2σ Guide

自社株式の評価額を引き下げる
合法的な対策5つ

非上場会社の株式は現金化しにくい一方で、相続税評価が高くなることがあります。評価方式、会社の実態、相続人間の公平、納税資金を一体で確認し、無理のない事業承継につなげるための考え方を整理します。

5つ 合法的な対策軸
7年 暦年贈与の加算期間
100% 特例措置の猶予割合
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自社株式の評価額を引き下げる 合法的な対策5つ

非上場会社の株式は現金化しにくい一方で、相続税評価が高くなることがあります。

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自社株式の評価額を引き下げる 合法的な対策5つ
非上場会社の株式は現金化しにくい一方で、相続税評価が高くなることがあります。
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  • 自社株式の評価額を引き下げる 合法的な対策5つ
  • 非上場会社の株式は現金化しにくい一方で、相続税評価が高くなることがあります。

POINT 1

  • 自社株式の評価額を引き下げる対策の全体像
  • 株価だけでなく、相続 税、会社経営、遺留分、納税資金を同時に見ることが出発点です。
  • 自社株式の評価額を引き下げる対策で重要なのは、株価を一時的に安く見せることではありません。
  • 取引相場のない株式の評価制度を理解し、会社の実態、事業承継、相続人間の公平、納税資金を一体で設計することです。
  • どの対策が自社に合うかを考える入口として、税務だけでなく 会社法や相続人間の公平にも目を向けて読むことが重要です。

POINT 2

  • 自社株式の相続で評価額が問題になる理由
  • 売りにくい株式に高い相続税評価が付くと、納税資金と経営権の両方が課題になります。
  • 評価額を下げる
  • 保有株式数を減らす
  • 納税を猶予する

POINT 3

  • 自社株式評価の基本構造を理解する
  • 評価時点、株主区分、会社規模、特定評価会社の判定が株価に影響します。
  • 相続税法では、相続や贈与で取得した財産の価額は、特別の定めがあるものを除き、取得時の時価によるとされています。
  • 自社株式の評価額を下げる対策は、この表のどこに影響する施策なのかを読み取ると、効果と限界を判断しやすくなります。
  • 相続発生後に会社の業績が悪化しても、原則として評価時点は死亡日です。

POINT 4

  • 自社株式の合法的対策と危険な対策の境界
  • 1. 事業上の目的を確認:経営改善、事業承継、資産整理など、税額以外の説明があるかを確認します。
  • 2. 金額と時期の合理性を確認:役員報酬、退職金、借入、投資が会社規模や職務に合うかを見ます。
  • 3. 書類と資金移動を確認:議事録、契約書、稟議、入出金、評価資料が一致しているかを確認します。
  • 4. 説明可能性を確認:税務署、相続人、金融機関に対して一貫した説明ができる状態に整えます。

POINT 5

  • 対策1 自社株式の類似業種比準価額を下げる経営管理
  • 利益、配当、簿価純資産を、会社の競争力を損なわない範囲で整えます。
  • 類似業種比準方式では、評価会社の配当、利益、純資産が重要です。
  • 利益を過度に積み上げず、配当政策を合理的に設計し、不要な簿価純資産を抱え込まないことが基本になります。
  • ただし、会社の競争力を落とす赤字化は、金融機関の信用、従業員の雇用、後継者の経営基盤を損ないます。

POINT 6

  • 対策2 自社株式の純資産価額を下げる資産と負債の適正化
  • 遊休資産、含み益、実在債務、退職金を整理し、会社と個人の財産を分けて見ます。
  • 会社株価だけを下げても、相続全体の負担が下がるとは限りません
  • 純資産価額方式では、会社が保有する資産と負債が評価の中心になります。
  • 会社から資産を出せばよいという単純な話ではなく、会社財産が減った後に誰の財産として残るかまで確認することが重要です。

POINT 7

  • 対策3 自社株式の会社規模区分と特定評価会社判定を改善する
  • 不動産賃貸中心の会社
  • 創業時の事業が縮小し、現在は不動産賃貸収入が中心の場合、土地保有特定会社の判定に注意します。
  • 金融資産が多い会社
  • 余剰資金で上場株式や投資信託を多く保有している場合、株式等保有特定会社の判定を確認します。

POINT 8

  • 対策4 自社株式の株主構成、持株会、種類株式を設計する
  • 名義だけの移転
  • 創業者が資金を出し、従業員は名義だけという状態は、名義株や仮装取引のリスクがあります。
  • 低額譲渡
  • 親族外の後継者や幹部へ株式を移す場合、時価との差額に課税リスクが生じることがあります。

まとめ

  • 自社株式の評価額を引き下げる 合法的な対策5つ
  • 自社株式の評価額を引き下げる対策の全体像:株価だけでなく、相続 税、会社経営、遺留分、納税資金を同時に見ることが出発点です。
  • 自社株式の相続で評価額が問題になる理由:売りにくい株式に高い相続税評価が付くと、納税資金と経営権の両方が課題になります。
  • 自社株式評価の基本構造を理解する:評価時点、株主区分、会社規模、特定評価会社の判定が株価に影響します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

自社株式の評価額を引き下げる対策の全体像

株価だけでなく、相続税、会社経営、遺留分、納税資金を同時に見ることが出発点です。

自社株式の評価額を引き下げる対策で重要なのは、株価を一時的に安く見せることではありません。取引相場のない株式の評価制度を理解し、会社の実態、事業承継、相続人間の公平、納税資金を一体で設計することです。

次の比較表は、このページで扱う5つの対策を、狙い、中心となる専門職、留意点に分けて整理したものです。どの対策が自社に合うかを考える入口として、税務だけでなく会社法や相続人間の公平にも目を向けて読むことが重要です。

対策主な狙い中心となる専門職留意点
類似業種比準価額を下げる経営管理配当、利益、簿価純資産の比準要素を適正に整える税理士、公認会計士、中小企業診断士架空経費、過大な役員退職金、無理な赤字化は避ける
純資産価額を下げる資産と負債の適正化遊休資産、含み益、実在債務、退職金を点検する税理士、公認会計士、不動産鑑定士会社株価が下がっても個人財産が増える場合がある
会社規模区分と特定評価会社判定の改善純資産価額方式に偏る状態を避け、事業会社としての実態を高める税理士、公認会計士、中小企業診断士期末直前の不自然な数字合わせは説明が難しい
株主構成、持株会、種類株式の設計支配株式と少数株式の評価差を踏まえ、承継しやすい構造を作る弁護士、司法書士、税理士名義株、低額譲渡、遺留分、議決権設計に注意する
低株価期の生前移転と事業承継税制相続時に課税される株式数を減らし、納税猶予も検討する税理士、弁護士、認定支援機関事業承継税制は株価引下げではなく納税猶予制度である

自社株式対策では、株式の評価額を下げること、相続時に保有する株式数を減らすこと、評価額は下がらなくても納税猶予を使うことを分けて考えます。会社から創業者へ退職金を支払えば会社の純資産は減る可能性がありますが、その退職金が個人の預金として残れば相続財産に含まれます。

Section 01

自社株式の相続で評価額が問題になる理由

売りにくい株式に高い相続税評価が付くと、納税資金と経営権の両方が課題になります。

自社株式とは、ここでは主にオーナー経営者やその親族が保有する非上場会社の株式を指します。上場株式のような市場価格がなく、定款で譲渡制限が置かれている会社も多いため、買い手は限られます。

一方で、会社が長年利益を積み上げている場合、相続税評価上の株価は高額になることがあります。相続人は株式を現金化しにくいのに、相続税は原則として金銭で納付しなければならないため、自社株式は「売りにくいのに高い」財産になり得ます。

次の整理は、自社株式対策で混同しやすい3つの目的を分けたものです。どの欄を狙っているのかを明確にすると、株価対策、贈与、事業承継税制、納税資金準備の役割が見えやすくなります。

整理1

評価額を下げる

類似業種比準方式や純資産価額方式に影響する要素を、会社の実態に合わせて整えます。架空取引や説明不能な赤字化とは異なります。

整理2

保有株式数を減らす

低株価期の贈与や譲渡により、相続時に被相続人が持つ株式数を減らします。贈与税や実質所有者の整理が必要です。

整理3

納税を猶予する

法人版事業承継税制などにより、要件を満たす株式の贈与税や相続税の納税猶予を検討します。株価を下げる制度ではありません。

したがって、会社株価だけを見て対策を決めるのは危険です。個人財産、相続人間の公平、遺留分、会社の資金繰り、後継者の経営基盤まで含めて比較する必要があります。

Section 02

自社株式評価の基本構造を理解する

評価時点、株主区分、会社規模、特定評価会社の判定が株価に影響します。

相続税法では、相続や贈与で取得した財産の価額は、特別の定めがあるものを除き、取得時の時価によるとされています。実務では財産評価基本通達が評価方法の中核となり、相続なら被相続人が亡くなった日、贈与なら財産を取得した日が評価時点になります。

次の比較表は、取引相場のない株式で中心になる評価方式と、どのような株主や会社で問題になりやすいかを整理したものです。自社株式の評価額を下げる対策は、この表のどこに影響する施策なのかを読み取ると、効果と限界を判断しやすくなります。

評価方式・判定基本的な考え方株価対策で見る点
原則的評価方式経営支配力を持つ同族株主等が取得する株式で使われやすい方式です。会社全体の価値に近い評価になりやすく、事業承継で中心論点になります。
配当還元方式同族株主以外の少数株主などで、配当を受ける権利を中心に評価する方式です。誰が株式を持つか、名義と実質が一致しているかが重要です。
類似業種比準方式類似する上場会社群の株価を基礎に、配当、利益、純資産の三要素で比準します。利益、配当、簿価純資産を会社の実態に合わせて整えます。
純資産価額方式資産と負債を相続税評価ベースで洗い替え、純資産を基礎に評価します。土地、有価証券、貸付金、保険積立金、実在債務を点検します。
中会社の併用方式類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせて評価します。会社規模区分が変わると評価額に影響する場合があります。
特定の評価会社株式等保有特定会社、土地保有特定会社、比準要素数一の会社などは評価効果が限定されることがあります。資産管理会社化や極端な利益調整に注意します。

相続発生後に会社の業績が悪化しても、原則として評価時点は死亡日です。相続が起きてから慌てて資産を動かしても、死亡日時点の評価を変えられるとは限らないため、生前の継続的な試算が重要です。

Section 03

自社株式の合法的対策と危険な対策の境界

会社の実態に合う意思決定か、形式だけの節税目的かを分けて考えます。

合法的な株価対策とは、会社法、税法、会計、民法、金融実務に反せず、会社の実態に合う意思決定を行い、その結果として相続税評価額が下がることです。適正な役員報酬、退職金、不採算事業の撤退、不良在庫や遊休資産の処理、事業目的のある設備投資などは、要件と手続が整っていれば検討対象になります。

次の一覧は、税務調査や相続人間の説明で問題になりやすい危険な要素を整理したものです。項目が多く当てはまるほど、形式だけの対策に見えるおそれがあるため、実行前に目的、契約、稟議、資金移動、評価資料を確認する必要があります。

架空または過大な費用

実態のない外注費、必要性を説明しにくい広告宣伝費、職務や会社規模に照らして過大な退職金は問題になり得ます。

実在しない債務

借入金や未払金の形式だけを作っても、資金の流れや契約の実態がなければ評価に反映しにくくなります。

相続直前の不自然な取引

高齢の経営者が節税目的だけで多額の借入や資産購入を行い、相続後にすぐ処分する設計は慎重な検証が必要です。

名義だけの株式移転

従業員や親族へ名義を移しても、実質的に創業者が支配し続ける場合は、名義株や仮装取引のリスクがあります。

次の判断の流れは、検討中の施策が会社の実態に合うかを確認するための順番を示しています。上から順に、事業目的、金額の合理性、手続書類、相続人や金融機関への説明可能性を確認すると、総則6項や否認リスクを早めに発見できます。

対策実行前の確認順序

事業上の目的を確認

経営改善、事業承継、資産整理など、税額以外の説明があるかを確認します。

金額と時期の合理性を確認

役員報酬、退職金、借入、投資が会社規模や職務に合うかを見ます。

書類と資金移動を確認

議事録、契約書、稟議、入出金、評価資料が一致しているかを確認します。

説明可能性を確認

税務署、相続人、金融機関に対して一貫した説明ができる状態に整えます。

財産評価基本通達には、通達評価によることが著しく不適当と認められる財産について、国税庁長官の指示を受けて評価する規定があります。形式的に通達評価を使っていても、著しく不適当な場合には問題となり得るため、株価対策では総則6項の観点を常に意識します。

Section 04

対策1 自社株式の類似業種比準価額を下げる経営管理

利益、配当、簿価純資産を、会社の競争力を損なわない範囲で整えます。

類似業種比準方式では、評価会社の配当、利益、純資産が重要です。利益を過度に積み上げず、配当政策を合理的に設計し、不要な簿価純資産を抱え込まないことが基本になります。ただし、会社の競争力を落とす赤字化は、金融機関の信用、従業員の雇用、後継者の経営基盤を損ないます。

次の一覧は、類似業種比準価額に影響し得る代表的な施策を整理したものです。各項目は単なる節税ではなく、職務内容、事業計画、株主関係、会計処理に合っているかを読み取ることが重要です。

1

役員報酬の適正化

創業者が実際に経営へ深く関与しているにもかかわらず報酬が低すぎる場合、職務内容に応じて見直す余地があります。

職務実態過大報酬に注意
2

役員退職金の計画

代表交代や退任が現実に予定されている場合、規程、決議、功績倍率、同業水準を踏まえて適正額を検討します。

退任実態個人財産化に注意
3

不採算部門の整理

改善可能性が低い事業、使われていない店舗、陳腐化した在庫、回収不能債権を適正に処理します。

財務透明化
4

配当政策の再検討

高配当を続けている会社では、事業投資、借入返済、内部留保の必要性を踏まえ、合理的な配当水準を検討します。

株主説明無配化に注意
5

将来投資の確認

研究開発、設備投資、人材投資は利益を圧縮するだけでなく、後継者の事業価値を高める可能性があります。

事業計画

次の資料一覧は、類似業種比準価額を検討する前に集めるべき資料を示しています。資料の有無により、過去の利益や配当の推移、役員報酬の合理性、退職金の根拠、不良資産の実在性を読み取れます。

資料確認する内容
直近三期から五期の決算書、勘定科目内訳書利益水準、簿価純資産、費用の推移、不採算部門の有無
株主名簿、配当履歴株主区分、配当政策、少数株主との関係
役員報酬の推移、職務分掌、同業水準報酬の適正性、職務実態、過大または過小の可能性
退職慰労金規程、株主総会議事録、取締役会議事録退職金支給の根拠、決議、退任実態
不良在庫、貸倒懸念債権、遊休資産の一覧適正処理が必要な資産と後継者への引継ぎ課題
中期事業計画、投資計画将来投資の必要性、金融機関への説明可能性

失敗例として多いのは、相続直前に無理に利益を消すことです。実態のない外注費、必要性の低い一括支出、退任実態のない退職金は否認リスクを高めます。さらに、配当、利益、純資産の三要素を極端に悪化させると、特定の評価会社の判定に影響し、かえって純資産価額方式に寄る場合があります。

Section 05

対策2 自社株式の純資産価額を下げる資産と負債の適正化

遊休資産、含み益、実在債務、退職金を整理し、会社と個人の財産を分けて見ます。

純資産価額方式では、会社が保有する資産と負債が評価の中心になります。現金預金、土地、建物、有価証券、貸付金、保険積立金などが多い会社は、純資産価額が高くなりやすく、長年保有する土地や有価証券に含み益がある場合は評価額が大きく上がることがあります。

次の比較表は、純資産対策で点検する主な資産・負債と、評価上の読み方を整理したものです。会社から資産を出せばよいという単純な話ではなく、会社財産が減った後に誰の財産として残るかまで確認することが重要です。

点検項目確認する内容留意点
遊休資産事業に使っていない土地、建物、会員権、有価証券、過大な現預金、役員貸付金を一覧化します。処分や活用には税負担、資金繰り、後継者の経営方針が関わります。
不良資産回収不能な貸付金、陳腐化した在庫、使用不能な固定資産を確認します。会計上・税務上の要件を満たす適正処理が必要です。
退職金・未払債務退任実態、決議、適正額、未払金や買掛金の実在性を確認します。実在しない債務を作ることはできません。
借入と投資製造設備、店舗改装、物流システムなど事業目的のある投資を検討します。借入金で取得した資産も評価対象になるため、必ず株価が下がるわけではありません。
土地や株式の保有構造不動産保有会社や株式保有会社になっていないかを確認します。特定評価会社に該当すると類似業種比準方式の効果が限定されることがあります。

次の重要ポイントは、純資産対策で最も誤解が起きやすい論点を示しています。会社株価の低下だけでなく、相続財産全体、所得税、法人税、生活資金、遺留分、会社の資金繰りを合わせて読む必要があります。

会社株価だけを下げても、相続全体の負担が下がるとは限りません

会社からオーナー個人へ退職金や配当として資金が移れば、会社の純資産は減る可能性があります。しかし、その資金が個人の預金として残る場合、相続財産として別に評価されます。

不動産を使う対策にも注意が必要です。借入金で不動産を取得すると、取得価額と相続税評価額の差により株価が下がると説明されることがありますが、相続直前の高額借入や節税目的だけの資産購入は慎重に検討する必要があります。賃貸需要、利回り、修繕リスク、空室リスク、金利上昇、担保、相続人間の承継方針、不動産鑑定評価まで確認します。

Section 06

対策3 自社株式の会社規模区分と特定評価会社判定を改善する

事業実態を伴う規模拡大と、資産管理会社化の回避を分けて検討します。

取引相場のない株式の原則的評価方式では、会社の規模区分が重要です。総資産価額、従業員数、取引金額により大会社、中会社、小会社へ区分され、類似業種比準方式と純資産価額方式の使われ方が変わります。

次の一覧は、事業会社としての実態を高める施策を整理したものです。売上、従業員、資産の数字だけでなく、後継者が経営できる組織を作る観点で読むことが重要です。

1

販路拡大と新規事業

既存事業の販路拡大や後継者主導の新規事業により、取引金額と組織の実態を高めます。

事業実態
2

人材採用と組織化

後継者だけに依存しない組織を作り、従業員数や職務分掌の実態を整えます。

組織承継
3

重複業務の整理

グループ内の重複業務を整理し、管理会計で採算を見える化します。

経営改善
4

事業目的のあるM&A

規模区分だけを狙うのではなく、相乗効果、契約リスク、資金繰りを確認します。

成長投資不採算買収に注意

次の一覧は、特定評価会社に該当しやすい会社の特徴を示しています。該当すると純資産価額方式に寄りやすいため、会社の収益源や保有資産の意味を読み取ることが重要です。

不動産賃貸中心の会社

創業時の事業が縮小し、現在は不動産賃貸収入が中心の場合、土地保有特定会社の判定に注意します。

金融資産が多い会社

余剰資金で上場株式や投資信託を多く保有している場合、株式等保有特定会社の判定を確認します。

第三者賃貸が中心の不動産

事業用不動産と説明していても、実際には第三者賃貸が中心なら資産保有会社化を確認します。

後継者が事業を継がない会社

事業承継の実態がなく、会社が資産管理会社化している場合は、評価方式の効果が限定されることがあります。

期末直前に借入を行い、売上や資産だけを形式的に増やす対策は説明が難しくなります。会社規模区分の改善を狙って不採算事業を買収すると、株価が下がるどころか将来の資金繰りを悪化させることもあります。

Section 07

対策4 自社株式の株主構成、持株会、種類株式を設計する

誰が株式を持つかは、評価額だけでなく経営権と紛争予防に直結します。

自社株式の評価では、誰が株式を持つかが重要です。経営支配力を持つ同族株主等が取得する株式は原則的評価方式になりやすく、同族株主以外の少数株主が取得する株式は配当還元方式になることがあります。

次の比較表は、株主構成を設計するときに検討される主な手段をまとめたものです。評価差だけでなく、議決権、退職時の買戻し、遺留分、金融機関対応を合わせて読み取ることが大切です。

手段目的確認する点
従業員持株会従業員の経営参加意識を高め、安定株主を形成し、株式を段階的に移す目的、加入資格、拠出方法、退職時買戻し、配当、議決権、譲渡制限、評価方法
役員や後継幹部への移転経営責任と経済的インセンティブを一致させる低額譲渡リスク、退職時買戻し、株主間契約、金融機関説明
種類株式後継者に議決権を集中させつつ、他の相続人には配当面の配慮を行う評価、遺留分、定款変更、登記、担保評価、事業承継税制の対象株式
相続人等への売渡請求譲渡制限株式が相続で分散することを防ぐ定款の定め、売渡価格、手続、紛争リスク

次の一覧は、持株会や株式移転で特に問題になりやすい確認点です。従業員や親族が真に株主として利益とリスクを負っているか、名義と実質が一致しているかを読み取る必要があります。

名義だけの移転

創業者が資金を出し、従業員は名義だけという状態は、名義株や仮装取引のリスクがあります。

低額譲渡

親族外の後継者や幹部へ株式を移す場合、時価との差額に課税リスクが生じることがあります。

退職や死亡時の処理

従業員が退職、死亡、離婚、破産した場合の買戻し条件を決めておかないと、株式が分散します。

事業承継税制との整合

議決権を行使できない株式は、事業承継税制の対象から外れる可能性があります。

種類株式や売渡請求は便利な一方で、定款変更、登記、評価、遺留分、会社法手続に影響します。税務だけで決めず、弁護士、司法書士、税理士が同時に確認する体制が重要です。

Section 08

対策5 自社株式の低株価期の生前移転と事業承継税制

贈与、譲渡、相続時精算課税、事業承継税制、生命保険を組み合わせて考えます。

株価は会社の業績や資産状況により変動します。業績が一時的に落ちている時期、役員退職金支給後、設備投資後、不採算事業整理後など、評価額が合理的に下がった時点で後継者へ贈与または譲渡する方法があります。ただし、低株価の原因が一時的、人工的、説明不能である場合は問題になり得ます。

次の時系列は、生前移転と納税猶予を検討する際の主な制度を並べたものです。どの段階で株式を移すのか、どの制度で納税負担を調整するのか、必要書類と期限を読み取ることが重要です。

低株価期

贈与または譲渡の検討

経営上の理由、議事録、事業計画、資金移動、贈与契約書、株価算定資料を整えます。

毎年の移転

暦年課税による贈与

令和6年1月1日以後の贈与では、相続税の課税価格に加算される期間が段階的に延長され、相続開始前7年以内となります。

早期移転

相続時精算課税

特定贈与者ごとに年間110万円の基礎控除、累計2500万円の特別控除、その後の一律20パーセント税率を確認します。

納税猶予

法人版事業承継税制

特例措置では、特例承継計画の提出期限が令和9年9月30日まで、対象となる贈与や相続の期間が令和9年12月31日までとされています。

資金準備

生命保険と納税資金

死亡保険金は相続税の課税対象になり得ますが、受取人が相続人の場合は500万円に法定相続人の数を乗じた非課税限度額があります。

次の重要ポイントは、事業承継税制の位置づけを示しています。制度を使えば株価が下がるという読み方ではなく、高い株価のままでも要件を満たす株式について納税を猶予できる制度として理解することが重要です。

事業承継税制は株価を下げる制度ではありません

事業承継税制は、非上場会社株式に係る贈与税や相続税の納税を一定要件のもとで猶予し、後継者の死亡等により免除され得る制度です。株価引下げ対策、納税資金対策、遺留分対策と併用して検討します。

暦年贈与は早期に始める必要があります。毎年同じ金額、同じ日に、同じ内容で贈与するだけでは、定期贈与として問題になる可能性があるため、贈与契約、受贈者の意思、株主名簿の変更、配当受領、議決権行使を実態として整えます。

Section 09

自社株式の評価額対策と相続人間の紛争予防

税額だけでなく、公平感、遺留分、経営権、名義株を整理します。

相続では、税額よりも相続人間の公平感が問題になることがあります。後継者が自社株式をすべて取得し、他の相続人がほとんど財産を受け取れない場合、遺留分侵害額請求が問題になり得ます。

次の一覧は、株価対策と並行して検討したい法務面の対策を整理したものです。どれも株価を直接下げる手段ではありませんが、経営権の安定と相続人間の納得性を高めるために重要です。

1

公正証書遺言と遺言執行者

自社株式を後継者に集中させ、相続発生後の手続を円滑にするために検討します。

経営権
2

代償金と生命保険

後継者以外の相続人へ金銭を用意し、遺留分や公平感に配慮します。

納得性
3

株主名簿と名義株の整理

創業時の名義株、親族名義株、退職従業員名義株を確認し、真の株主を整理します。

証拠整理
4

株主間契約と定款

譲渡制限、買戻し、議決権、種類株式の内容を整え、将来の株式分散を防ぎます。

予防法務

古い会社では、誰が真の株主かが相続時に争われることがあります。株主名簿、過去の払込資料、配当受領者、議決権行使者、贈与契約書、譲渡契約書を確認し、税務上の実質所有者の判定にも備えます。

Section 10

自社株式の評価額対策で専門家が担う役割

税務、法務、登記、会計、不動産、経営改善を分担して確認します。

自社株式対策は、税理士だけ、弁護士だけで完結しにくい領域です。株価、税額、遺留分、会社法手続、登記、不動産評価、金融機関対応を同時に確認するため、複数の専門家の役割を分けて把握します。

次の役割一覧は、どの専門家がどの論点を中心に見るかを整理したものです。相談先を選ぶ際は、各欄の業務が連動していることを読み取り、早い段階で共同検討できる体制を作ることが重要です。

専門家主な役割確認する論点
税理士自社株式評価、相続税申告、贈与税申告、事業承継税制、税務調査対応評価明細書、税額、納税資金、複数対策の試算
弁護士相続人間の争い、遺留分、株主間契約、種類株式、持株会規約、調停や審判低額譲渡、名義株、遺言、紛争予防
司法書士定款変更、種類株式発行、役員変更、商業登記、不動産登記相続登記義務、会社登記、議事録と登記の整合
公認会計士財務調査、企業価値評価、内部統制、M&A、会計処理会計処理の妥当性、金融機関説明、経済価値
不動産鑑定士等不動産の価格評価、境界、分筆、売却や賃貸実務含み益、流動化、賃貸需要、担保評価
中小企業診断士、認定支援機関、金融機関事業承継計画、後継者育成、経営改善計画、資金繰り特例承継計画、承継後5年間の事業計画、借入や保険

相続登記は令和6年4月1日から義務化されています。自社株式の問題と同時に不動産を承継する場合は、原則として取得を知った日から3年以内の相続登記申請義務も確認します。

Section 11

自社株式の評価額対策を進める実務ロードマップ

現状株価の試算から、対策比較、実行、毎年の見直しまで順序立てて進めます。

最初に行うべきことは、現状株価の試算です。直近三期分の決算書、申告書、勘定科目内訳書、株主名簿、定款、登記事項証明書、配当履歴、役員報酬、退職金規程、不動産一覧、借入金明細、保険契約一覧、親族関係図、過去の贈与契約書や譲渡契約書、遺言書の有無を集めます。

次の時系列は、自社株式対策を進める順番を示しています。手順の前後関係を読み取り、株価を試算する前に株式を動かしたり、遺留分を確認せずに承継設計を進めたりしないことが重要です。

Step 1

株主名簿、名義株、定款を確認する

真の株主、譲渡制限、種類株式、売渡請求の有無を確認します。

Step 2

現状株価と相続税を試算する

評価方式、株価、相続税概算、納税資金、遺留分リスクを把握します。

Step 3

後継者と相続人の方針を確認する

経営権を誰に集中させるか、他の相続人へどう配慮するかを整理します。

Step 4

経営改善、資産整理、退職金、配当政策を検討する

会社の実態に合う対策を、税務と事業承継の両面から比較します。

Step 5

株主構成と移転方法を設計する

種類株式、持株会、株主間契約、贈与、譲渡、事業承継税制を検討します。

Step 6

遺言、生命保険、納税資金を準備する

後継者の経営権と、他の相続人への金銭的配慮を両立させます。

毎年

株価を再試算する

決算後に株価、相続税、株主構成、贈与履歴、事業承継税制要件を見直します。

次の比較表は、対策案を比べるときの評価軸をまとめたものです。株価引下げ効果だけでなく、税額全体、資金繰り、金融機関評価、後継者の経営権、相続人の納得、税務調査での説明可能性、実行期間を同じ表で読むことが重要です。

比較軸確認する内容
株価引下げ効果類似業種比準価額、純資産価額、特定評価会社判定への影響
税額全体相続税、贈与税、所得税、法人税、社会保険の総額
会社の資金繰り退職金、投資、借入、配当の支出が事業継続に与える影響
金融機関評価利益水準、自己資本、借入余力、担保評価への影響
経営権と公平感後継者の議決権、他の相続人への代償金、遺留分対応
説明可能性税務調査、相続人、金融機関に対する資料と説明の整合
必要な期間定款変更、登記、贈与、事業承継税制、遺言作成に必要な時間

事業承継税制を利用する場合、認定後の報告や届出を怠ると猶予税額の納付が必要になることがあります。都道府県への年次報告書や税務署への継続届出書など、実行後の管理も計画に含めます。

Section 12

自社株式の評価額対策でよくある質問

制度の一般的な考え方を整理します。個別事情により結論は変わります。

Q1. 赤字にすれば自社株式の評価額は下がりますか

一般的には、一時的な業績悪化が評価額に影響する可能性はあります。ただし、単純な赤字化は金融機関評価、従業員の賞与、後継者の信用、特定評価会社判定に悪影響を与える可能性があります。架空経費や過大費用は問題になり得るため、具体的な対応は、会社の資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 役員退職金を支払えば必ず株価は下がりますか

一般的には、適正な役員退職金は会社の利益や純資産を下げる要因になる可能性があります。ただし、受け取った退職金が創業者個人の財産として残れば、相続財産になります。退職の実態、金額の合理性、株主総会決議、退職後の関与状況によって結論が変わるため、具体的な対応は税理士や弁護士等へ相談する必要があります。

Q3. 従業員持株会を作れば配当還元方式になりますか

一般的には、株主区分や実質所有者によって評価方式が変わる可能性があります。ただし、持株会の規約、議決権、資金負担、退職時買戻し、従業員が株主としてリスクを負っているかによって判断は変わります。名義だけの持株会は問題になり得るため、具体的には弁護士、司法書士、税理士等に確認する必要があります。

Q4. 事業承継税制を使えば株価対策は不要ですか

一般的には、事業承継税制は納税猶予制度であり、株価を下げる制度ではありません。要件を満たせない場合、猶予が取り消される場合、対象外株式がある場合もあります。株価対策、納税資金対策、遺留分対策をどう組み合わせるかは個別事情によって変わるため、専門家へ相談する必要があります。

Q5. 相続発生後にできる株価対策はありますか

一般的には、相続税評価の基準時点は相続開始時とされています。相続後に会社の資産を動かしても、死亡日時点の評価を変えることは原則として難しいと考えられます。相続後は、評価資料の精査、申告方法の確認、遺産分割、納税資金、延納や物納の検討が中心になるため、具体的な対応は税理士等へ相談する必要があります。

Q6. 株価を下げると他の相続人にとって不利ではありませんか

一般的には、評価額が下がると相続税が下がる可能性があります。ただし、後継者以外の相続人が会社価値を不当に低くされたと感じる場合、遺留分や代償金をめぐる紛争につながる可能性があります。生命保険、遺言、説明資料、株式評価資料の整備が必要になるため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Reference

参考資料

自社株式評価、相続税、会社法、事業承継税制に関する公的資料です。

公的資料

  • 国税庁「No.4638 取引相場のない株式の評価」
  • e-Gov法令検索「相続税法」
  • 国税庁「財産評価基本通達 第1章 総則」
  • e-Gov法令検索「会社法」
  • 中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」
  • 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
  • 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」