交通事故で骨折し、入院30日、通院期間180日、実通院60日となった場合をモデルに、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準・裁判基準の違いと確認する資料を整理します。
入院1か月、通院6か月でも、どの基準を使うかで出発点が変わります。
入院1か月、通院6か月でも、どの基準を使うかで出発点が変わります。
交通事故で骨折し、入院1か月、退院後の通院6か月という治療経過になった場合、入通院慰謝料は一つの金額に自動的に決まるものではありません。前提を入院30日、通院期間180日、治療期間合計210日、実通院60日、事故日は2020年4月1日以降と置くと、自賠責基準では77万4,000円が一つの計算例になります。
一方、骨折のように画像所見などで確認されやすい傷害では、弁護士基準・裁判基準の出発点として149万円が問題になります。ここで扱う金額は慰謝料だけの試算であり、治療費、入院雑費、通院交通費、休業損害、装具費、文書料、後遺障害慰謝料、逸失利益、過失割合、自賠責の傷害枠120万円などは別に確認が必要です。
次の重要ポイントは、同じ骨折の入通院慰謝料でも、計算に入れる日数、基準、後遺障害の検討状況によって確認すべき金額が変わることを表します。示談案を見る前に基準ごとの位置づけをつかむことが重要で、77万4,000円、113万円、149万円のどれに近いかを読み取ると、提示額の性質を整理しやすくなります。
自賠責基準の基本例は77万4,000円、軽傷表を使う場合の目安は113万円、骨折で別表Iを使う場合の目安は149万円です。差額は必ず受け取れる金額ではなく、資料と個別事情を確認する入口です。
通院期間と実際の通院日数を分けて確認します。
このページでは、交通事故による骨折をモデルに、入院1か月、通院6か月という経過を便宜上の日数に置き換えます。自賠責基準では実際に治療を受けた日数が強く影響し、弁護士基準・裁判基準では入院期間と通院期間を出発点にしつつ、長期かつ不規則な通院では修正が問題になることがあります。
次の表は、計算の土台になる条件を整理したものです。前提がずれると慰謝料額も変わるため、読者にとって重要なのは、入院日数、通院期間、実通院日数、事故日の4点を自分の資料と照合することです。右列の数値が、後の計算式で使う入力値になります。
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 事故類型 | 自動車事故による人身事故 |
| 傷害 | 骨折 |
| 入院期間 | 1か月、便宜上30日 |
| 通院期間 | 6か月、便宜上180日 |
| 治療期間合計 | 7か月、便宜上210日 |
| 実通院日数 | 基本例では月10回、合計60日 |
| 入院日数 | 30日 |
| 事故日 | 2020年4月1日以降 |
| 後遺障害 | いったん未考慮 |
| 過失割合 | いったん被害者過失0%で計算 |
ここで最も重要なのは、通院6か月という期間と、実際に何日通院したかは別の概念だという点です。自賠責基準では治療期間と実治療日数の比較が必要で、裁判基準では通院が長期かつ不規則な場合に、実治療日数を基に通院期間が修正されることがあります。
治療中の苦痛と症状固定後の損害を分けて考えます。
入通院慰謝料とは、交通事故のけがによって入院や通院を余儀なくされたこと自体による精神的苦痛、肉体的苦痛に対する賠償です。治療費のように領収書の金額をそのまま積み上げる費目ではなく、治療期間、入院期間、通院期間、傷害の内容、通院頻度などから算定されます。
次の表は、交通事故で問題になる慰謝料を3種類に分けて示します。どの慰謝料を見ているかを取り違えると示談案の確認を誤りやすいため、読者にとって重要です。入通院慰謝料は治療期間中の苦痛、後遺障害慰謝料は症状固定後に残った苦痛、死亡慰謝料は死亡事故の精神的損害として読み分けます。
| 種類 | 対象 | 骨折事案での見方 |
|---|---|---|
| 入通院慰謝料 | 入院、通院、治療そのものに伴う苦痛 | 入院30日、通院180日、実通院日数などを確認 |
| 後遺障害慰謝料 | 症状固定後に後遺障害が残った苦痛 | 可動域制限、変形癒合、神経症状、疼痛などを確認 |
| 死亡慰謝料 | 被害者が死亡した場合の本人、遺族の精神的損害 | 入通院慰謝料とは別の類型 |
骨折では、骨癒合して治療終了となる場合もありますが、関節可動域制限、変形癒合、神経症状、疼痛、抜釘後の症状などが残ることもあります。その場合、入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料や逸失利益の検討が必要になります。
骨折は客観的資料で治療経過を追いやすい傷害です。
骨折は、単なる痛みの訴えだけではなく、X線、CT、MRIなどの画像で客観的に確認できることが多い傷害です。骨折治療では、骨がつくための条件を整える必要があり、ギプス固定、金属による固定手術、リハビリの経過が慰謝料や後遺障害の検討にも関係します。
次の一覧は、骨折の入通院慰謝料を確認するときに重要になる資料を領域ごとに整理したものです。資料がそろっているかは、治療必要性や通院期間を説明するうえで重要です。左側の領域で何を証明したいのかを見て、右側の資料が手元にあるかを読み取ります。
| 専門領域 | 重要資料 |
|---|---|
| 医療 | 診断書、診療録、画像、画像診断報告書、手術記録、リハビリ記録 |
| 保険 | 診療報酬明細書、通院実日数、休業損害証明書、交通費明細 |
| 法律 | 交通事故証明書、事故状況資料、過失割合資料、示談案 |
| 後遺障害 | 後遺障害診断書、可動域測定、神経学的所見、画像所見 |
骨折だから必ず高額になるという意味ではありません。しかし、骨折は客観的所見に支えられることが多く、他覚所見が乏しい傷害とは、弁護士基準・裁判基準で用いる表が異なることが重要です。
同じ治療経過でも、基準ごとに目的と水準が異なります。
交通事故の慰謝料計算では、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準・裁判基準の三つがよく問題になります。自賠責基準は強制保険による最低限の救済を目的とする基準で、任意保険基準は各社の社内基準、弁護士基準・裁判基準は交通事故訴訟の損害賠償実務を踏まえた基準です。
次の比較一覧は、3つの基準の性質と骨折の入通院慰謝料での見方を並べています。提示額の根拠を見分けることが重要で、読者は自分の示談案が最低限の救済に近いのか、裁判実務上の水準を意識しているのかを読み取れます。
日額4,300円に対象日数を掛けます。対象日数は、治療期間の日数と実治療日数の2倍を比較して少ない方を使う整理が基本です。
各任意保険会社が社内で用いる支払基準です。一般には自賠責基準より高く、弁護士基準より低い水準になることが多いと説明されます。
交通事故訴訟の実務を踏まえた基準です。骨折のような傷害では、通常、別表Iが出発点になりやすいとされています。
保険会社の提示額を見るときは、その提示額が自賠責基準そのものではないか、骨折なのに軽傷表に近い金額で計算されていないか、治療期間ではなく実通院日数だけを過度に重視していないか、入院期間が反映されているか、自賠責枠120万円の扱いがどうなっているかを確認します。
基本例では77万4,000円、通院頻度によって90万3,000円まで変わります。
自賠責基準では、傷害慰謝料は1日につき4,300円とされ、対象日数は傷害の態様、実治療日数などを勘案して治療期間の範囲内で考えます。実務上は、治療期間の日数と実治療日数の2倍を比較して、少ない方に4,300円を掛ける形で整理されます。
次の判断の流れは、入院30日、通院期間180日、実通院60日の基本例で、自賠責基準の対象日数をどの順番で出すかを示します。計算順を間違えると1日8,600円という誤解につながるため重要です。上から順に、実治療日数を出し、2倍し、治療期間と比較し、最後に4,300円を掛けると読み取ります。
実治療日数は90日です。
90日 × 2 = 180日です。
少ない方の180日を対象日数にします。
4,300円 × 180日 = 77万4,000円です。
通院6か月といっても、月4回通院した人と月15回通院した人では、自賠責基準の対象日数が変わります。次の表は、入院30日、通院期間180日、治療期間合計210日という同じ条件で、通院頻度だけを変えた早見表です。読者は実通院日数の増減によって、対象日数と慰謝料がどのように変わるかを確認できます。
| 通院頻度 | 実通院日数 | 実治療日数 | 実治療日数×2 | 対象日数 | 慰謝料 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月4回 | 24日 | 54日 | 108日 | 108日 | 46万4,400円 |
| 月6回 | 36日 | 66日 | 132日 | 132日 | 56万7,600円 |
| 月8回 | 48日 | 78日 | 156日 | 156日 | 67万800円 |
| 月10回 | 60日 | 90日 | 180日 | 180日 | 77万4,000円 |
| 月12回 | 72日 | 102日 | 204日 | 204日 | 87万7,200円 |
| 月15回 | 90日 | 120日 | 240日 | 210日 | 90万3,000円 |
次の縦の比較グラフは、通院頻度ごとの自賠責基準の慰謝料を金額の大きさで比較します。数字の差を視覚的に見ることで、実通院日数が少ないと対象日数が小さくなり、月15回では治療期間210日が上限になることを読み取れます。
自賠責基準の日額は4,300円です。対象日数を決めるときに実治療日数を2倍する場合があるため、結果的に実通院1日あたり8,600円のように見えることがありますが、正しくは治療期間と実治療日数の2倍を比較してから4,300円を掛けます。
別表Iの149万円と別表IIの113万円を取り違えないことが重要です。
弁護士基準・裁判基準では、骨折のような傷害は原則として別表Iが出発点になります。公開されている基準表では、赤い本の別表Iについて、通院6か月、入院1か月の交差部分は149万円とされています。計算は、入院1か月、通院6か月、別表Iの交差部分を見るという整理です。
次の表は、骨折で問題になりやすい別表Iと、他覚所見の乏しい軽傷で問題になりやすい別表IIの違いを示します。どちらの表を使っているかで金額が36万円変わるため、示談案の根拠確認に重要です。読者は、診断名や画像所見、治療内容が骨折として整理されているかを見ながら読み取ります。
| 確認する表 | 使われやすい場面 | 入院1か月・通院6か月の目安 |
|---|---|---|
| 別表I | 骨折のように他覚所見を伴う傷害 | 149万円 |
| 別表II | 他覚所見のないむち打ち症、軽い打撲、軽い挫創など | 113万円 |
骨折なのに113万円と説明されている場合、次の比較一覧で確認点を整理します。軽傷表で見られていないかを見極めることは、提示額の理由を理解するうえで重要です。各項目では、診断、治療内容、通院実態、後遺障害の関係を順に読み取ります。
X線、CT、診断書で骨折名が明記されているかを確認します。
ギプス、手術、固定、リハビリなど、骨折治療の経過を整理します。
別表Iではなく別表IIを前提にしていないか、説明を確認します。
長期で不規則な通院として期間修正が問題になっていないかを見ます。
後遺障害の有無で交渉の中心が変わることがあります。
弁護士基準・裁判基準は、単純に事故から6か月経過したから通院6か月と見るものではありません。通院が長期にわたり、しかも不規則である場合には、実治療日数を基準に通院期間が修正されることがあります。別表Iでは、通院が長期にわたる場合に実治療日数の3.5倍程度が目安とされることがあるという実務解説があります。
基本例の差額は71万6,000円ですが、最終額は個別事情で変わります。
基本例で比較すると、自賠責基準77万4,000円、自賠責基準の上限的試算90万3,000円、弁護士基準の別表I149万円、別表II113万円という位置づけになります。149万円から77万4,000円を差し引くと、71万6,000円です。
次の比較表は、同じ骨折で入院1か月、通院6か月という前提でも、基準と通院実態により慰謝料の見方が変わることを表します。示談案がどの水準に近いかを把握するために重要です。前提欄と金額欄を横に見比べると、どの計算ロジックに近い提示なのかを読み取れます。
| 基準 | 前提 | 入通院慰謝料 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 入院30日、実通院60日、治療期間210日 | 77万4,000円 |
| 自賠責基準の上限的試算 | 入院30日、実通院90日以上、治療期間210日 | 90万3,000円 |
| 弁護士基準・別表I | 骨折、入院1か月、通院6か月 | 149万円 |
| 弁護士基準・別表II | 軽傷表を使う場合 | 113万円 |
次の縦の比較グラフは、77万4,000円、90万3,000円、113万円、149万円の金額差を同じ尺度で示します。差の大きさを直感的に見ることが重要で、149万円が必ず支払われるという意味ではなく、示談案の水準を点検する基準になることを読み取ります。
ただし、この差額がそのまま受け取れるとは限りません。示談交渉では、過失割合、治療必要性、通院頻度、既払い金、休業損害、後遺障害、医療記録の内容などが総合的に評価されます。
過失、治療必要性、通院頻度、後遺障害で最終額は動きます。
慰謝料の表で金額を確認しても、実際の示談額はそのまま一致しないことがあります。被害者にも事故発生について過失がある場合は損害額全体から一定割合が控除され、治療費打ち切りや症状固定時期、通院頻度、後遺障害の有無も影響します。
次の一覧は、骨折の入通院慰謝料が計算例からずれる代表的な理由を整理したものです。提示額の差を感覚で判断しないために重要です。どの要素が金額に影響しているのか、また追加で確認すべき資料が何かを読み取ります。
149万円を前提としても、被害者過失20%なら慰謝料部分を単純化すると119万2,000円になります。
治療の必要性や症状固定時期は、医師の判断、診療録、画像所見、リハビリ記録で説明できることが重要です。
多すぎる場合は過剰診療、少なすぎる場合は治療必要性が低いと見られる可能性があります。
可動域制限や神経症状が残る場合、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料や逸失利益が問題になります。
通院頻度を見るときは、回数そのものではなく医学的な意味が重要です。次の表は、通院目的と証拠化される資料を対応させたものです。治療の必要性を説明するために重要で、どの受診が何を確認する目的だったのかを資料で追えるかを読み取ります。
| 通院目的 | 証拠化される資料 |
|---|---|
| 骨癒合の確認 | X線、CT、診療録 |
| 固定具の調整 | 診療録、装具記録 |
| 手術後の経過観察 | 手術記録、画像、創部記録 |
| リハビリ | リハビリ実施計画書、実施記録 |
| 可動域訓練 | 可動域測定、理学療法記録 |
| 疼痛管理 | 投薬記録、診療録 |
後遺障害が認定されると、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料や逸失利益が問題になります。逆に、症状が残っているのに後遺障害申請をせずに示談すると、後から追加請求が難しくなることがあります。
画像、固定、リハビリ、合併症の記録が説明力になります。
骨折事案では、画像が損害算定の中核資料になります。骨折の診断では症状を確認してX線写真を撮り、転位がない骨折やX線に写りにくい骨折ではCT検査が役立つ場合があります。慰謝料交渉で重要なのは、痛みの原因となる骨折、固定、手術、リハビリ、可動域制限などが資料で追えることです。
次の時系列は、骨折治療で確認されやすい医療上の段階を示します。どの段階の記録が欠けているかを把握することは、治療必要性と通院期間を説明するうえで重要です。上から順に、画像診断、固定・手術、リハビリ、合併症の有無、症状固定の検討へ進むと読み取ります。
X線、CT、MRI、画像診断報告書で骨折の有無と部位を確認します。
ギプスなどの外固定、金属による内固定、手術記録、装具記録を整理します。
関節可動域、筋力、歩行、日常生活動作の回復目的を記録で確認します。
ギプス装着後の皮膚温、色調、動き、痛みの増強などに注意し、異常があれば医師の診察が必要とされています。
骨折では、固定による安静と周辺関節や筋肉の機能維持の両立が必要です。リハビリ通院が単なる慰謝料目的ではなく、機能回復のために必要であったことを示せれば、通院期間の正当性を説明しやすくなります。
一括払い、健康保険、交通事故証明書を整理します。
多くの交通事故では、相手方の任意保険会社が治療費や賠償金を一括対応します。一括対応は便利ですが、保険会社が治療費を支払っているからといって、慰謝料の最終額まで提示どおりに決まるものではありません。示談書に署名する前に内訳を確認する必要があります。
次の比較一覧は、骨折の入通院慰謝料と同時に確認したい保険実務の論点を整理したものです。慰謝料だけを見て示談すると、治療費や手続きの問題を見落としやすいため重要です。各項目で、何を確認すれば次の行動に進めるかを読み取ります。
任意保険会社が自賠責保険金を含めて支払うことがあります。示談時には慰謝料、治療費、休業損害などの内訳を確認します。
交通事故でも一定の場合には健康保険を利用できることがあります。第三者行為による傷病届や過失割合、自賠責120万円枠との関係を確認します。
保険金請求や自賠責請求で重要です。警察への届出がないと取得が難しくなり、人身事故としての扱いに支障が出ることがあります。
過失割合が大きい事案や、自賠責120万円枠が早期に尽きそうな事案では、健康保険の利用が経済的に重要になることがあります。健康保険を使うかどうかは、治療内容、過失割合、自由診療の必要性、医療機関の方針、保険会社の対応によって判断が分かれます。
医療資料、損害資料、事故資料、生活記録を分けて整理します。
骨折で入院1か月、通院6か月の事案では、慰謝料の計算だけでなく、治療内容、事故状況、収入減、生活上の制限を説明できる資料が必要です。資料を分けて整理しておくと、保険会社の提示額や専門家相談のときに確認漏れを減らせます。
次の一覧は、4種類の資料を目的別にまとめたものです。どの資料が何を証明するのかを分けることが重要です。読者は、自分の手元にある資料が医療、損害、事故、生活のどこに当たるかを読み取り、不足しているものを確認できます。
診断書、診療報酬明細書、診療明細書、X線・CT・MRIなどの画像、画像診断報告書、手術記録、入院診療計画書、退院時サマリー、リハビリ実施計画書、リハビリ実施記録、可動域測定記録、後遺障害診断書。
治療経過入院雑費の資料、通院交通費明細、タクシー領収書と必要性の説明、装具・松葉杖・サポーター等の領収書、文書料領収書、休業損害証明書、源泉徴収票、確定申告書、給与明細、有給休暇使用の記録。
費目確認交通事故証明書、事故現場写真、車両損傷写真、ドライブレコーダー映像、修理見積書、実況見分調書の取得可能性、過失割合説明、相手方の任意保険情報、人身傷害保険や弁護士費用特約の有無。
事故状況入院中の日常生活制限、退院後の歩行困難、入浴困難、家事困難、睡眠障害や痛みの記録、通勤や復職で困ったこと、リハビリでできるようになったこと、家族の付添い状況。
生活支障慰謝料欄、日数計算、入院反映、後遺障害の順に確認します。
保険会社から示談案が届いたら、入通院慰謝料の欄がいくらかをまず確認します。入院1か月、通院6か月、骨折であるにもかかわらず77万4,000円前後なら自賠責基準に近い可能性があり、113万円前後なら軽傷表に近い可能性があり、149万円前後なら別表Iを意識した提示である可能性があります。
次の判断の流れは、示談案を見るときの確認順を示します。順番を決めて確認することで、金額だけを見て判断することを避けられるため重要です。上から、慰謝料欄、通院日数、入院期間、後遺障害の検討状況へ進むと読み取ります。
77万4,000円、113万円、149万円のどれに近いかを確認します。
実通院日数だけを過度に重視していないかを見ます。
通院6か月だけではなく、入院1か月との交差部分を見ているか確認します。
痛み、しびれ、可動域制限、変形、筋力低下が残る場合は、後遺障害申請の検討状況を確認します。
症状固定後に痛み、しびれ、可動域制限、変形、筋力低下が残っている場合、示談前に後遺障害申請を検討することがあります。示談書に清算条項が入ると、一般に後から追加請求が難しくなります。
差額、治療打ち切り、後遺障害、過失割合が主な確認点です。
骨折で入院を伴う交通事故は、一般的なむち打ち事案より損害項目が複雑になりやすい類型です。示談案の金額だけでなく、資料の不足、後遺障害の可能性、休業損害、過失割合、自賠責120万円枠、人身傷害保険や弁護士費用特約の有無を合わせて確認します。
次の表は、弁護士相談を検討する典型的な状況と、その理由を整理したものです。相談の必要性を感覚ではなく論点で判断するために重要です。左列の状況に当てはまるものがある場合、右列の理由を確認して資料整理の優先順位を読み取ります。
| 状況 | 相談の必要性 |
|---|---|
| 骨折なのに慰謝料が自賠責基準に近い | 弁護士基準との差額が大きい可能性 |
| 入院1か月が反映されていない | 表の読み違い、計算漏れの可能性 |
| 113万円前後の提示 | 軽傷表で計算されている可能性 |
| 治療費打ち切りを告げられた | 医学的必要性、症状固定時期の整理が必要 |
| 後遺症が残っている | 後遺障害診断書、申請方針が重要 |
| 過失割合に納得できない | 事故態様、証拠、類型の検討が必要 |
| 休業損害が低い | 収入資料、家事従事者評価の検討が必要 |
| 自賠責120万円を超えそう | 健康保険、任意保険、人身傷害保険の整理が必要 |
交通事故紛争処理センターは、自動車事故の損害賠償問題について、法律相談、和解あっせん、審査を無料で行う公益財団法人です。日弁連交通事故相談センターも、相談から示談あっせんによる話し合いまで無料で行う制度を案内しています。ただし、治療中、症状固定前、後遺障害申請前などでは、個別の弁護士に早めに相談した方がよい場合があります。
一般的な制度説明として、個別事情で変わる点を確認します。
一般的には、骨折であれば弁護士基準の別表Iを出発点にし、149万円を目安に検討することがあるとされています。ただし、通院頻度、治療中断、事故との因果関係、過失割合、既往症などによって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、入院30日、実通院60日、治療期間210日なら、77万4,000円は自賠責基準の計算例と一致します。ただし、骨折で入院1か月、通院6か月という前提では、弁護士基準との差が問題になる可能性があります。具体的な適否は、治療内容、過失割合、既払い金、後遺障害の有無を含めて弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、113万円は別表II、つまり軽傷表で入院1か月、通院6か月を見た数字と説明されます。骨折では別表Iの149万円が出発点になりやすいとされています。ただし、画像所見、診断名、治療実態、通院頻度などによって調整される可能性があります。
一般的には、慰謝料を増やす目的で通院回数を決めるのではなく、医師の指示、骨折部位、固定状況、手術後の経過、リハビリ計画に沿って治療を受けることが重要とされています。ただし、通院頻度が医学的に説明できるかで評価が変わる可能性があります。具体的な通院方針は医師に確認し、法的な見通しは弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、自賠責支払基準上、免許を有する柔道整復師などの施術費用は、必要かつ妥当な実費とされています。ただし、骨折の診断、画像評価、後遺障害の中核資料は医師の診断書や画像所見です。整骨院等を利用する場合でも、整形外科医の診察、画像検査、治療方針の確認を途切れさせないことが重要です。
一般的には、治療期間や通院期間が長くなれば慰謝料に影響することがあります。ただし、医学的必要性のない通院は評価されにくい可能性があります。骨折後の関節可動域、筋力、歩行、日常生活動作の回復を目的とするリハビリであり、医師や理学療法士の記録があるかを確認する必要があります。
一般的には、仕事を休んだことによる収入減は入通院慰謝料に含まれず、休業損害として別に検討されます。自賠責支払基準では、休業損害は原則1日6,100円とされていますが、立証資料によりそれを超えることが明らかな場合には一定限度で実額が認められることがあります。具体的には収入資料を整理して確認する必要があります。
一般的には、入院中の諸雑費は慰謝料とは別の治療関係費とされています。自賠責支払基準では、入院中の諸雑費は入院1日につき1,100円とされ、入院30日なら目安として3万3,000円です。ただし、実際の請求や評価は資料、支払基準、保険会社の内訳によって確認する必要があります。
一般的には、示談書に清算条項があると追加請求が難しくなる可能性があります。痛み、しびれ、可動域制限などが残る場合は、症状固定後の後遺障害申請が問題になることがあります。ただし、示談書の内容や症状の経過によって結論が変わるため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、概算を把握することは有益です。ただし、示談額の適否は、慰謝料だけでなく、休業損害、後遺障害、過失割合、既払い金、自賠責枠、健康保険、労災、人身傷害保険なども含めて判断されます。骨折で入院を伴う事案では、資料を整理したうえで早めに弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
自賠責77万4,000円、弁護士基準149万円、差額71万6,000円を確認します。
骨折で入院1か月、通院6か月の入通院慰謝料では、最初にどの基準で計算しているかを確認します。自賠責基準では、入院30日、実通院60日、治療期間210日の前提で77万4,000円になります。通院頻度が高ければ、自賠責基準でも90万3,000円まで上がる可能性がありますが、傷害枠120万円や他費目との関係に注意が必要です。
次の重要ポイントは、このページで扱った計算結果を一つにまとめたものです。金額の関係を短く確認することは、保険会社の提示額を見る前の基準線として重要です。自賠責基準、弁護士基準・裁判基準、差額の順に読み取ります。
自賠責基準は4,300円 × 180日 = 77万4,000円です。骨折で別表Iを使う場合の弁護士基準・裁判基準は149万円が出発点になり、基本例との差額は71万6,000円です。
最後に、示談前に確認する4点を整理します。金額だけではなく、資料と後遺障害の可能性を合わせて見ることが重要です。各項目を順に確認すると、提示額が自賠責基準や軽傷表に寄りすぎていないかを読み取れます。
骨折としての画像所見、診断書、治療内容が整理されているかを確認します。
入院1か月と通院6か月が慰謝料計算に正しく反映されているかを見ます。
後遺障害の可能性を検討する前に示談していないかを確認します。
保険会社提示が自賠責基準や軽傷表に寄りすぎていないかを確認します。
骨折で入院を伴う交通事故は、慰謝料だけでなく、治療費、休業損害、装具費、後遺障害、過失割合などが絡みます。保険会社の提示額を受け取る前に、医療資料と損害資料をそろえ、必要に応じて交通事故に詳しい弁護士へ相談することが、適正な賠償に近づくための現実的な手順です。
制度、医療、保険実務を確認するために参照した資料名です。