痕形成術を受ける前には、治療前写真、医師の所見、手術記録、診療録、見積書、治療計画書を保全しておくことが大切です。
診断書、顔面図、診療科の選択を具体的に確認します。
後遺障害診断書は、等級認定における中心資料です。顔の傷跡では、単に顔面瘢痕ありと書かれているだけでは不十分で、部位、種類、大きさ、見え方、色調、凹凸、隠れる部分、症状、機能障害、今後の見通しを具体化する必要があります。
次の表は、後遺障害診断書で確認したい基本事項を整理したものです。各行は写真や医療記録と突き合わせる項目なので、診断書、顔面図、写真が同じ状態を説明しているかを読み取ってください。
| 項目 | 記載例、確認事項 |
|---|---|
| 傷跡の部位 | 右頬部、左前額部、鼻背部、上口唇部など |
| 種類 | 線状痕、瘢痕、肥厚性瘢痕、組織陥没、色素沈着、色素脱失 |
| 大きさ | 長さ、幅、面積、縦横、複数痕の位置関係 |
| 見え方 | 人目につく程度、正面視、側面視、表情時の変化 |
| 色調 | 赤み、白斑、黒褐色、周囲皮膚との差 |
| 凹凸 | 陥没、隆起、硬さ、拘縮 |
| 隠れる部分 | 頭髪、眉毛などに隠れる範囲と見える範囲 |
| 症状 | 痛み、かゆみ、しびれ、知覚鈍麻、ひきつれ |
| 機能障害 | 口唇、眼瞼、鼻、顎、咀嚼、発語への影響 |
| 今後の見通し | 永久的に残る見込み、治療余地、形成術の要否 |
次の表は、症状に応じて関与する可能性のある診療科を示します。顔の傷跡は形成外科が中心ですが、骨折、眼、鼻、歯、神経、心理的影響がある場合は別の専門科の所見が必要になることを読み取ってください。
| 症状 | 関与する可能性のある診療科 |
|---|---|
| 顔面骨骨折 | 形成外科、口腔外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科 |
| 眼瞼外傷、視力障害 | 眼科、形成外科 |
| 鼻変形、鼻閉 | 耳鼻咽喉科、形成外科 |
| 歯牙損傷、咬合障害 | 歯科、口腔外科 |
| 顔面神経麻痺 | 脳神経外科、神経内科、耳鼻咽喉科、形成外科 |
| PTSD、不安、抑うつ | 精神科、心療内科、公認心理師、臨床心理士 |
顔面部の傷跡では、後遺障害診断書の身体図も重要です。左右、上下、部位、長さ、複数痕の位置関係が分かるように、医師に具体的な記載を依頼する必要があります。
写真、測定、診療録、事故資料をつなげて証拠化します。
顔の傷跡は、文字だけで伝えることが難しい後遺障害です。写真は、後遺障害申請、異議申立て、示談交渉、訴訟のいずれでも重要です。
次の表は、写真を撮る際の推奨方法を整理したものです。撮影時期、角度、表情、光、定規、距離、加工、保存の列を確認し、後から見ても傷跡の大きさと目立ち方が分かる資料にすることが重要です。
| 項目 | 推奨される方法 |
|---|---|
| 撮影時期 | 症状固定時、治療前後、赤みや陥没が分かる時期 |
| 角度 | 正面、左右斜位、左右側面、必要に応じて上方、下方 |
| 表情 | 無表情、笑顔、口を開ける、目を閉じるなど症状が出る表情 |
| 光 | 明るく均一な自然光または室内光。影や過度な補正を避ける |
| スケール | 定規やメジャーを同一平面に置く |
| 距離 | 顔全体写真と傷跡拡大写真の両方 |
| 加工 | 美肌補正、フィルター、過度な明暗補正をしない |
| 保存 | 撮影日、撮影者、元データを保存する |
次の表は、保全すべき医療記録と意味を対応させたものです。事故との因果関係を示すには、受傷直後から症状固定時までの記録が途切れないことが重要です。
| 資料 | 意味 |
|---|---|
| 救急搬送記録 | 受傷直後の状態、搬送先、処置内容を示す |
| 初診時診断書 | 顔面外傷、裂創、挫創、熱傷などの受傷内容を示す |
| 診療録、看護記録 | 治療経過、創部状態、感染、処置、抜糸時期を示す |
| 手術記録 | 縫合、デブリードマン、形成術、植皮などを示す |
| 画像資料 | 顔面骨折、異物、組織欠損、神経損傷を示す |
| 後遺障害診断書 | 症状固定時の残存障害を示す |
| 写真 | 目立ち方、大きさ、変化を示す |
| 事故状況資料 | 事故と顔面受傷の因果関係を示す |
線状痕の長さは、全長だけでなく外貌上見える部分を明確にします。眉毛や頭髪に隠れる部分がある場合、隠れる部分と見える部分を分けて記録する必要があります。
被害者請求、事前認定、結果理由、追加資料を整理します。
交通事故の後遺障害等級認定には、被害者請求と事前認定があります。顔の傷跡では、写真、形成外科意見、測定資料などの提出が重要になるため、資料を主体的に整えられる方法かどうかが実務上の焦点になります。
次の判断の流れは、症状固定後から等級結果確認までの手順を示します。上から順に、診断書、写真、申請方法、損害調査、結果確認へ進むことで、どの段階で資料を補うべきかを読み取れます。
形成外科などで傷跡の部位、種類、大きさ、見え方、今後の見通しを記載してもらいます。
正面、斜位、側面、表情時、定規入り写真、顔面図を整理します。
被害者請求と事前認定の違いを確認し、資料を主体的に整える必要性を検討します。
請求書類に基づき、事故状況、支払の的確性、損害額などが調査されます。
非該当または想定より低い等級の場合、理由を確認して追加資料を検討します。
異議申立てでは、単に納得できないと述べるだけでは不十分です。前回申請で足りなかった資料を補い、認定理由に対して具体的に反論する必要があります。
次の表は、顔の傷跡で異議申立てを検討する際の争点と追加資料の例を示します。左列の争点に対して右列の資料を補うことで、何が不足していたかを具体化できます。
| 争点 | 追加資料の例 |
|---|---|
| 長さ、面積 | 医師による再測定、定規入り写真、顔面図 |
| 人目につく程度 | 複数角度の写真、自然光写真、第三者視点の写真 |
| 隠れる部分 | 髪や眉毛に隠れる部分と見える部分を分けた資料 |
| 陥没 | 斜光写真、触診所見、CT、形成外科意見書 |
| 色素沈着 | 経時的写真、皮膚科または形成外科の所見 |
| 複数痕 | 各痕の位置関係を示す図、全体としての醜状の意見 |
| 因果関係 | 初診記録、救急記録、事故直後写真、手術記録 |
自賠責保険、共済に関する紛争では、自賠責保険、共済紛争処理機構の手続が利用されることがあります。示談交渉や自賠責手続で解決できない場合、訴訟も選択肢になりますが、自賠責の等級認定は裁判所を法的に拘束するものではありません。
自賠責、裁判基準、労働能力喪失率、立証事情を確認します。
顔の傷跡で中心となる等級について、自賠責の支払限度額と慰謝料等を整理すると、第7級12号は限度額1,051万円、慰謝料等419万円、第9級16号は限度額616万円、慰謝料等249万円、第12級14号は限度額224万円、慰謝料等94万円です。
次の表は、自賠責の支払限度額と慰謝料等を等級別に比較したものです。限度額は逸失利益と慰謝料等を含む上限であり、慰謝料だけではない点を読み取ってください。
| 等級 | 外貌醜状の文言 | 自賠責保険金額の限度額 | 自賠責の慰謝料等 |
|---|---|---|---|
| 第7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | 1,051万円 | 419万円 |
| 第9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 616万円 | 249万円 |
| 第12級14号 | 外貌に醜状を残すもの | 224万円 | 94万円 |
次の縦の比較は、裁判基準の後遺障害慰謝料の目安を相対的に示したものです。棒の高さは金額の大きさを表し、第7級、第9級、第12級で自賠責の慰謝料等と差が出ることを読み取ってください。
逸失利益は、後遺障害により将来の収入が減少すると評価される場合に問題になります。基本式は、基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数です。労働能力喪失率は、第7級56%、第9級35%、第12級14%などが紹介されますが、顔の傷跡ではそのまま認められるとは限りません。
次の表は、逸失利益が認められやすい方向の事情と、争われやすい方向の事情を対比しています。左右の事情を比べることで、職業、対人業務、心理的影響、実際の減収を資料で説明する必要性が分かります。
| 認められやすい方向の事情 | 争われやすい方向の事情 |
|---|---|
| 対人業務が多く、接客頻度や顧客対応資料がある | デスクワーク中心で仕事の成果に外貌が影響しないと主張される |
| 美容、芸能、営業、受付、講師、医療接遇など外貌が職業選択に関係する | 事故後も減収がないと主張される |
| 額、鼻、頬、口唇周囲など視線が集まる部位に傷跡がある | 傷跡が小さい、隠れやすいと主張される |
| 若年者、学生で将来の職業選択への影響がある | 形成治療で改善可能と主張される |
| 心療内科、心理職の記録や外出回避などがある | 心理的影響の記録がないと主張される |
逸失利益が限定的にしか認められない場合でも、精神的苦痛や生活上の不利益を後遺障害慰謝料で調整する考え方が問題になることがあります。
職業、年齢、家事、心理、専門職連携を整理します。
顔の傷跡が仕事にどう影響するかは、抽象論ではなく、具体的な業務内容に即して説明する必要があります。接客、営業、受付、教育、医療、介護、販売、美容、芸能、モデル、講師、配信、採用面接などでは、外貌が本人の心理的安定や就労継続に影響することがあります。
次の表は、職業上の影響を説明する資料の例です。左列の資料があると、右列の具体的事情を通じて、傷跡と収入や就労への影響を説明しやすくなります。
| 資料 | 具体例 |
|---|---|
| 職務内容説明書 | 接客、営業、対面説明、商談、受付などの頻度 |
| 勤務先証明 | 配置転換、業務制限、休職、顧客対応から外れた事実 |
| 収入資料 | 源泉徴収票、給与明細、確定申告書、売上台帳 |
| 面談記録 | 上司、人事、産業医との復職協議 |
| 自営業資料 | 顧客離れ、売上減、広告写真変更、予約減少 |
| 就職活動資料 | 面接への影響、職種変更、応募先変更 |
次の比較一覧は、未成年者、家事従事者、心理的影響で重視される観点を示します。収入がない、または減収が見えにくい場合でも、生活や将来への影響を具体的資料で説明する必要があることを読み取ってください。
進学、就職、面接、学校生活、いじめ、不登校、対人不安、スクールカウンセラー記録などを確認します。
家事能力そのものの低下だけでなく、外出、買い物、地域活動、学校行事への参加などを整理します。
外出回避、不眠、対人不安、事故場面の想起などが強い場合は、精神科、心療内科、心理職の記録が重要です。
次の表は、交通事故で顔に傷跡が残った場合に関わる専門職と役割を整理したものです。分野ごとに集める資料が違うため、形成外科医と弁護士等の専門家が連携し、医学的事実を等級認定と損害賠償の枠組みに翻訳することが重要です。
| 分野 | 主な専門職 | 役割 |
|---|---|---|
| 事故直後 | 警察官、救急隊員、消防、レッカー業者 | 事故処理、搬送、現場証拠、二次事故防止 |
| 医療 | 救急医、形成外科医、整形外科医、口腔外科医、眼科医、耳鼻咽喉科医 | 初期治療、創処置、骨折や神経損傷の評価、瘢痕治療 |
| 医療記録 | 診療情報管理士、医療事務、診療放射線技師 | 診断書、画像、カルテ、診療報酬明細書の管理 |
| 法律 | 弁護士、法律事務職員 | 後遺障害申請、異議申立て、示談交渉、訴訟、証拠整理 |
| 保険 | 損害保険会社担当者、損害調査担当、自賠責担当 | 保険金支払、損害調査、等級認定手続 |
| 生活再建 | 社会福祉士、心理職、スクールカウンセラー、就労支援員 | 心理支援、学校生活、復職、社会参加支援 |
示談、写真、診断書、形成外科、逸失利益の見落としを防ぎます。
顔の傷跡が残る可能性がある場合、症状固定前または後遺障害申請前に示談してしまうと、後から後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できなくなるおそれがあります。写真、診断書、形成外科所見、治療費や将来治療費の資料を残すことが重要です。
次の比較一覧は、よくある失敗例と予防策をまとめたものです。左側の失敗を避けるために、右側の資料や手続を早めに整える必要があると読み取ってください。
症状固定前や後遺障害申請前に示談せず、等級申請の要否を確認します。
受傷直後、抜糸前後、症状固定時、治療前後の写真を残します。
長さ、面積、部位、色調、陥没、人目につく程度、隠れる部分を具体的に記載してもらいます。
傷跡が問題になる場合は、形成外科で治療方針と診断書の具体性を確認します。
職業や生活状況によっては、逸失利益または慰謝料増額を検討します。
次の表は、弁護士相談を検討しやすいタイミングを示します。左列の事情がある場合、後遺障害、慰謝料、逸失利益、資料作成に影響するため、示談前の確認が重要です。
| 相談を検討しやすい事情 | 理由 |
|---|---|
| 顔の線状痕が3センチメートル以上ありそうである | 第12級以上の検討対象になる可能性がある |
| 顔に10円銅貨大以上の瘢痕がありそうである | 第12級以上の検討対象になる可能性がある |
| 陥没、変形、色素沈着、白斑、肥厚性瘢痕がある | 写真や医師所見で具体化する必要がある |
| 形成外科で傷跡は残ると言われた | 症状固定と後遺障害診断書の時期を整理する必要がある |
| 非該当または想定より低い等級になった | 認定理由を確認し、異議申立て資料を検討する必要がある |
| 逸失利益がゼロと提示された | 職業や心理的影響の立証を検討する必要がある |
| 子どもの顔に傷跡が残った | 将来の進学、就職、学校生活、心理的影響を確認する必要がある |
一般例と時期別の確認事項をまとめます。
次の表は、理解のための一般例を整理したものです。実際の等級は、医師の所見、写真、隠れる部分、複数痕、治療経過、認定実務により変わるため、右列の読み方を確認してください。
| 一般例 | 検討の方向 |
|---|---|
| 右頬に4センチメートルの線状痕 | 通常の対面距離で見える場合、第12級14号が検討対象になります。 |
| 額に5.5センチメートルの線状痕があるが2センチメートルは前髪で隠れる | 見える部分が3.5センチメートルなら、第9級ではなく第12級の検討になる可能性があります。 |
| 鼻背部から頬にかけて5.2センチメートルの線状痕 | 見える線状痕が5センチメートル以上なら、第9級16号が検討対象になります。 |
| 頬に10円銅貨大以上の面状瘢痕 | 人目につく場合、第12級14号が検討対象になり、鶏卵大面以上なら第7級が問題になります。 |
| 顔面部に10円銅貨大以上の組織陥没 | 第7級12号が検討対象になり、斜光写真、医師所見、CT、手術記録が重要です。 |
| 口角のゆがみと線状痕が併存 | 線状痕、神経麻痺、閉瞼障害、発語、流涎などを総合的に確認します。 |
| 子どもの額に3.2センチメートルの線状痕 | 第12級14号が検討対象になり、将来の職業選択や学校生活、心理的影響も検討します。 |
次の表は、事故直後から示談交渉までに確認したい項目を時期別に整理したものです。時系列で見ると、顔の写真、医療記録、測定資料、後遺障害診断書、示談案の確認が途切れないように管理する必要が分かります。
| 時期 | 確認項目 |
|---|---|
| 事故直後から治療中 | 事故直後の顔写真、救急搬送記録、初診時診断書、形成外科相談、抜糸前後の写真、感染や再縫合の経過、顔面骨折や歯や眼や鼻や耳や神経の障害 |
| 症状固定前後 | 医師との症状固定時期の相談、長さや面積や色や陥没の測定、正面や斜位や側面や表情時の写真、隠れる部分と見える部分、診断書の具体性、心理的影響 |
| 後遺障害申請 | 被害者請求と事前認定の違い、写真資料、医療記録、診断書、診療報酬明細書、事故状況資料、結果理由、異議申立て資料 |
| 示談交渉 | 後遺障害慰謝料の基準、逸失利益、将来治療費、形成外科費用、心理的損害、過失割合、示談書署名前の確認 |
等級、写真、治療、逸失利益、異議申立てを一般情報として確認します。
一般的には、後遺障害等級が認定されるには、事故との因果関係があり、症状固定後も残り、等級表の基準に該当する必要があります。ただし、傷跡の部位、長さ、面積、見え方、医療記録によって結論は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上であることが第9級検討の前提とされています。ただし、頭髪や眉毛に隠れる部分、写真、医師所見、複数痕の位置関係で評価が変わる可能性があります。具体的には資料を確認する必要があります。
一般的には、化粧で隠せることだけで直ちに非該当になるとは限らず、マスクを常時着用することを前提に外貌を評価するものでもないと考えられます。ただし、通常の状態で人目につく程度かどうか、写真で伝わるかによって判断は変わります。具体的には医師所見と写真を整理する必要があります。
一般的には、瘢痕形成術などにより目立ちにくくなることはありますが、完全に消えるとは限りません。治療の適応、時期、費用、保険適用、合併症、再発リスクは症状によって異なります。具体的な治療方針は医師へ相談する必要があります。
一般的には、顔の傷跡では労働能力への影響が職業や生活状況により大きく異なるため、逸失利益が必ず認められるとは限りません。接客、営業、美容、芸能、教育、医療など対人業務への影響、実際の減収、心理的影響の資料が重要です。具体的には資料を整理して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、非該当や想定より低い等級になった場合でも、認定理由を確認し、写真、測定、形成外科意見、医療記録などを補って異議申立てを検討できる場合があります。ただし、追加資料の有無や争点によって見通しは変わります。具体的な対応は専門家へ相談する必要があります。