相続で非上場株式を取得したとき、配当還元方式を使えるかどうかは本人の持株割合だけでは決まりません。株主ごとの同族関係者、議決権割合、役員該当性、取得後割合を順に確認する必要があります。
相続で非上場株式を取得したとき、配当還元方式を使えるかどうかは本人の持株割合だけでは決まりません。
相続税評価で最初に押さえるべき結論と、誤判定が起きやすい理由を整理します。
相続財産に非上場会社の株式が含まれる場合、上場株式のような市場価格をそのまま使うことは通常できません。取引相場のない株式は、取得者が会社を支配できる側にいるのか、配当を受けるにとどまる側にいるのかによって、原則的評価方式と配当還元方式のどちらを用いるかが変わります。
このページで扱う中心テーマは、相続で取得した非上場株式について、配当還元方式が適用される少数株主に当たるかどうかと、その前提になる同族関係者の判定です。税額差が大きくなりやすく、本人の持株割合だけで判断すると誤りやすい領域です。
次の重要ポイントは、配当還元方式の判断で何を先に確認すべきかをまとめたものです。読者にとって重要なのは、計算式に入る前に、会社類型と株主グループの判定が済んでいなければ結論が変わり得る点です。3つの項目から、評価方式の入口、判定の単位、最後の上限確認を読み取ってください。
評価対象株式、課税時期の株主構成、同族関係者の範囲、同族株主の有無、5パーセント未満・15パーセント未満の基準、役員該当性、原則的評価方式による上限を順に確認します。
相続で取得した非上場株式が配当還元方式で評価されるかは、次の順番で確認します。順番が重要なのは、同族株主のいる会社かどうかで、その後に見る5パーセント基準や15パーセント基準の意味が変わるためです。上から順に、前提確認、株主グループ集計、適用可否、上限確認へ進む流れを読み取ってください。
上場株式や気配相場等のある株式ではないかを確認します。
相続では原則として被相続人の死亡の日の株主構成を見ます。
納税者本人だけでなく、評価会社の各株主について同族関係者を整理します。
30パーセント基準、筆頭グループ50パーセント超基準を確認します。
同族株主以外、または一定の5パーセント未満株主かを確認します。
支配力がある側や役員等に当たる場合は原則的評価方式を確認します。
非上場株式の評価方式と、少数株主に配当還元方式が用意されている理由を確認します。
取引相場のない株式とは、上場株式や気配相場等のある株式以外の株式を指します。相続や遺贈でこのような株式を取得した場合、株式を発行した会社を支配できる同族株主等が取得したものか、それ以外の株主が取得したものかにより、評価方式が分かれます。
原則的評価方式は会社の規模によって基本形が異なります。次の比較表は、大会社・中会社・小会社ごとに、どの評価方式が中心になるかを示します。会社規模の違いは評価額に直結するため重要であり、各行から評価方法の出発点と、その方式が何を見ているかを読み取ってください。
| 会社区分 | 原則的評価方式の基本形 | 意味 |
|---|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準方式 | 類似業種の上場会社株価と、評価会社の配当、利益、純資産を比準して評価します。 |
| 中会社 | 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用 | 大会社と小会社の中間として、会社規模に応じた併用割合で評価します。 |
| 小会社 | 純資産価額方式 | 会社の資産負債を相続税評価に洗い替え、純資産を基礎として評価します。 |
配当還元方式は、会社の支配権や会社財産そのものよりも、少数株主が通常期待できる経済的利益である配当に着目する方式です。経営支配力がない株主は、会社資産を自由に処分できず、配当を受けることが主な経済的利益となることが多いためです。
次の比較一覧は、支配できる株主と配当を期待する株主で、評価の見方がどのように違うかを示します。この違いを押さえることは、少数株主に配当還元方式が認められる趣旨を理解するうえで重要です。各項目から、誰が会社の意思決定に影響できるか、評価がどの経済的利益に注目するかを読み取ってください。
経営支配力を持たず、配当を受けることが主たる利益になりやすいため、一定の場合に配当還元方式を検討します。
同族関係者を通じて会社支配に近い影響力がある場合、本人単独では小口でも原則的評価方式が問題になります。
10パーセント還元、2円50銭の下限、原則的評価方式による上限をまとめます。
配当還元方式は、その株式に係る年配当金額を基礎に、配当を10パーセントで割り戻して株式価額を求める方式です。年配当金額が2円50銭未満の場合や無配の場合でも、ゼロではなく2円50銭として計算します。
次の一覧は、配当還元方式の算式で確認すべき要素と実務上の意味を対応させたものです。算式自体は短く見えますが、配当金額、資本金等の額、下限、上限の読み違いが評価額に直結します。各列から、どの数値をどの資料で確認し、どのような誤りを避けるべきかを読み取ってください。
| 確認項目 | 実務上の意味 |
|---|---|
| その株式に係る年配当金額 | 1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の年配当金額です。直前期末以前2年間の剰余金配当を基礎にし、継続が予想できない特別配当や記念配当などは除かれます。 |
| 10パーセント | 還元率です。配当を10パーセントで割り戻すため、年配当金額の10倍が基本になります。 |
| 1株当たりの資本金等の額 | 会計上の資本金そのものではなく、税務上の資本金等の額を基礎にします。 |
| 50円 | 通達上の標準単位です。50円として計算した年配当金額を、実際の資本金等の額に合わせるために使います。 |
| 無配または低配当 | 無配でもゼロ評価にはならず、2円50銭を下限として計算します。 |
| 原則的評価方式による上限 | 配当還元価額が原則的評価額を超える場合は、原則的評価額を用います。 |
具体例では、1株当たりの資本金等の額が500円、年配当金額が3円、取得株式数が1,000株、原則的評価方式による1株当たり評価額が8,000円の場合を考えます。この計算例は、算式の各要素がどの順番で評価額に反映されるかを確認するために重要です。下の一覧から、1株当たり評価額、取得株式数を掛けた総額、上限確認の順番を読み取ってください。
| 計算段階 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 1株当たり価額 | 3円 ÷ 10パーセント × 500円 ÷ 50円 | 300円 |
| 相続で取得した株式 | 300円 × 1,000株 | 30万円 |
| 上限確認 | 配当還元価額300円と原則的評価方式8,000円を比較 | 300円を採用 |
| 反対例 | 配当還元価額9,000円、原則的評価方式8,000円の場合 | 8,000円を採用 |
本人単独の持株割合ではなく、株主ごとの同族関係者を合算する考え方を確認します。
相続税評価でいう少数株主は、会社法上の一般的な意味で持株割合が小さい株主というだけではありません。財産評価基本通達188の「同族株主以外の株主等が取得した株式」に当たるかどうかを、株主構成と同族関係者の合算で判断します。
少数株主の判定では、本人の株数だけでなく、株主構成、議決権、同族関係者、役員該当性、取得後割合を合わせて確認します。次の一覧は、どの判定要素にどの資料が対応するかを示すものです。資料の抜けは判定誤りにつながるため重要であり、左列の判定要素ごとに右列の資料を集める必要があることを読み取ってください。
| 判定要素 | 見るべき資料 |
|---|---|
| 株主構成 | 株主名簿、法人税申告書別表、会社作成の株主一覧、過去の譲渡契約書 |
| 議決権割合 | 定款、株式の種類、単元株制度、自己株式、相互保有株式の有無 |
| 同族関係者 | 戸籍、住民票、関係会社の株主構成、支配関係資料、雇用関係資料 |
| 役員該当性 | 登記事項証明書、議事録、役員就任予定、相続税申告期限までの就任見込み |
| 取得後割合 | 遺産分割案、遺言、包括遺贈、特定遺贈、株式取得後の議決権数 |
同族関係者は、日常語の親族より広くなることがあります。次の比較表は、個人株主を中心に見た同族関係者の主な範囲と、確認で問題になりやすい点をまとめたものです。配当還元方式の可否に直結するため重要であり、各行から戸籍だけで足りる場合と生活実態や支配関係まで見る場合の違いを読み取ってください。
| 区分 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 親族 | 配偶者、子、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹、甥姪、叔父叔母、いとこ等 | 6親等内の血族、3親等内の姻族まで広く含み得ます。 |
| 内縁関係 | 婚姻届を出していないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 | 戸籍だけでは確認できないため、生活実態資料が問題になります。 |
| 使用人 | 個人株主の使用人 | 雇用契約、給与支払、指揮命令関係を確認します。 |
| 生計維持関係者 | 株主から金銭その他の資産を受けて生計を維持している者 | 扶養の実態、送金、居住状況が問題になります。 |
| 生計を一にする親族 | 一定の同族関係者と生計を一にする親族 | 住民票上の同居だけでなく、生活費負担の実態を確認します。 |
法人が株主に含まれる場合は、その法人が誰の同族関係者になるかも検討します。次の重要ポイントは、個人の親族関係と法人の支配関係を分けて整理する理由を示しています。読者にとって重要なのは、資産管理会社や持株会社を経由した保有でも、支配関係が評価方式に影響し得る点です。
株主等の1人が他の会社を支配している場合、その会社やさらに特殊関係にある会社が同族関係者として問題になることがあります。発行済株式、議決権、社員数などを確認します。
同族関係者の範囲と、中心的な同族株主の25パーセント判定で見る近親者範囲は同じではありません。遠い親族は同族関係者には含まれ得る一方、中心的な同族株主の近親者判定には入らないことがあります。この違いは、同族株主グループに属する5パーセント未満の株主が配当還元方式を使えるかどうかに直結します。
同族株主のいる会社といない会社で、配当還元方式の入口がどう変わるかを整理します。
同族株主のいる会社では、課税時期における評価会社の株主のうち、株主1人およびその同族関係者の議決権合計が30パーセント以上である場合、その株主および同族関係者が同族株主となります。ただし、最も多いグループが50パーセント超である会社では、その50パーセント超のグループに属する株主および同族関係者が同族株主となります。
次の比較表は、筆頭グループが50パーセント以下の場合と50パーセント超の場合で、30パーセント以上のグループの扱いがどう変わるかを示します。配当還元方式の前提になる会社類型を誤らないために重要です。各例から、30パーセント以上なら常に同族株主になるわけではなく、筆頭グループの50パーセント超判定を先に確認することを読み取ってください。
| 場面 | 議決権構成 | 判定結果 |
|---|---|---|
| 筆頭グループが50パーセント以下 | Aグループ35パーセント、Bグループ32パーセント、Cグループ20パーセント、その他13パーセント | AグループとBグループはいずれも30パーセント以上であり、同族株主に該当し得ます。 |
| 筆頭グループが50パーセント超 | Aグループ60パーセント、Bグループ33パーセント、その他7パーセント | Aグループが50パーセント超であるため、Bグループは30パーセント以上でも同族株主とはなりません。 |
同族株主のいる会社で配当還元方式が適用される典型は、同族株主以外の株主が取得する場合です。さらに、同族株主に該当していても、中心的な同族株主のいる会社で、中心的な同族株主以外、取得後5パーセント未満、役員等でない場合には、配当還元方式の対象となることがあります。
次の比較一覧は、同族株主のいる会社で配当還元方式を検討できる2つの入口を示します。どちらに当たるかで必要資料が変わるため重要です。各項目から、同族株主以外か、同族株主グループ内の小口株主かを分けて読む必要があることを確認してください。
50パーセント超の創業家グループがある会社で、従業員株主などが同族関係者でない場合、配当還元方式を検討します。
同族株主に属しても、中心的な同族株主ではなく、取得後5パーセント未満で、役員等でない場合に配当還元方式を検討します。
同族株主のいない会社では、取得者と同族関係者の議決権合計が15パーセント未満であれば、配当還元方式の対象となります。15パーセント以上でも、中心的な株主がいる会社で、取得後5パーセント未満かつ役員等でない場合には、配当還元方式を検討できることがあります。
次の比較表は、同族株主のいない会社で使う15パーセント基準と、中心的な株主がいる場合の5パーセント未満基準を整理したものです。本人単独ではなく同族関係者との合計を見る点が重要です。各行から、15パーセント未満なら入口が明確で、15パーセント以上では中心的な株主の有無と役員該当性まで見ることを読み取ってください。
| 取得者グループの状態 | 見る基準 | 評価方式の方向性 |
|---|---|---|
| 本人と同族関係者の合計が15パーセント未満 | 15パーセント未満基準 | 配当還元方式の対象となります。 |
| 合計が15パーセント以上で中心的な株主がいる | 取得後5パーセント未満、役員等でないこと | 条件を満たす場合に配当還元方式を検討できます。 |
| 合計が15パーセント以上で中心的な株主がいない | 中心的な株主の不存在 | 原則的評価方式の適用を検討します。 |
自己株式、相互保有、種類株式がある場合は、株式数と議決権数を分けて確認します。
株主判定は、発行済株式数ではなく議決権数を基礎にします。自己株式、相互保有で議決権が制限される株式、種類株式がある場合、分母や分子を誤ると30パーセント、50パーセント超、15パーセント、5パーセント未満の判定が変わります。
次の比較表は、議決権総数の判定で特に注意すべき3つの場面をまとめたものです。これらは株式数の感覚で処理しやすいため重要です。各行から、どの株式を0として扱うのか、どの種類株式を含めるのか、会社法上の制限も合わせて見る必要があることを読み取ってください。
| 場面 | 判定上の扱い | 確認資料 |
|---|---|---|
| 自己株式 | 自己株式に係る議決権の数を0として計算した議決権数を基礎にします。発行済株式10,000株のうち2,000株が自己株式なら、原則として8,000議決権を基礎にします。 | 株主名簿、自己株式取得資料、決算書 |
| 議決権を有しないこととされる株式 | 会社法上、評価会社の株式について議決権を有しない会社がある場合、その会社の議決権数を0として計算します。 | 関係会社資料、相互保有関係、定款 |
| 種類株式 | 株主総会の一部事項について議決権を行使できない種類株式も、判定では議決権数または議決権総数に含める扱いがあります。 | 定款、登記事項証明書、種類株式発行資料 |
次の判断の流れは、議決権総数を確認したあと、同族株主のいる会社か、いない会社かを分けて配当還元方式の可否を見る順序を示します。順序が重要なのは、本人の取得後割合だけを先に見ると、会社類型の判定を取り違えるおそれがあるためです。上から順に、分母確認、同族株主判定、配当還元方式または原則的評価方式の結論へ進むことを読み取ってください。
自己株式、議決権制限、種類株式を確認します。
個人・法人の特殊関係を含めてグループ化します。
筆頭50パーセント超、または30パーセント以上のグループを確認します。
中心的な同族株主と役員該当性も確認します。
中心的な株主の有無、取得後5パーセント未満、役員該当性を確認します。
遺産分割、会社承継、無配、配当政策、税務調査、制度見直しまで確認します。
相続では、誰が株式を取得するかによって取得後の議決権割合が変わり、配当還元方式の適用可否に影響することがあります。会社を継がない相続人であっても、配偶者、子、兄弟姉妹などとして同族関係者に含まれることが多いため、同族株主グループに属するかを確認します。
次の比較一覧は、相続で特に問題になりやすい場面と確認すべきポイントをまとめたものです。実務では評価方式の判定だけでなく、相続人間の公平、会社資料の開示、税務調査への説明も同時に問題になるため重要です。各項目から、どの場面で5パーセント未満、役員性、配当実績、遺産分割上の評価が問題になるかを読み取ってください。
経営に関与しない相続人でも、同族関係者に含まれる可能性があります。中心的な同族株主以外か、取得後5パーセント未満か、役員ではないかを確認します。
株式を分けると各人5パーセント未満でも、一人に集中させると5パーセント以上になることがあります。形式だけの分割は税務上のリスクがあります。
相続税評価では低額でも、代償金や遺留分では会社支配、配当実績、売却可能性、純資産、将来収益が争点になることがあります。
無配でもゼロ評価にはなりません。年配当金額が2円50銭未満または無配の場合は2円50銭として計算します。
直前期末以前2年間の配当実績が基礎になるため、配当停止や異常配当は税務調査で問題になり得ます。
実務事例を見ると、同じ少数持分でも、創業家グループとの関係や同族株主のいない会社かどうかで結論が変わります。次の表は4つの典型事例を比較するものです。事例ごとの議決権割合と中心的な株主の有無を照らすことが重要であり、右列から配当還元方式を検討できる理由と追加確認点を読み取ってください。
| 事例 | 株主構成 | 評価方式の見方 |
|---|---|---|
| 事例1 創業家70パーセント、従業員1パーセント | 創業家グループが50パーセント超、従業員Xが1パーセントを保有し、Xの子が相続 | Xと子が創業家グループの同族関係者でなければ、同族株主以外として配当還元方式を検討できます。親族関係、生計維持関係、議決権行使合意を確認します。 |
| 事例2 創業家の分家が2パーセント | 創業者Aと近親者65パーセント、AのいとこYが2パーセント、Yの子が相続 | Yと子は親族関係により同族関係者に含まれる可能性があります。中心的な同族株主以外、取得後5パーセント未満、役員等でないかを確認します。 |
| 事例3 同族株主がいない会社で14パーセント | 30パーセント以上の同族関係者グループがなく、Zグループが14パーセント | Zグループが15パーセント未満であるため、配当還元方式の対象となる可能性が高い場面です。 |
| 事例4 同族株主がいない会社で18パーセント | Wグループ18パーセント、W本人4パーセント、Kが単独12パーセントでKグループ20パーセント | Wグループは15パーセント以上ですが、中心的な株主Kがいる会社で、Wが取得後5パーセント未満かつ役員等でなければ、配当還元方式を検討できます。 |
税務調査では、名義株、直前の株式移動、役員就任予定、関係法人の支配判定、配当の継続性が問題になりやすいです。これらは形式的な株主名義や配当額だけでは実態を説明できないため重要です。次の時系列から、相続開始前後でどの資料を整理し、どの論点を説明できるようにするかを読み取ってください。
出資原資、配当受領、議決権行使、株券保管、譲渡契約の有無を確認します。
死亡の日の議決権構成、役員登記、就任予定、関係法人の支配関係を整理します。
配当還元方式の判定根拠、原則的評価方式との比較、配当の継続性を説明できる資料にまとめます。
近時は、取引相場のない株式評価制度の見直し議論もあります。国税庁の2026年4月20日の有識者会議資料では、令和5年度決算検査報告の概要として、類似業種比準価額の中央値が純資産価額の中央値の27.2パーセントであること、会社規模が大きいほど株式評価額が相対的に低く算定される傾向があること、配当還元方式の10パーセント還元率が長期的な金利低下の中で見直されていないことなどが示されています。現行通達に基づく判定を行いながら、将来の通達改正や実務運用の変化にも注意が必要です。
税務、相続紛争、会社法、不動産評価が交差するため、確認範囲を切り分けます。
非上場株式の相続では、相続税評価だけでなく、遺産分割、会社法上の手続、商業登記、不動産評価が同時に問題になることがあります。次の一覧は、専門職ごとに確認する領域を整理したものです。誰が何を確認するかが曖昧だと資料不足になりやすいため重要であり、各行から税務評価、紛争対応、登記、財務分析、不動産評価の分担を読み取ってください。
| 専門職 | 主な検討事項 | 配当還元方式との関係 |
|---|---|---|
| 税理士 | 評価方式の判定、評価明細書、原則的評価方式との比較、特定の評価会社該当性、税務調査対応 | 申告時点で株主名簿、議決権数、同族関係者一覧、役員該当性、取得後議決権割合を文書化します。 |
| 弁護士 | 遺産分割、調停、審判、遺留分侵害額請求、株主権行使、会社資料の開示請求 | 相続税評価額だけで代償金や遺留分の時価が当然に決まるわけではない点を整理します。 |
| 公認会計士 | 財務諸表、法人税申告書、資本金等の額、配当可能利益、純資産価額、類似業種比準価額 | 配当還元方式が適用される場合でも、原則的評価方式による上限確認や特定会社判定を確認します。 |
| 司法書士 | 相続関係書類、遺産分割協議書、商業登記、役員変更登記、株主名簿変更 | 役員就任予定や名義書換が、配当還元方式の判定資料と矛盾しないように整理します。 |
| 不動産鑑定士・土地家屋調査士 | 土地保有会社、賃貸不動産、借地権、底地、境界、地積、分筆、利用状況 | 原則的評価方式による上限確認や他の相続財産評価で、不動産評価が重要になることがあります。 |
後から説明できる判定根拠を残すため、収集資料と確認事項を一覧化します。
配当還元方式の適用可否は、後日説明できる資料とセットで整理する必要があります。次の一覧は、収集資料と目的を対応させたものです。税務調査や相続人間の説明で根拠を示すために重要であり、左列の資料から何を確認するかを右列で読み取ってください。
| 資料 | 目的 |
|---|---|
| 株主名簿 | 課税時期の株主、株式数、種類株式、名義を確認します。 |
| 定款 | 譲渡制限、種類株式、単元株式、議決権制限を確認します。 |
| 登記事項証明書 | 役員、会社状態、発行可能株式数、種類株式の登記事項を確認します。 |
| 法人税申告書別表 | 資本金等の額、株主構成、同族会社判定資料を確認します。 |
| 決算書、株主資本等変動計算書 | 配当、資本金等、純資産、利益、特定会社判定を確認します。 |
| 配当決議資料 | 剰余金配当の効力発生日、特別配当該当性を確認します。 |
| 戸籍一式 | 親族関係、相続人、同族関係者を確認します。 |
| 関係会社の株主名簿 | 支配法人、同族関係法人を確認します。 |
| 雇用関係資料 | 使用人該当性を確認します。 |
| 生計維持資料 | 送金、同居、扶養、生活費負担の実態を確認します。 |
| 遺言書、遺産分割協議書案 | 取得後の議決権割合を確認します。 |
| 役員就任予定資料 | 課税時期後、法定申告期限までの役員就任見込みを確認します。 |
次のチェックリストは、配当還元方式を採用する前に答えられる状態にしておきたい確認事項です。単なる計算表ではなく、判定根拠を説明するための順番を示すため重要です。上から順に、議決権総数、同族関係者、会社類型、取得者の地位、上限確認、遺産分割上の説明へ進むことを読み取ってください。
課税時期の議決権総数、自己株式、相互保有株式、種類株式、株主ごとの同族関係者を確認します。
筆頭株主グループ、30パーセント以上グループ、同族株主のいない会社での15パーセント基準を確認します。
取得後の議決権割合、課税時期の役員該当性、申告期限までの役員就任予定を確認します。
配当還元価額が原則的評価方式による価額を超えないかを確認します。
相続税評価と代償金・遺留分での評価が異なる場合、その理由と資料を整理します。
よくある誤解を、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、5パーセント未満は重要な要件の一つとされています。ただし、同族株主のいる会社か、同族株主のいない会社か、中心的な同族株主または中心的な株主の有無、役員該当性によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、同族株主の判定では評価会社の株主1人ごとに、その株主と同族関係者の議決権を合計するとされています。「株主の1人」は納税義務者に限られないため、会社全体の株主構成によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、株主名簿や戸籍、関係会社資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、民法上の親族は6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族とされています。さらに同族関係者には、内縁関係、使用人、生計維持関係者、支配法人などが含まれ得ます。具体的な範囲は家族関係や生活実態、法人支配関係によって変わる可能性があります。
一般的には、同族株主グループに属する場合でも、中心的な同族株主のいる会社で、中心的な同族株主以外の同族株主が取得後5パーセント未満であり、役員等でないときは、配当還元方式の対象となる場合があります。ただし、役員就任予定や取得後割合で結論が変わる可能性があります。
一般的には、無配または年配当金額が2円50銭未満の場合でも、2円50銭として計算するとされています。そのため、無配であることだけで評価額がゼロになるとは限りません。具体的な評価額は、資本金等の額や原則的評価方式による上限確認によって変わります。
一般的には、相続税評価は課税価格計算のための評価であり、遺産分割や遺留分での時価評価とは目的が異なるとされています。合意によって相続税評価額を参考にすることはあり得ますが、会社支配、譲渡制限、配当実績、純資産、将来収益などで結論が変わる可能性があります。具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
公的資料、法令、通達、評価制度に関する資料を確認しています。