2σ Guide

DVとは
支配と暴力を見分けるための基礎知識

DVは夫婦げんかの延長ではなく、親密な関係の中で安全・自由・尊厳を奪う暴力と支配の問題です。緊急時の相談先、法的な定義、保護命令、証拠化、子どもへの影響まで整理します。

#8008DV相談ナビ
127,796件令和6年度センター相談
2年以下保護命令違反の刑罰例
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DVとは 支配と暴力を見分けるための基礎知識

DVは夫婦げんかの延長ではなく、親密な関係の中で安全・自由・尊厳を奪う暴力と支配の問題です。

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DVとは 支配と暴力を見分けるための基礎知識
DVは夫婦げんかの延長ではなく、親密な関係の中で安全・自由・尊厳を奪う暴力と支配の問題です。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • DVとは 支配と暴力を見分けるための基礎知識
  • DVは夫婦げんかの延長ではなく、親密な関係の中で安全・自由・尊厳を奪う暴力と支配の問題です。

POINT 1

  • DVとは何かを確認する前に安全確保を優先する
  • 現在進行形の危険があるときは、情報収集よりも通報・避難・医療機関受診が優先される場面があります。
  • 相談先を分けて理解しておくことは、今いる状況に合う窓口へ早くつながるために重要です。
  • 左から緊急性、相談先、主な役割を読み取り、ひとりで判断しにくい場合でも相談の入口が複数あることを確認してください。
  • 暴力が進行中、凶器、押しかけ、子どもの危険、追跡などがある場合は、警察への通報や安全確保が優先される対応とされています。

POINT 2

  • DVとは何か ― 一般的意味と法律上の意味を分ける
  • 同じDVという言葉でも、支援実務で広く捉える意味と、保護命令などの制度で要件を見る意味は完全には一致しません。
  • DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略称です。
  • ここで大切なのは、DVが法律上の婚姻関係だけに限られないという点です。
  • この区別は、相談の入口を狭めない一方で、保護命令など具体的な制度を使うときに要件を確認するために重要です。

POINT 3

  • DVとは単発の衝突ではなく支配とコントロールの構造である
  • 意思表示への報復
  • 被害者が自分の意思を示すと、怒鳴る、脅す、無視する、暴れるなどして従わせる行為が問題になります。
  • 生活資源の管理
  • 収入、預金、身分証、スマートフォン、移動手段を管理し、離れにくい状態を作ることがあります。

POINT 4

  • DVとは誰からの暴力を指すのか ― 配偶者以外も相談対象になる
  • 配偶者、元配偶者、事実婚、生活の本拠を共にする交際相手、恋人・元恋人など、関係性ごとに制度の使い方が変わります。
  • DV防止法上の配偶者には、法律上の婚姻届を出した配偶者だけでなく、事実婚も含まれます。
  • 性別も問いません。
  • 離婚後であっても、離婚前からの暴力等が引き続いている場合は、法律の対象になり得ます。

POINT 5

  • DVとは刑事・民事・家事事件が交差する問題である
  • 家庭内のこととして片づけず、犯罪、離婚、婚姻費用、親権、慰謝料、住所秘匿をまとめて検討します。
  • DVは家庭内の問題にとどまりません。
  • 刑事事件、民事事件、家事事件、人権問題、福祉問題が交差する複合的な問題です。
  • この整理は、どの機関へ相談するか、どの証拠を残すかを考えるために重要です。

POINT 6

  • DVとは保護命令で接近・連絡を制限できる場合がある問題である
  • 1. 安全確認:現在進行形の危険がある場合は通報や退避を優先します。
  • 2. 相談記録の確認:支援センターや警察への相談歴、医療機関の記録、メッセージ等を整理します。
  • 3. 命令類型の選択:本人、子、親族、電話等、退去等のうち、どの危険に対応するかを確認します。
  • 4. 緊急性を説明:審尋等を経ることで目的を達成できない事情があるかを整理します。
  • 5. 資料を整える:申立書、証拠、秘匿情報、費用、相談歴を確認します。

POINT 7

  • DVとは証拠化より安全を優先しながら事実を残す問題である
  • 写真・診断書・通院記録
  • 証拠は一つで完結するものではなく、相談記録、医療記録、写真、メッセージ、時系列メモなどを組み合わせて整理します。

POINT 8

  • DVとは子どもの安全と面前DVにも関わる問題である
  • 面前DV
  • 子どもの前で配偶者等に暴力を振るうことは、子どもへの心理的虐待に当たり得ます。
  • 子どもを使った脅し
  • 子どもを連れて行く、会わせない、危害を加えるなどの発言は、被害者の支配に使われることがあります。

まとめ

  • DVとは 支配と暴力を見分けるための基礎知識
  • DVとは何かを確認する前に安全確保を優先する:現在進行形の危険があるときは、情報収集よりも通報・避難・医療機関受診が優先される場面があります。
  • DVとは何か ― 一般的意味と法律上の意味を分ける:同じDVという言葉でも、支援実務で広く捉える意味と、保護命令などの制度で要件を見る意味は完全には一致しません。
  • DVとは単発の衝突ではなく支配とコントロールの構造である:怒鳴る、謝る、監視する、孤立させる、生活費を握るといった行為が組み合わさると、被害者の自由な判断が奪われます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

DVとは何かを確認する前に安全確保を優先する

現在進行形の危険があるときは、情報収集よりも通報・避難・医療機関受診が優先される場面があります。

暴力を受けている最中、相手が家に押しかけている、凶器を持っている、子どもに危害が及びそう、逃げたことが知られて追跡されているなどの危険がある場合は、一般に110番通報や安全な場所への退避が優先される対応とされています。

安全優先相手を説得する、荷物を取りに戻る、危険な場所で証拠を集めるといった行動は、危険を高める可能性があります。緊急性がある場面では、警察や支援機関につながることを検討してください。

次の一覧は、危険の強さや相談したい内容ごとの入口を整理したものです。相談先を分けて理解しておくことは、今いる状況に合う窓口へ早くつながるために重要です。左から緊急性、相談先、主な役割を読み取り、ひとりで判断しにくい場合でも相談の入口が複数あることを確認してください。

110

今すぐ危険がある

暴力が進行中、凶器、押しかけ、子どもの危険、追跡などがある場合は、警察への通報や安全確保が優先される対応とされています。

緊急
8008

DV相談ナビ

全国共通番号として、最寄りの配偶者暴力相談支援センター等につながる入口です。逃げたい、何から始めるか分からない段階でも相談対象になります。

相談入口

DV相談プラス

0120-279-889の電話は24時間、チャット相談は12時から22時、プラス相談箱は24時間受付と案内されています。10か国語対応のチャットや男性相談の案内もあります。

複数手段
189

子どもの安全

子どもが暴力を目撃している、直接被害を受けている、心身の不調がある場合は、児童相談所や学校、医療機関との連携も検討されます。

面前DV

このページでは、DVを単なる言葉の意味だけでなく、支配構造、法律上の制度、保護命令、離婚・婚姻費用・親権、証拠化、子どもへの影響、相談先の役割までつなげて整理します。個別の見通しは、相手との関係、暴力の内容、証拠、住居、子どもの有無、相談歴、希望する手続によって変わります。

Section 01

DVとは何か ― 一般的意味と法律上の意味を分ける

同じDVという言葉でも、支援実務で広く捉える意味と、保護命令などの制度で要件を見る意味は完全には一致しません。

DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略称です。日本では一般に、配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった相手から振るわれる暴力という意味で使われることが多いと説明されています。ここで大切なのは、DVが法律上の婚姻関係だけに限られないという点です。

次の比較表は、DVを理解するときの二層構造を示します。この区別は、相談の入口を狭めない一方で、保護命令など具体的な制度を使うときに要件を確認するために重要です。列ごとに、意味の広さ、関係性、主に関わる制度の違いを読み取ってください。

観点社会的・支援実務上のDV法律制度上のDV
意味親密な関係にある、またはあった相手からの暴力・支配・威圧・搾取を広く捉えます。DV防止法、刑法、民法、家事事件手続など、制度ごとに要件と効果が定められます。
関係性配偶者、元配偶者、内縁関係、交際相手、元交際相手、同性カップルなどが問題になります。保護命令では配偶者、事実婚、生活の本拠を共にする交際相手など、制度上の対象範囲を確認します。
行為身体的暴力だけでなく、脅迫、監視、孤立化、経済的支配、性的強要なども含めて考えます。保護命令、刑事事件、離婚、慰謝料など、手続ごとに対象行為や証明すべき事実が異なります。

日本で被害者保護を中心的に扱う法律は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律です。一般に配偶者暴力防止法、またはDV防止法と呼ばれます。同法は、通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止と被害者保護を図る制度です。

二層で考える「DV防止法の保護命令の対象か」と「危険で違法となり得る行為か」は同じではありません。保護命令の要件に当てはまるか分からない場合でも、警察、支援センター、弁護士等への相談対象になることがあります。
Section 02

DVとは単発の衝突ではなく支配とコントロールの構造である

怒鳴る、謝る、監視する、孤立させる、生活費を握るといった行為が組み合わさると、被害者の自由な判断が奪われます。

DVを理解する際に重要なのは、たまたま一度怒鳴った、夫婦げんかが行き過ぎた、といった単発の衝突だけで捉えないことです。もちろん一度の暴行や脅迫でも違法となり得ますが、DV事案では多くの場合、暴力が相手を支配し、行動を制限し、意思決定の自由を奪う手段として使われます。

次の重要ポイント一覧は、DVの支配構造を分解したものです。支配の仕組みを知ることは、被害者が「自分が悪い」と抱え込まないために重要です。各項目から、暴力が直接のけがだけでなく、交友関係、収入、端末、子ども、住居などを通じて自由を狭めることを読み取ってください。

意思表示への報復

被害者が自分の意思を示すと、怒鳴る、脅す、無視する、暴れるなどして従わせる行為が問題になります。

生活資源の管理

収入、預金、身分証、スマートフォン、移動手段を管理し、離れにくい状態を作ることがあります。

謝罪と再暴力の反復

暴力の後に謝罪や優しさを示し、被害者に原因が自分にあると思わせることがあります。

子どもや親族の利用

子ども、親族、職場、在留資格、住居、ペット、借金などを使い、相談や離脱を妨げることがあります。

そのため、被害者に「なぜ逃げないのか」と問い詰めることは、問題の理解として不十分です。恐怖感、無力感、経済的問題、子どもの問題、失うものの大きさなどが重なると、外から見えるよりも離脱は難しくなります。

Section 03

DVとはどのような暴力を含むのか ― 6つの被害類型

身体的暴力だけでなく、精神的・経済的・性的・社会的・デジタルな支配も問題になります。

DVに該当し得る行為は一つではありません。次の一覧は、主要な暴力類型を、行為の例と注意点に分けてまとめたものです。複数の類型が同時に起きやすい点を知ることは、被害の全体像と必要な支援を見落とさないために重要です。各行では、見えるけがの有無だけでなく、監視・孤立・生活費・性的同意・位置情報の問題にも注目してください。

類型行為の例注意点
身体的暴力殴る、蹴る、首を絞める、髪を引っ張る、物を投げる、逃げ道を塞ぐ。見える傷がなくても生命・身体の危険につながる場合があります。診察、写真、診断書、相談記録が重要になり得ます。
精神的暴力大声で怒鳴る、無視する、侮辱する、子どもに危害を加えると脅す、交友関係を制限する。外から見えにくく、被害者自身もDVと認識しにくいことがあります。継続すると健康や判断力に影響します。
経済的暴力生活費を渡さない、収入を取り上げる、就労を妨げる、借金を負わせる、家計を一方的に管理する。避難、医療、弁護士相談、子どもの生活を直接妨げます。婚姻費用や支援制度の検討につながります。
性的暴力嫌がる性的行為を強要する、避妊に協力しない、中絶を強要する、性的画像を見せる。夫婦や恋人関係であっても、その都度の自由な同意が必要です。恐怖や支配で拒否できない状態は深刻な権利侵害です。
社会的孤立化実家や友人と会わせない、職場へ押しかける、相談相手を攻撃する、誰も信じないと言い続ける。相談先を奪い、被害を長期化させる環境づくりとして機能します。
デジタルDVスマホ確認、SNS監視、位置情報共有の強要、紛失防止タグの悪用、画像拡散の脅し。位置情報やクラウド同期から相談・避難計画が知られる危険があります。安全な端末や相談環境を支援機関と確認します。

デジタルDVでは、車、バッグ、子どもの持ち物、ぬいぐるみ、鍵束などに位置情報端末が忍ばされる可能性も問題になります。2025年12月30日施行の令和7年改正では、紛失防止タグを使った位置情報の無承諾取得や取り付け等が、接近禁止命令等における禁止行為に追加されています。

Section 04

DVとは誰からの暴力を指すのか ― 配偶者以外も相談対象になる

配偶者、元配偶者、事実婚、生活の本拠を共にする交際相手、恋人・元恋人など、関係性ごとに制度の使い方が変わります。

DV防止法上の配偶者には、法律上の婚姻届を出した配偶者だけでなく、事実婚も含まれます。性別も問いません。離婚後であっても、離婚前からの暴力等が引き続いている場合は、法律の対象になり得ます。

次の比較表は、関係性ごとの考え方を整理したものです。制度の対象範囲を知ることは、相談できないと自己判断してしまうことを避けるために重要です。右列では、保護命令の対象にならない可能性があっても、刑事・民事・ストーカー対応など別の手段が問題になり得る点を読み取ってください。

関係性考え方確認したい点
配偶者・元配偶者同居・別居を問わず、DV防止法の対象になり得ます。離婚前からの暴力が続く場合も問題になります。暴力・脅迫の内容、相談歴、今後の危険、保護命令の要件を確認します。
事実婚・内縁婚姻届がなくても、事実上婚姻関係と同様の事情がある場合は対象になり得ます。同居、生活実態、当事者の意思、周囲からの認識などが重要です。
生活の本拠を共にする交際相手生活の本拠を共にする交際相手からの暴力についても準用されます。共同生活の実態や、交際解消後も暴力が続いているかを確認します。
恋人・元恋人一般にデートDVと呼ばれることがあります。保護命令の対象になるかは事情で変わります。対象外でも、暴行、傷害、脅迫、ストーカー規制、リベンジポルノ関連、民事責任などが問題になります。
男性・外国人・同性カップル被害者像を一つに固定しないことが大切です。男性被害者、外国人、同性カップルも相談対象になり得ます。一時保護施設の受入体制や制度利用は地域差があるため、公的窓口へ確認します。

「DV防止法の対象かどうか」と「違法・危険な行為かどうか」は別問題です。同居していない恋人からの暴力でも、暴行、傷害、脅迫、強要、不同意性交等、ストーカー規制法違反、民事上の不法行為などが問題になることがあります。

Section 05

DVとは刑事・民事・家事事件が交差する問題である

家庭内のこととして片づけず、犯罪、離婚、婚姻費用、親権、慰謝料、住所秘匿をまとめて検討します。

DVは家庭内の問題にとどまりません。刑事事件、民事事件、家事事件、人権問題、福祉問題が交差する複合的な問題です。内閣府は、身体的暴力は配偶者間で行われても傷害罪や暴行罪の対象になり得ると説明し、性的暴力についても夫婦間で不同意性交等罪に当たる場合があると説明しています。

次の表は、行為の例と問題になり得る法的評価を対応させたものです。この整理は、どの機関へ相談するか、どの証拠を残すかを考えるために重要です。左列の行為が一つだけでなく複数重なる場合には、警察、支援センター、弁護士、医療機関など複数の窓口が必要になることを読み取ってください。

行為の例問題になり得る犯罪・法的評価
殴る、蹴る、首を絞める、物を投げつける暴行罪、傷害罪、傷害致死罪、殺人未遂等
殺す、子どもを連れていく、職場にばらすと脅す脅迫罪、強要罪、DV防止法上の保護命令要件等
嫌がる性的行為を強要する不同意性交等罪、不同意わいせつ罪等
家から出さない、閉じ込める逮捕監禁罪等
スマートフォンや物を壊す器物損壊罪等
つきまとい、待ち伏せ、連続連絡ストーカー規制法、DV防止法上の電話等禁止命令等
保護命令に違反するDV防止法上の保護命令違反

民事・家事の面では、離婚、別居、婚姻費用、養育費、親権、面会交流、財産分与、慰謝料、住居の使用、住民票の閲覧制限などが同時に問題になります。DVがある場合、当事者同士で離婚協議をすること自体が危険なこともあります。

直接交渉に注意相手が話し合いの場で威圧する、居場所を特定する、子どもを使って脅す、生活費を止めるなどのリスクがある場合、支援機関や弁護士を通じた対応が望ましい場面があります。
Section 06

DVとは保護命令で接近・連絡を制限できる場合がある問題である

保護命令は裁判所が相手方に一定行為を禁じる制度で、違反には刑事罰が予定されています。

保護命令とは、DV被害者の申立てにより、裁判所が相手方に対して、つきまとい、接近、連絡、住居付近のはいかい、退去等を命じる制度です。単なる注意やお願いではなく、相手方が違反した場合、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金の対象になり得ます。

次の一覧は、保護命令の6類型と主な内容をまとめたものです。どの命令を求めるかは、相手方の行為、子どもや親族への危険、住居の状況によって変わるため重要です。各行から、申立人本人だけでなく、子ども、親族、住居、GPS・SNSなどの連絡監視行為も検討対象になることを読み取ってください。

保護命令主な内容期間・補足
申立人への接近禁止命令申立人の身辺へのつきまといや通常所在する場所付近のはいかいを禁止します。期間は1年間です。
申立人への電話等禁止命令面会要求、行動監視の告知、連続電話・メール・SNS送信、深夜早朝の連絡、GPSによる位置情報取得等を禁止します。接近禁止命令の期間中に問題になります。
子への接近禁止命令申立人と同居する子へのつきまといや通常所在する場所付近のはいかいを禁止します。子を通じた接触や連れ戻しのおそれを検討します。
子への電話等禁止命令子への連続連絡、行動監視の告知、GPSによる位置情報取得等を禁止します。子が15歳以上の場合、子の同意が必要とされています。
親族等への接近禁止命令申立人の親族その他、社会生活上密接な関係を有する者へのつきまとい等を禁止します。親族等の同意が必要な場合があります。
退去等命令相手方に対し、申立人と生活の本拠としている住居から退去し、住居付近をはいかいしないよう命じます。原則2か月、一定の場合に6か月となることがあります。

次の判断の流れは、保護命令を検討するときの大まかな順序を示します。順番を知ることは、危険な状況で何から整理するかを見失わないために重要です。上から下へ、危険の有無、相談記録、命令類型、秘匿情報の確認へ進む構成として読み取ってください。

保護命令を検討するときの大まかな流れ

安全確認

現在進行形の危険がある場合は通報や退避を優先します。

相談記録の確認

支援センターや警察への相談歴、医療機関の記録、メッセージ等を整理します。

命令類型の選択

本人、子、親族、電話等、退去等のうち、どの危険に対応するかを確認します。

危険が高い
緊急性を説明

審尋等を経ることで目的を達成できない事情があるかを整理します。

準備が必要
資料を整える

申立書、証拠、秘匿情報、費用、相談歴を確認します。

保護命令の申立ては、相手方の住所地、申立人の住所・居所、暴力等が行われた地のいずれかを管轄する地方裁判所または支部に対して行います。申立手数料として収入印紙1,000円が必要とされ、別途郵便切手等が必要です。

Section 07

DVとは証拠化より安全を優先しながら事実を残す問題である

証拠は一つで完結するものではなく、相談記録、医療記録、写真、メッセージ、時系列メモなどを組み合わせて整理します。

DV事案では、「証拠がないから相談しても無駄」と感じることがあります。しかし、相談段階で証拠が完全にそろっている必要はありません。支援機関につながることで、今後どのように安全を確保し、記録を残し、手続を検討するかを整理できます。

次の一覧は、DVで有用になり得る資料を種類ごとに整理したものです。証拠の種類を知ることは、何を安全に保全できるかを考えるために重要です。各行から、けがの写真だけでなく、相談・医療・端末・家計・子どもの記録など複数の資料を積み上げる読み方をしてください。

身体・医療

写真・診断書・通院記録

けが、壊された物、室内状況、医師の診断書、処方記録、通院記録などが考えられます。

相談・通報

警察・支援機関の記録

110番通報、警察相談、配偶者暴力相談支援センター、自治体、DV相談プラス等への相談記録が意味を持ちます。

通信・端末

メッセージ・着信・位置情報

LINE、メール、SMS、SNS、着信履歴、留守番電話、GPSやアカウント侵入に関する記録が対象になります。

生活・子ども

日記・家計・学校記録

日記、時系列表、口座履歴、給与明細、生活費が渡されなかった記録、学校や保育園とのやり取りも補助資料になります。

記録を残す場合は、感情的評価だけでなく、日時、場所、誰が、何をしたか、けがや精神状態、子どもがいたか、相談・受診・通報の有無を整理すると説明しやすくなります。たとえば、2026年4月3日23時頃、自宅リビングで相手から脅迫され右腕を強くつかまれ、翌朝写真を撮り医療機関を受診した、というように事実の順番を残します。

無理な証拠収集は避ける証拠のために危険な場所へ戻る、相手を挑発する、隠し撮りが発覚する危険を負う、相手の端末に無断アクセスする行動は避ける必要があります。端末監視が疑われる場合は、安全な相談環境を支援機関と確認してください。

弁護士に相談する場面では、相手との関係、同居・別居、子ども、暴力の内容、相談歴、証拠、希望する結果、相手に知られて困る情報を安全に整理できる範囲で伝えます。完璧に説明する必要はなく、何から話せばよいか分からない状態でも相談対象になります。

Section 08

DVとは子どもの安全と面前DVにも関わる問題である

子どもが直接暴力を受けていなくても、暴力を目撃すること自体が心理的虐待に当たり得ます。

DVは被害者本人だけでなく、子どもにも深刻な影響を及ぼします。暴力を目撃した子どもに心身の症状が現れることがあり、家庭内で暴力を問題解決の手段として学習してしまうこともあると説明されています。

次の一覧は、子どもがいるDV事案で同時に検討されやすい問題を整理したものです。子どもの安全を法律問題と生活問題の両面から見ることは重要です。各項目から、親権や親子交流だけでなく、学校、医療、心理面、連絡経路まで一体で考える必要があることを読み取ってください。

面前DV

子どもの前で配偶者等に暴力を振るうことは、子どもへの心理的虐待に当たり得ます。

子どもを使った脅し

子どもを連れて行く、会わせない、危害を加えるなどの発言は、被害者の支配に使われることがあります。

親子交流の安全条件

場所、第三者機関、連絡方法、受け渡し、中止条件などを具体的に検討する必要があります。

学校・医療との連携

転校、保育園、医療、心理ケア、登下校や引渡しの安全確認が必要になることがあります。

DV被害者が、子どものために我慢しなければと考えることがあります。しかし、暴力を目撃し続けること自体が子どもの安全と発達に影響する可能性があります。子どもがいる場合は、被害者本人の安全と子どもの安全を一体として考えることが大切です。

Section 09

DVとは統計上も社会的規模の大きい相談課題である

公的統計に現れる相談件数だけでも多数にのぼり、家庭内で潜在化する被害も考慮する必要があります。

内閣府によると、令和6年度の全国317か所の配偶者暴力相談支援センターにおけるDV相談件数は127,796件でした。実人員は74,640人、相談方法別では来所38,244件、電話84,217件、その他5,335件とされています。また、同期間のDV相談プラスに寄せられた相談は45,858件で、電話25,853件、SNS13,610件、メール6,395件とされています。

次の比較図は、主な相談件数を大きさの違いで示したものです。統計の規模を視覚的に把握することは、DVが少数の特殊な家庭だけの問題ではないと理解するために重要です。数値ラベルは件数、縦方向の長さは最大値である配偶者暴力相談支援センター相談件数を基準にした相対的な大きさとして読み取ってください。

127,796件
支援センター
98,289件
警察相談等
45,858件
DV相談プラス

警察庁の資料では、令和7年の配偶者からの暴力事案等の相談等件数は98,289件で、前年比3,352件増、3.5%増、DV防止法施行後最多とされています。相談等件数の内訳では、女性68,209件、男性30,080件、婚姻関係71,608件、内縁関係6,598件、生活の本拠を共にする交際関係20,083件とされています。

次の横方向の比較は、警察庁資料の内訳を整理したものです。件数の差を知ることは、女性被害が多い傾向を踏まえつつ、男性被害者や交際関係の被害も相談対象から外さないために重要です。横の長さは、各分類内の最大件数に対する相対的な大きさとして読み取ってください。

女性
68,209
男性
30,080
婚姻関係
71,608
交際関係
20,083
件数は警察庁資料に基づく相談等件数の内訳です。横方向の長さは分類内の最大値を基準にした相対比較です。
Section 10

DVとは状況別に相談先と行動を変える必要がある問題である

今すぐ危険がある、逃げたい、近寄らせたくない、離婚したい、子どもが心配、費用が心配という段階に分けて考えます。

DVでは、相談したら必ず離婚しなければならないわけではありません。相談は、これはDVか、逃げる準備をどうするか、子どもをどう守るか、証拠をどう残すか、離婚するか迷っているという段階でも利用できます。

次の手順図は、状況別に優先される相談・検討事項を整理したものです。段階を分けることは、危険が高い場面で離婚条件の検討に先走ったり、費用不安で相談自体を諦めたりしないために重要です。上から下へ、危険度と目的に応じて相談先が変わる流れとして読み取ってください。

状況別に検討する入口

今すぐ危険がある

110番通報、退避、医療機関受診が優先される対応とされています。

逃げたいが準備が不安

DV相談ナビ、DV相談プラス、支援センター、警察、自治体で安全計画を相談します。

近寄らせたくない

保護命令の対象関係、暴力・脅迫、危険性、証拠、相談歴を確認します。

離婚・生活再建を考える

婚姻費用、親権、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、住所秘匿を整理します。

支援機関の役割も分けて理解する必要があります。弁護士は相手方対応、保護命令、離婚、調停、損害賠償、証拠整理などで関与しますが、避難場所を直接提供する機関ではありません。緊急の安全確保、一時保護、生活支援、心理的支援、福祉制度の利用には、支援センター、自治体、警察、医療機関、福祉機関との連携が必要です。

次の比較表は、主な専門職・機関の役割分担です。どこに何を相談するかを整理することは、同じ話を何度も一人で抱え直さずに済むために重要です。左列で機関名、右列で役割を確認し、法律問題、安全確保、医療、子ども、生活再建を分けて読み取ってください。

機関・専門職主な役割
警察緊急保護、通報対応、加害者への警告、被害届・告訴、検挙、ストーカー・DV対応。
配偶者暴力相談支援センター相談、機関紹介、カウンセリング、緊急時の安全確保、一時保護、自立支援、保護命令制度の情報提供。
弁護士保護命令、離婚、婚姻費用、養育費、親権、慰謝料、刑事手続、相手方対応、調停・訴訟代理。
法テラス弁護士紹介、法律相談援助、費用援助制度の案内。
医療機関診察、治療、診断書、心身のケア、必要に応じた関係機関連携。
児童相談所・学校子どもの安全確認、心理的虐待・身体的虐待への対応、登下校や引渡し対応。
自治体・福祉機関住居、生活保護、児童扶養手当、就労支援、住民票閲覧制限等の支援。
Section 11

DVとは何かに関するFAQ

よくある誤解を、一般情報として整理します。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q1. 殴られていなければDVではないのですか。

一般的には、身体的暴力だけがDVではないとされています。精神的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的孤立化、デジタル監視なども問題になり得ます。ただし、利用できる制度や手続は、行為内容、証拠、相手との関係によって変わります。具体的には、支援センター、警察、弁護士等へ相談する必要があります。

Q2. 夫婦間や恋人間なら犯罪にならないのですか。

一般的には、配偶者間や恋人間であっても、暴行、傷害、脅迫、不同意性交等などが成立し得るとされています。ただし、刑事手続をどう進めるかは、安全、証拠、今後の生活、子ども、相手方の反応によって慎重に検討する必要があります。

Q3. 男性や外国人、同性カップルでも相談できますか。

一般的には、男性被害者、外国人、同性カップルも相談対象になり得るとされています。ただし、一時保護施設の受入体制、言語支援、在留資格、地域の制度運用などによって必要な窓口が変わる可能性があります。具体的な相談先は、公的相談窓口へ確認する必要があります。

Q4. 証拠がなければ相談しても意味がありませんか。

一般的には、相談段階で完全な証拠がそろっている必要はないとされています。相談記録を作ること自体が、今後の安全確保や事実整理につながる場合があります。ただし、どの資料が有用か、どの方法が危険を増やさないかは事情によって変わります。具体的には、支援機関や弁護士等へ相談する必要があります。

Q5. 相談したら必ず離婚しなければなりませんか。

一般的には、相談は離婚を決めた人だけのものではないとされています。これはDVか、今すぐ逃げるべきか、子どもをどう守るか、証拠をどう残すか、離婚するか迷っているという段階でも相談対象になります。具体的な進め方は、安全状況や希望によって変わります。

Q6. 相手が謝ったらDVは終わったと考えてよいですか。

一般的には、謝罪だけで危険が消えたとは限らないとされています。DVでは、暴力、謝罪、優しさ、緊張、再暴力が繰り返されることがあります。責任転嫁、監視、行動制限、子どもを使った脅しが続いていないかなど、具体的事情によって判断が変わります。

Section 12

DVとは何かを理解するための用語集

制度や相談時によく出る言葉を、短く確認します。

次の用語集は、相談や手続で使われやすい言葉を整理したものです。用語を知ることは、相談窓口や専門家との会話で現在地をつかむために重要です。左の言葉と右の説明を対応させ、どの制度や行為に関する言葉なのかを読み取ってください。

用語意味
DV親密な関係にある、またはあった相手から振るわれる暴力や支配を指す言葉です。
配偶者暴力防止法配偶者からの暴力に関する通報、相談、保護、自立支援、保護命令等を定める法律です。
保護命令裁判所が相手方に接近、連絡、つきまとい、退去等を命じる制度です。違反には刑事罰があります。
接近禁止命令申立人の身辺へのつきまといや通常所在する場所付近のはいかいを禁止する命令です。
電話等禁止命令面会要求、連続連絡、深夜早朝の連絡、GPSによる位置情報取得等を禁止する命令です。
退去等命令相手方に生活の本拠から退去し、住居付近をはいかいしないよう命じる制度です。
面前DV子どもの前で配偶者等に暴力を振るうことです。子どもへの心理的虐待に当たり得ます。
デジタルDVスマートフォン、SNS、GPS、位置情報アプリ、紛失防止タグ等を使った監視、追跡、脅迫などです。

DVとは、被害者が一人で抱え込むべき問題ではありません。安全確保、法的保護、生活再建、心理的回復、子どもの保護を、社会の制度と専門家の支援を使いながら進めていく問題です。

Reference

参考資料

公的機関・司法機関

  • 内閣府男女共同参画局「ドメスティック・バイオレンス(DV)とは」
  • 内閣府男女共同参画局「暴力の形態」
  • 内閣府男女共同参画局「暴力の特徴」
  • 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力防止法」
  • 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力防止法に関するQ&A」
  • 裁判所「保護命令(DV事件)」
  • 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力防止法の令和7年一部改正法情報」
  • 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センター」
  • 内閣府「DV相談プラス」
  • 内閣府男女共同参画局「DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待」
  • 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センターの相談件数」
  • 警察庁「令和7年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」

法律相談・国際資料

  • 日本司法支援センター 法テラス「DV等被害者法律相談援助」
  • World Health Organization, “Violence against women”